概要
物体が衝突するときの構造の衝撃破壊・損傷を評価するために、磁石が埋め込まれた物体が衝突する構造付近に置かれたコイルに生じる誘導起電力を測定し、これより衝撃荷重および構造の変形を測定することを可能にしました。
従来技術
衝突する物体あるいは構造が小型あるいは柔軟な場合にセンサーが設置できず、衝撃荷重を測定することができませんでした。
優位性
これまで測定することができなかった場合の衝撃荷重の測定が可能となり、同時に衝突した箇所の構造の変形をも測定することができます。
特徴
《測定原理》
磁石が埋め込まれた物体(衝撃体)が衝突する際の構造(試験体)の近くに置かれたコイル内の誘起起電力を測定を行ないます。誘導起電力は衝撃体の速度に比例することから、衝撃体の運動を求め、運動方程式により衝撃荷重を求めます。さらに衝突している時間内の衝撃体の変位が試験体の変形となります。
【特長】
- 非接触の測定であるため、物体と構造の衝突に影響を及ぼさない
- センサーを取り付ける必要がないため、小形衝撃体の場合も測定が可能である
- ケーブルがないことから衝撃体の運動を拘束しない
- 高価・特殊な測定装置を必要としない
<測定実績>
- 約70 m/sの速度で衝撃体がゴム平板を貫通するときの衝撃荷重および平板のたわみの測定
- 質量1 g以下の衝撃体がガラス平板に落下したときの衝撃荷重および平板のたわみ測定
- 繊維の動的引張試験において、作用する荷重および繊維の伸びの測定 など
実用化イメージ、想定される用途
今まで衝撃に対する定性的な評価(衝撃に対する破壊、破損の有無のみ)ではなく、定量的な評価(数値で示される強度)を行うことができます。
実用化に向けた課題
個別の試験条件によって測定系を設計する必要があります。
研究者紹介
足立 忠晴 (あだち ただはる)
豊橋技術科学大学 機械工学系 教授
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研究者からのメッセージ(企業等への提案)
この技術にご興味をお持ちの企業の技術相談や、共同研究等をご検討の際にはご連絡ください。
知的財産等
掲載日:2020年06月16日
最終更新日:2020年06月23日