研究シーズの泉

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模擬難聴による音のユニバーサルデザインを実現させます

模擬難聴システムWHISの共同研究・開発

ステータス 基礎 実証 実用化準備

概要

心理物理学的手法を中心にさまざまな心理実験パラダイムを用いて、聴覚知覚に関連する問題に取り組んでいます。 聴覚の初期過程の計算モデルを利用した難聴シミュレーションによって、幅広い聴力の聞き手の聞こえを再現・検証・予測します。

従来技術

市販の難聴シミュレーションは周波数帯域ごとに線形に音圧レベルを低下させるものがほとんどです。

優位性

・聴覚の非線形性を導入した難聴シミュレーションによって、難聴者の聞こえをよりリアルに体験可能です。
・従来の難聴シミュレーションに存在した信号処理由来の雑音がない、高品質なシミュレーションが可能になります。

特徴

聴覚機能には未だ解明されていない部分がたくさんあります。このような聴覚を理解するために有用なのが、聴覚経路の各段階で行われる処理を表現した計算モデルです。計算モデルによる聴覚の研究では、周波数成分、波形の周期、ダイナミックレンジ等の音響信号の特徴を聴覚がどのようにとらえているかを心理物理学的実験によって測定し、結果を計算モデルに反映させ、知覚現象が新しく予測されます。さらにその予測の検証に実験を重ねるサイクルによってモデルの精度を上げていきます。

【和歌山大学、名城大学の研究室との共同研究成果】

模擬難聴システムWHIS (Wadai Hearing Impairment Simulator)

(https://cs.tut.ac.jp/~tmatsui/whis/index.html)

模擬難聴システムWHISとは、難聴者の「聞こえにくさ」を体験・理解するためのシステムです。聴覚末梢の計算モデルを応用して開発しています。難聴者、特に今後増え続けていくと予想される老人性難聴者がどのような聞こえの世界に暮らしているのかを理解し、さまざまな聴力、聴覚の状態に対応する新しい音デザインを提案するために用いたいと考えています。また、学校の卒業後にすぐに現場で難聴者、お年寄りに対応しなくてはならない言語聴覚士に向けて、養成課程での教育利用に取り組み始めています。

このように模擬難聴システム自体の開発と改善、ならびにシステムを利用した高齢者の聞こえの研究に取り組んでいます。

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模擬難聴システムWHIS

実用化イメージ、想定される用途

・言語聴覚士養成支援ツール
・すでに使用されているサイン音や放送音声、環境音などの評価
・各種音デザインの際の聞こえ方のテストツール

実用化に向けた課題

・難聴シミュレーションはMATLAB(数値解析ソフトウエア)依存のため汎用性の検討
・リアルタイムで動作させるための開発
・特定の機材以外で利用する場合、機材の音圧のキャリブレーション

研究者紹介

松井 淑恵 (まつい としえ)
豊橋技術科学大学  次世代半導体・センサ科学研究所  教授
researchmap

研究者からのメッセージ(企業等への提案)

模擬難聴システム関連の技術相談・開発相談は和歌山大学・名城大学も関係しますが、本格的な技術相談に向けた事前打ち合わせには本学だけで応じることもできますので、お気軽にご連絡ください。また共同研究等のご検討の際にはご連絡ください。

知的財産等

掲載日:2020年09月08日
最終更新日:2023年06月23日