研究シーズの泉

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構造・特性を意図的に制御することができます

新規ナノ周期構造を持つBaTiO3膜の作製

ステータス 基礎 実証 実用化準備

概要

ゾル-ゲルテンプレート合成により、新規のナノ周期構造(周期的なナノメートルサイ ズの溝形状)を有するBaTiO3膜を作製しました。テンプレートにはスルーホール型の陽極酸化アルミニウム膜を用いました。このテンプレートをBaTiO3ゾルでスピンコートする際にスプレー洗浄することにより、ナノ周期構造を大幅に変化させました。形成メカニズムについては、乾燥過程での液体ブリッジ力と表面張力の観点から検討しました。本研究で得られた新規構造は、ナノ周期性を利用して性能を向上させる様々な機能性デバイスへの応用が期待できます。

従来技術

緻密膜や多孔膜を作製して、その結晶性や構造を制御することで、圧電挙動のチューニングを行っていました。

優位性

新たな手法を用いることで、これまでに得られていないナノ構造体の作製が可能となり、圧電特性のより積極的な制御や、新規特性の発現が期待できます。

特徴

両面に貫通孔の開いた陽極酸化アルミニウム(AAO)テンプレートを用いて、ゾルゲル法によりナノ周期の多孔質構造を持つチタン酸バリウム(BaTiO3:BTO)膜を合成しました。AAOテンプレートを BTOゾルでスピンコートする際にスプレー洗浄工程を組み込むことで、ナノ周期の多孔質構造を変化させました。

【研究成果】

  1. ナノ周期構造を持つBaTiO3膜を作製しました。
  2. ナノ周期構造を持つBaTiO3膜を完全に結晶化させるためには、平坦なBaTiO3膜と比較して高い温度(800℃)が必要であることを明らかにしました。
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ナノチューブ構造を有するBTO膜の作製プロセスの模式図
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ナノチューブ構造を有するBTO膜の傾斜SEM画像

実用化イメージ、想定される用途

・ユニークなナノ周期性を持つ BTO 多孔質膜
・骨組織工学のためのナノコンポジットの構成要素
・微小電気機械システム材料
・マルチフェロイクス材料
・ハイドロフォン

実用化に向けた課題

・構造欠陥の低減
・新たな機能の発見

研究者紹介

河村 剛 (かわむら ごう)
豊橋技術科学大学 電気・電子情報工学系 准教授
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研究者からのメッセージ(企業等への提案)

この技術にご興味をお持ちの企業の技術相談をお受けします。また共同研究等のご検討の際にはご連絡ください。

知的財産等

掲載日:2020年12月14日
最終更新日:2020年12月14日