
概要
日本の三大湾(東京湾,伊勢湾,大阪湾)は,沿岸域に都市が形成されており,また多数の河川が海へと流入しています.近年,勢力の強い台風が日本に襲来し,三大湾を中心に高潮の河川遡上と降水による洪水が同時発生する複合氾濫のリスクが高まっています.この研究では数値モデルを駆使して,台風,高潮,洪水の3つの現象を計算し,複合氾濫のメカニズムの解明および脆弱性の評価を目指しています.

従来技術
既存の台風対策は,災害事に①海(高波・高潮)②河川(洪水)③山地(土砂崩れ)等に分かれており,一連の災害を一体に評価することができませんでした.
優位性
台風による大雨や暴風から洪水・波浪・高潮を全て考慮した計算を行うことで,個々の災害に加え,複合的に発生し得る災害の評価が可能になります.
特徴
研究の特徴
高解像度な3種類のモデルによる計算フレームワークの構築
- 気象モデル,降雨流出モデル,波浪・高潮結合モデルを駆使した高解像度な計算
- 全国の大中小様々な河川に対応
- 地球温暖化影響の考慮も可能

実証例
三河湾における複合氾濫発生リスクの評価
豊橋市内を流れる柳生川・梅田川と一級河川の豊川を同時に評価し,複合災害リスクを評価
- 柳生川は大雨による洪水と暴風による高潮が河口付近で同時生起する危険性がある
- 河川の規模が大きいほど高潮と洪水のピーク時刻がずれる➡小河川は危険

青:豊川,赤:柳生川,緑:梅田川
実用化イメージ、想定される用途
沿岸地域や河川付近に位置する住民,企業の方々への氾濫リスクに関する情報提供
氾濫時の水の広がり方に関するシミュレーション(避難訓練への応用等)
温暖化後の将来予測
実用化に向けた課題
予報情報を用いた複合氾濫危険予測の検証
極小河川への適用不可(例:農業用水等)
研究者紹介
豊田 将也 (とよだ まさや)
豊橋技術科学大学 建築・都市システム学系 助教
researchmap
研究者からのメッセージ(企業等への提案)
気象災害・沿岸災害,河川災害を対象に研究しています.
台風災害に関わらず気象学(天気,風力等)・海岸工学を用いた事例をご検討の際はご連絡ください.
知的財産等
掲載日:2023年07月26日
最終更新日:2023年07月26日