概要
ナノの光(近接場光)を用いた表面平滑化の産業応用を展開しています。表面のナノ寸法の凹凸に発生する近接場光を利用することで、光を絞る必要がなく、大面積で表面を原子レベルで平滑化が可能です。また、光を使った非接触可能であるため、様々な材料・様々な形状に対して平滑化が可能です。
従来技術
機械化学研磨による接触加工を用いているため平滑化に限界があり、研磨傷を除去することが不可能です。
優位性
非接触加工であるため、研磨傷フリーで加工が可能です。基板を吸収しない光を使うので、基板の内壁の加工が可能であるなど、従来の加工では不可能な加工が可能となります。
特徴
ナノ寸法の物質に局在する光(近接場光)は自由空間を伝搬する光(伝搬光)とは異なる性質を持つことがわかっています。この性質を用いて、本来分子に吸収されない長波長の光を照射すると、物質表面の突起に発生する近接場光によって、自由空間では分解されない分子が、突起近傍で選択的に分解されます。その結果、突起が選択的にエッチングされ平滑化されます。プロセスは、表面の突起がなくなり、原子オーダーで平滑化されると止まります。本プロセスは光化学反応であるため、様々な材料・形状に対して平滑化を実証しています。表面が平滑化されるだけでなく、得られた物質の特性の改善も可能です。
【実証例】
- ガラス、半導体、プラスチック基板のサブナノ平滑化
- 世界最高のレーザ耐性を持つミラー
- ダイヤモンド発光体の発光増強
実用化イメージ、想定される用途
・各種材料の原子レベル平滑化とそれを用いたデバイスの特性向上
実用化に向けた課題
・基板材料に応じた光源の最適化
・高速化
研究者紹介
八井 崇 (やつい たかし)
豊橋技術科学大学 電気・電子情報工学系 教授
researchmap
研究者からのメッセージ(企業等への提案)
本技術は、汎用性が高いので、ご興味をお持ちの企業の技術相談や、共同研究等をご検討の際にはご連絡ください。
知的財産等
掲載日:2020年06月12日
最終更新日:2020年06月23日