研究シーズの泉

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収穫量の期待値からの低下回避に貢献できます

植物の生育状態把握に活用可能な画像計測技術の開発

ステータス 基礎 実証 実用化準備

概要

近年、人間の目視観察に基づいた生育の把握に代わる「植物の生育状態の数値化技術の開発」が進んでいます。私たちはクロロフィル蛍光画像計測技術を活用した「トマト個体群の平均茎伸長計測技術」や「人工光植物工場栽培レタスの葉量計測(植物体領域の抽出)技術」を開発しました。これらの技術活用により、作物の適切な生育管理や収穫量の低下を回避でき、就農事業者の収益増大に貢献するものと考えています。

従来技術

・目視の観察とそれに基づいた判断には個人差が生じやすい。
・手動の計測は頻度や対象個体数に限度があり、栽培管理(作業、労務)へのフィードバックが難しい。
・日単位の成長量計測(茎伸長等)技術はない。

優位性

・クロロフィル蛍光画像計測により高精度で再現性高く計測できます。
・多くの個体の茎伸長や葉量計測等の成長量(指標)計測を自動で行えます。
・毎日自動で計測された植物の生育状態をもとに生育管理の方針を考えることができます。

特徴

研究成果

1.トマト個体群の平均茎頂高計測技術

市販型クロロフィル蛍光画像計測ロボットに新たな動作モードを追加することで、トマト個体群の平均茎頂高を計測可能とし、ある1 日とその前日の平均茎頂高の差分をトマト個体群の茎伸長として日単位の自動計測を行いました(図1)。

  • クロロフィル蛍光画像の分解能は1.6mm/pixelとなり、高さ計測の再現性は0.01 % 以内に収まりました。
  • ロボット計測は週単位のマニュアル計測を代替可能でかつ、週単位では把握不可能であった日単位の茎伸長の経日変化を把握可能となりました。

2.人工光植物工場栽培レタスの植物体領域(葉量)の抽出技術

クロロフィル蛍光画像を側面から計測して植物体領域を抽出し、縦方向の成長の把握が可能となり計測精度を向上できました(図2)。(俯瞰画像計測では生育後期に隣接する植物体の重なりによって成長量の正確な計測ができない場合があります)

  • 日々のレタス葉量計測により、計画的な生産調整(成長抑制や促進)の評価が可能となりました。
  • 市場価格予想に基づいた生育コントロールができ、利益の最大化に貢献できます。
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図1 ロボットによる日単位茎伸長計測
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図2 日単位のレタス葉量計測

実用化イメージ、想定される用途

施設園芸や植物工場などの環境制御型農業

実用化に向けた課題

・トマトなどの茎頂の自動検出技術の開発
・機械学習を伴う適用作物の拡大(形状、色など)
・低コストで導入可能な画像計測ロボットの開発

研究者紹介

戸田 清太郎 (とだ せいたろう)
豊橋技術科学大学 機械工学系 助教
researchmap

研究者からのメッセージ(企業等への提案)

施設園芸や植物工場などの環境制御型農業生産の生産性、収益性向上に有用な技術を開発してきました。画像計測を用いた農工融合の研究に取り組んで参ります。

知的財産等

掲載日:2022年03月22日
最終更新日:2022年03月22日