ラジオ番組『天伯之城ギカダイ』
もくじ
- 社会実験!自治会のデジタル化
建築・都市システム学系 准教授
小野 悠 - プラズマでファン周りの流れを制御
機械工学系 博士前期課程2年
東海 和真
Chapter1社会実験!自治会のデジタル化
建築・都市システム学系 准教授 小野 悠
Q 自治会って町内会とかの?
A そうです。自治会は地域の声を代表する組織として、その地域の全住民が加入するという大前提で運営されているもので、まちづくりを研究する私のような立場からしても重要な存在と思っていたんです。そんな私が、子育てや仕事がハードな時に、自治会の役員にクジで選ばれた時には泣きそうになりまして(笑)。普段「地域自治は大事ですよ」と声高に言ってる私が、いざ自分が選ばれると「んー」となっちゃって。これは何だと思ったのが自治会研究のきっかけのひとつです。
Q 研究してみてどうですか。
A 自治会って各々固有の文化を持っていて、各々のやり方で運営されていました。それがコロナ禍の時に、回覧板の電子化とか会合のオンライン化とか"自治会のデジタル化"の動きが一部であって。でもデジタル化は自治会にとって本当にいいことなのか、顔を合わせることが自治活動の意味ではないかとか、どこにも答えがなくて、3,500世帯を対象に自治会のアプリ導入についてアンケートを行いました。
Q デジタル化には否定的な意見が多かったのでは?
A そう思ったんですけど、実際多かったのは"関心がない"という意見で、デジタル化への抵抗感というより自治会への関心がないので、アプリ導入についても関心がないという結果でした。
Q がっかりですね(笑)
A いえいえ、私だって一市民としては関わりたくないって思ってましたから(笑)。でも自治会って震災や豪雨災害のときにも活躍しましたし、普段でもゴミや道路の問題など行政に訴える際、一市民ではなかなか取り合ってくれない事案も自治会として訴えれば動いてくれるなど実は気づかないところで重要な役割を果たしているのが自治会なんです。また、日本は民主主義で議員選んで市民の声を行政に生かすって仕組みを作ってますが、地域の人が地域のことを決めるという本来の民主主義ができるのは、町内会や校区ぐらいがいい規模なんじゃないかと思うんです。日本の自治会って決して"行政の下部組織"ではない自立独立した存在で、そういうところにまだまだ大きな存在意義があると思うんです。
Q 自治会の未来はどうなっていきますか。
A 自治会役員は負担が大きくて関われないという課題はデジタル化が有効と思われますが、現状では様々なアプリが使われていて情報共有が難しくなっています。デジタル化のメリットを生かすには共通のアプリの使用が必要かと思われますが、自治会の自立性も尊重するべきで、そのバランスはどこだろう、どういうプロセスで進めるべきなんだろう等、興味深いテーマがいろいろある研究分野です。
ありがとうございました。
Chapter2プラズマでファン周りの流れを制御
機械工学系 博士前期課程2年 東海 和真
Q 省エネルギー工学研究室博士前期課程2年生の東海さんです。よろしくお願いします。
A お願いします。今日は"軸流ファン"っていう空気を流す装置の性能をプラズマアクチュエータを使って上げることで、最終的にファンの騒音を減らす研究を紹介します。
Q プラズマアクチュエータっていうのでどんなかと思ったら先生が見せてくれたのは、切符の半分くらいの大きさでぺろ~んとしててそれに金属光沢のラインが4本プリントされてるだけなんです。なんか失礼しました。
A 曲げても良く、それをうまく利用することを考えています。
これだけのものなのでどこにでも貼れたり、曲げて使ったりできます。ではこれに1万ボルトの高電圧を加えます。気をつけて下さい。3,2,1! ほら、青白く発光しました。これがプラズマ。プラズマ化した空気は電極の方向に流れていきます。そうすると周りの空気も流れだして、実験では1m/secの風を発生させているのが確認されています。
Q 結構な風速ですね。
A はい。この風に補助してもらって軸流ファンの回転数を下げるようにすれば軸流ファンの音を減らせるというわけです。
Q どれぐらい静かになりますか。
A 実験では2㏈ぐらいですかね。まだまだ下げられそうなので僕の残りの学生生活で追及していくつもりです。
Q でも東海さん博士前期課程2年生で就職も決まってるんですよ。就職先では同じ研究は続けられないですよね。
A そうですね。でも軸流ファンはどこにでも使われる部品なので、将来ボクが関わる製品に使われていれば、きっと経験が役に立つと思うんです。あと騒音を調べるために"無響室"を使うんですが、こういった、大学じゃないと見ないような設備が使える環境でまだ誰も結果を出していないことを実験できるのは貴重な時間だと思っています。
Q まだ論文ふたつぐらい書けそうですね。
A はい。この研究はそれぐらいの頑張りが必要だと思っています。今度オランダで学会発表があるんですが、それも頑張ってきます。
今後が楽しみです。頑張って下さい。
天伯之城 ギカダイ
豊橋技術科学大学はエフエム豊橋(84.3MHz)とのコラボレーションにより、
本学のアクティビティを広く皆様にご紹介するラジオ広報を放送しています。その名も「天伯之城 ギカダイ」。
https://www.tut.ac.jp/castle.html ←こちらより視聴可能
エフエム豊橋の人気パーソナリティ渡辺欣生さんが、毎週、本学のいろいろな研究室、サークルなどを訪問し、普段、素朴に思う技科大の「なに?なぜ?どうして?」を分かりやすく紹介しています。