研究シーズの泉

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環境に優しく効果的な害虫防除法を開発します

昆虫-細菌融合共生系の成り立ちの解明とその応用

ステータス 基礎 実証 実用化準備

概要

農作物から吸汁し、さまざまな植物病原体を媒介するアブラムシ、コナジラミ、キジラミなどの重要害虫は、細胞内にすむ特殊な共生細菌なしでは生きられません。私達は、こうした共生系の基盤解析を進め、害虫だけを狙い撃ちにする、環境負荷の低い防除法の開発を目指しています。

研究キーワード

従来技術

選択性が不十分で、益虫など環境中の多くの生物へのダメージが避けられません。

優位性

害虫のみが持ち、その生存を支える共生系を標的とすることで、環境に優しく効果的な防除を可能にします。

特徴

アブラムシ、コナジラミ、キジラミなどの昆虫は、植物の師管液を吸い、光合成産物を奪うばかりでなく、さまざまな病原体を媒介することで、世界の農業に大きな被害をもたらします。
これらの昆虫は共生専用の器官を持ち、その細胞内に共生細菌を収納しています。共生細菌は虫の親から子へと数億年にわたり受け継がれて宿主と一体化しており、師管液に不足する栄養などを合成・提供することで害虫を支えています。
こうした共生系は害虫の生存に不可欠である一方、私たちヒトを含む周辺環境中の他の生物には存在しないため、選択性が高く、安全で効果的な新規防除法開発の標的として有望です。
私たちの研究室では、害虫の融合共生系の成り立ちを解明することで、害虫だけを狙い撃ちにする、環境に優しい新規防除法の開発を目指しています。

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害虫と細菌の融合共生系。世界のカンキツ産業に致命的な被害を与えるミカンキジラミの例。腹部の黄色いクロワッサン型のものが共生器官(消化管とは異なる)。その細胞内に2種類の共生細菌が多数収納され、キジラミの生存を支えている。

実用化イメージ、想定される用途

植物病原体を媒介する昆虫類の選択的防除

実用化に向けた課題

・標的遺伝子、標的タンパク質の確実な機能抑制
・有効化合物の適度な安定化

研究者紹介

中鉢 淳 (なかばち あつし)
豊橋技術科学大学 先端農業・バイオリサーチセンター 准教授
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研究者からのメッセージ(企業等への提案)

この技術にご興味をお持ちの企業の技術相談をお受けします。また共同研究等のご検討の際にはご連絡ください。

知的財産等

掲載日:2021年06月03日
最終更新日:2023年06月23日