研究シーズの泉

豊橋技術科学大学、長岡技術科学大学、国立高等専門学校の研究シーズが結集した横断的に検索可能なサイトです。

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ゲノム安定化の仕組みの理解、遺伝子リスクの検知に貢献できます

合成生物学に基づくレポーター酵母の創出

ステータス 基礎 実証 実用化準備

概要

合成生物学的にゲノム改変したレポーター酵母を利用して、発癌の要因となるDNA傷害性や細胞傷害性を起こす酸化傷害性を簡便に検出できるシステム開発を進めています。DNA組換えやゲノム編集を利用して、各傷害に特異的に応答する遺伝子プロモーターを組み込んだゲノム改変型レポーター酵母を作製し、DNA損傷や酸化傷害を検出するためのバイオセンサとして利用します。

従来技術

DNA傷害性検出には、サルモネラ変異株を用いたAmes試験や動物による発癌性試験、培養細胞による試験等が用いられています。

優位性

動物愛護の精神にかない、真核生物を用いるのでバクテリア試験より人に適用できる結果が得られます。また比較的安価で簡便な試験法で、多様なDNA傷害性を検知できます。

特徴

組換え酵母を用いた遺伝毒性および酸化損傷を検出するためのバイオアッセイを開発、評価しました

本アッセイ系は、DNA損傷応答性のRNR3プロモーター制御下で様々なレポーター(ベータがラクトシザーセ、緑色蛍光蛋白質(GFP)、ルシフェラーゼなど)を発現する酵母(Saccharomyces cerevisiae)を用います。
さらにDNA修復遺伝子を欠損させた酵母を用いることで、高感度に多様なDNA傷害性を検出できることを明らかにしています。

上記の方法では困難な過酸化水素などの酸化傷害性の検出を目指して、酸化ストレス応答性のTRX2プロモーター制御下でルシフェラーゼを発現する酵母を開発しました

TRX2プロモーター制御下で短寿命型ルシフェラーゼを発現する酵母株では、酸化剤の添加によって一過的なルシフェラーゼ活性の上昇を検出できました。本酵母株では、過酸化水素以外に、tert-ブチルヒドロペルオキシドやメナジオンに応答したルシフェラーゼ活性の上昇も確認できました。

本バイオアッセイを用いることで、遺伝毒性および酸化傷害性の検出が可能です。
現在、より高感度で特異的な傷害性の検出を目指して、これらの酵母をゲノム編集により改変する研究を進めています。

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レポーター酵母によるバイオセンシング

実用化イメージ、想定される用途

・変異原性試験
(食品、医薬品、化成品、廃棄物、複合的な環境汚染源などへの適用)

実用化に向けた課題

モバイルシステムとしての装置化、安価で簡便な発光検出系の開発など

研究者紹介

浴 俊彦 (えき としひこ)
豊橋技術科学大学 応用化学・生命工学系 教授
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研究者からのメッセージ(企業等への提案)

この技術にご興味をお持ちの企業の技術相談をお受けします。また本シーズ以外の酵母に関連するテーマも含めて、共同研究等をご検討の際にはご連絡ください。

知的財産等

掲載日:2020年07月16日
最終更新日:2020年07月16日