研究シーズの泉

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エコな通信方式の創出を目指しています

空間変調の研究

ステータス 基礎 実証 実用化準備

概要

従来の変調方式では1か-1のどちらかを送信することで情報を伝送していたのに対して、空間変調では信号の取りうる状態に0(信号を送信しない)という状態を追加して情報伝送を行います。送信機が信号を送信していないということ自体に情報を載せるため、空間変調は送信機で優れた電力効率を実現することができます。私たちは、圧縮センシングと呼ばれる分野で扱われる問題と我々の問題との類似点に着目して、効率的な受信方式の創出を目指しています。

従来技術

従来のMIMO伝送方式では、送信アンテナと同数のRadio frequency(RF 高周波)系を用意する必要がありました。RF系は、高性能なDA変換器を必要とするため、電力消費の大きいデバイスです。

優位性

空間変調では、同時に1本の送信アンテナしか使用しないため、送信アンテナの数によらず、1つのRF系で送信器を構成できます。そのため、空間変調は、送信器の電力効率の観点で優れた伝送方式と言えます。

特徴

Generalized spatial modulation(GSM 一般化空間変調)では、伝送速度を向上させるために、同時に使用されるアンテナの数は1本に限定されません。私たちは、GSMが情報理論的な電力効率の限界を達成することを証明しました。

【研究成果】

  1. 受信器でChannel state information(CSI 通信路状態情報)を利用できるi.i.d.レイリーブロックフェージングMIMO通信路では、同時に使用される送信アンテナの数に関係なく、Quadrature phase-shift keying (QPSK 直交位相偏移変調) GSMが、情報理論的な電力効率の観点で最適であることが分かりました。
  2. CSIを利用できない場合にも、時間領域の電力割当を行えば、QPSK GSMが最適であることが分かりました。
  3. QPSK GSMは、情報理論的な電力効率の観点から、高速・大容量よりも省エネが求められる通信システムにおいて、実質的に最良の選択肢と言えます。
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一般化空間変調の送信器

実用化イメージ、想定される用途

・光通信システム
・第6世代無線通信システム
・IoTネットワーク
・センサーネットワーク

実用化に向けた課題

・見通しの有無や空間相関の影響の調査
・マルチユーザMIMOへの拡張
・高性能かつ低計算量な復調方式の創出
・効率的な帯域制限の方法

研究者紹介

竹内 啓悟 (たけうち けいご)
豊橋技術科学大学 電気・電子情報工学系 准教授
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研究者からのメッセージ(企業等への提案)

この技術にご興味をお持ちの企業の技術相談をお受けします。また共同研究等のご検討の際にはご連絡ください。

知的財産等

掲載日:2021年01月08日
最終更新日:2021年01月08日