2022.03No.153(オンラインNo.35)

文字サイズ

輝くギカダイ卒業生

ホーム > 輝くギカダイ卒業生

Chapter1手描き図面工房マドリズ 間取り図クリエイター 大武 千明(おおたけ ちあき) 氏

ての仕事において、人との関わりが大事だということ

大武 千明(2010年3月 建築工学専攻 修士課程修了)

tempaku153_otake_1.jpg
豊橋技術科学大学への入学前は、どのような子どもでしたか?また、入学を志望した理由はなんですか?

絵を描いたり工作したりすることが好きで、幼いながらにものづくりに携わる仕事がしたいと思っていました。大学受験に向けて進路を考えている中で、ものづくりの分野でも建築に興味を持ち、建築の勉強ができる環境で、かつ実家から通える距離の大学はないかと探した際、興味を引かれたのが豊橋技術科学大学でした。

豊橋技術科学大学で学んだことや印象に残っていることはなんですか?
学外で実践的なフィールドワークの機会をたくさん与えてもらえたことが印象深いです。中でも、松島研究室のプロジェクトとして、豊川稲荷表参道商店街の景観整備事業で店舗デザインを提案させていただいたのは、その後の仕事にも活かされる貴重な体験でした。実測調査やデザインの計画、工事監理といった建築の実務的な経験に加え、商店街や行政の方々をはじめとしたプロジェクトに関わる人たちと出会い、コミュニケーションが大切だと感じました。今でも当時関わった人たちとの仲は続いていて、中にはイラストの仕事を依頼してくださった方もいます。
また、幼い頃に住んでいた「水上ビル」をテーマとした、卒業設計に取り組んだことは感慨深いものがありました。卒業後は、社会人としてしばらく豊橋市を離れていましたが、このような地元について調べたり考えたりした学生時代の経験もあり、いつか豊橋市へ戻ろうという想いがずっと胸の内にありました。今は水上ビルから程近い人蔘湯で働いています。色々なご縁もあって、水上ビルに事務所を構えるクリエイターの方々に人蔘湯のリニューアルをお手伝いいただくなど、巡り巡っていまの活動にもつながっています。

大学で学んだことで、仕事に役立っていることはありますか?
手描き図面工房マドリズとして、建築・まちづくり分野のイラスト・間取り図の制作を主な事業としていますが、イラスト・間取り図制作においては、柔軟な発想でクライアント様に提案することを心がけています。そのルーツは学生時代の経験にあります。商店街の店舗デザイン提案の経験で学生らしいアイデアをが求められていたことや、日本人とは全く異なる発想を持つ留学生たちのアイデアに触れたことは、固定概念を崩し、可能性に満ちた新たな視野を与えてくれました。まだまだ道半ばではありますが、発想の殻を破りたい時はいつも、当時の感覚を思い出すようにしています。

tempaku153_otake_2.jpg影響を受けた本を教えてください。
松島教授に紹介していただいた1冊で、妹尾河童著の「河童が覗いたヨーロッパ」です。プレゼンのために描いた図を妹尾河童みたいだと、先生がこの本を貸してくださったのが初めての出会いに。ヨーロッパ旅行で泊まった部屋を上から覗いたように描かれているのが、分かりやすく楽しくて印象に残りました。数年後、銭湯を訪れてその間取りの面白さをどう表現しようかと考えた時にこの本を思い出し、河童さんのような描き方が適していると考えて描いたのがきっかけで、結果的に著書の出版に繋がっていきました。

仕事をする上で大切にしていることを教えてください。
全ての仕事において、人との関わりが大事だということです。特に、銭湯の仕事ではお客様とのコミュニケーションがとても大切。年配の常連様には、お話がしたくて来店される方もいますし、若いお客様も、会話を重ねることで常連になってくれることもあります。これは豊川稲荷表参道商店街での経験が下地になっています。今後は銭湯周辺の商店街とも連携していきたいと考えており、そうした発想にも学生時代の活動や当時の人脈が活かされています。

tempaku153_otake_3.jpg学生へ向けたメッセージをお願いします。
学生という立場だからこそできる経験や出会いがきっとあると思います。そうした機会を大切にしながら、学生生活を楽しんでください。

発行お知らせメール

天伯の発行をメールにてお知らせします。

ページトップへ

今見ている号のトップへ戻る