研究シーズの泉

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潤滑環境下での低摩擦化に成功!

金属表面層の集合組織制御による低摩擦化技術の開発

ステータス 基礎 実証 実用化準備

概要

私たちは潤滑油環境下における摺動による損失(フリクションロス)を低減する低摩擦化に、摺動部を構成する金属そのものの結晶の方向を揃えること(集合組織制御)で、金属と潤滑油・添加剤とのぬれ性を向上させ、低摩擦化できることを明らかにしました。

従来技術

潤滑油環境下における低摩擦化は、一般に潤滑油への添加剤配合や摺動部の表面形状を調整することなどで行われてきました。

優位性

・鉄鋼材料の{110}面は加工や熱処理により揃え易い結晶面であることから、産業展開の観点から画期的なものと言えます。
・従来の低摩擦化の方法と組み合わせることで、さらなる低摩擦化が期待できます。

特徴

私たちは、金属の結晶粒の大きさをナノメートルレベルにまで小さくすることにより、潤滑油・添加剤とのぬれ性を向上させ、低摩擦化できることを報告しました。(2016年4月)

今回、摺動部となる鉄鋼材料表面層の結晶を特定の方向に揃えること、つまり、集合組織制御することで、結晶粒の大きさをナノメートルレベルにまで小さくした場合と同等以上に摩擦を低くできることを明らかにしました。

  1. 従来材に比べて集合組織化材では10 %以上の低い摩擦係数μを示しました。(図1)
  2. 低摩擦化の理由は、集合組織制御で揃えた{110}面において、結晶粒全体に潤滑油の膜がぬれ広がって形成するためです。(図2)
  3. 鉄鋼材料における{110}面は加工や熱処理により揃え易い結晶面であることから、今回の成果は産業展開の観点から画期的なものと言えます。
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図1 集合組織化材と従来材の摺動特性
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図2 集合組織化材の潤滑油膜(オイレン酸)SEM画像

実用化イメージ、想定される用途

低摩擦化、潤滑性能向上のための摺動部用鉄鋼材料開発

実用化に向けた課題

非鉄金属等の他の金属への適用

研究者紹介

戸高 義一 (とだか よしかず)
豊橋技術科学大学 機械工学系 教授
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研究者からのメッセージ(企業等への提案)

この技術にご興味をお持ちの企業の技術相談をお受けします。また共同研究等のご検討の際にはご連絡ください。

知的財産等

掲載日:2022年01月26日
最終更新日:2022年09月26日