豊橋技術科学大学

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4月3日に豊橋技術科学大学入学式を挙行しました

イベント報告 | 2026年4月 6日

4月3日に豊橋技術科学大学入学式をアイプラザ豊橋にて挙行しました。若原学長はアカデミックガウンを着用し、式に臨みました。

若原学長からの式辞は次のとおりです。


入学の日を迎えられた学部一年次、ならびに編入学された三年次の皆さん、そしてさらなる高みを目指して大学院博士前期・後期課程へ進学された皆さん、ご入学、誠におめでとうございます。また、これまで慈しみ育て、今日という晴れの日を分かち合っておられる保護者の皆様にも、学長として心よりお慶び申し上げます。
豊橋技術科学大学は、今年度 学部1年次、3年次、大学院博士前期課程、博士後期課程 総計961名の入学者を迎えました。

本学の名称に冠された「技術科学」という言葉には、単なる用語の羅列を超えた、学問としての深い誇りと志が込められています。一般に「科学技術」という言葉は、科学と技術を並列に指すものとして使われますが、本学が掲げる「技術科学」とは、社会科学や物理学などと同様に、特定の対象を科学的手法で探究する独立した学問体系を指します。すなわち、現実の技術を科学的アプローチによって分析し、新たな理論体系を構築することで、さらに高度な、あるいは全く新しい技術を創出していくという道筋であります。かつてライト兄弟がフライヤー号で初飛行に成功した時代、そこにはまだ流体力学や航空力学といった体系的な理論は存在していませんでした。当時の持てる技術を集約して「飛行機」という機能を実現する機械を発明したのです。しかし、その発明を契機に膨大な実験データが収集され、科学的な分析と数学的表現による理論化が進んだ結果、航空力学という新たな学術領域が誕生しました。この理論の確立こそが、初飛行からわずか五十年の短期間で人類を超音速機や大型旅客機の実用化へと導いたのです。必ずしも理論が先行するわけではなく、イノベーションは常に「ものづくり」を基盤とした果敢な技術的挑戦から始まるという事実は、本学で学ぶ皆さんが胸に刻むべき真理であります。

現在、私たちは人工知能(AI)が日進月歩で進化し、社会の在り方を根本から変容させようとする歴史の転換点に立っています。先般の大学共通テストでAIが満点に近い成果を上げたことは、近い将来に達成可能と予測されていたとはいえ、大きな衝撃を与えました。 
また、研究においても「AI for Science」として莫大なデータから新薬や新材料の創出が加速されています。このAI技術が社会を変革しつつある状況は、かつて1970年代に登場したマイコンが、固定電話やテレビなどの中央集約的なシステムを、個々の端末による分散処理を基本とする分散ネットワーク社会へと転換させた歴史を彷彿とさせます。重要なのは、当時、この巨大な変革を牽引したのが、ベンチャー企業を立ち上げた若者たちの情熱と挑戦であったということです。皆さんは今、自らのアイディア一つで世界を塗り替えるチャンスに満ち溢れた、可能性の只中に学びの場を得ているのです。大学とは最高学術機関であり、ここでの学びは決して受動的なものではありません。 自ら問いを立て、未知を追求し、自らの興味を突き詰める場です。また、構成員がそれぞれの立場を尊重しながら、多様なアイディアや異なる分野の専門家との議論を重ねて、新たな知的創造活動を行う場でもあります。
昨年の坂口志文先生、北川進先生のノーベル賞受賞、あるいは日本人が毎年輩出しているイグノーベル賞の知見は、いずれも「根本的な問い」に対する徹底的な探究が生んだ成果に他なりません。これは、日本の研究者が多様な視点から問題の本質に迫り続けている証でもあります。 皆さんも、自らの専門性に安住することなく、新しい技術や未知の領域に積極的に挑戦してください。学生時代は、挑戦し、たとえ失敗しても、これを糧に成長することが許容される期間です。皆さんの失敗を恐れない若く柔軟な発想こそが、次世代のイノベーションを切り拓く鍵となるのです。

一方で、現代社会は「VUCA」と呼ばれる、先行きが不透明で不確実な時代を迎えています。紛争や災害、サイバー空間での誹謗中傷など、価値観の相違を合議形成ではなく主張を押し通すことで対立を生む困難な状況が続いています。この時代を生き抜くためには、既成の常識にとらわれず、多様な意見を尊重し、その背景にある想いに共感しながら、皆が納得しうる解決策を導き出す知恵が求められます。  多様な意見を持つ集団の中で新たな価値創造の合議を行うためには、高い創造性、問題発掘力、コミュニケーション能力、批判的思考力、人間性、感情的知能(EQ)が求められます。これらの能力は、教室の中での講義だけでは得られないものばかりです。本学には、留学生比率が一割を超える国際的な環境、多段階の海外実習や海外大学とのダブルディグリープログラムといった世界へ挑む舞台が整っています。教室での講義に留まらず、異なる背景を持つ仲間との議論や、サークル活動、地域社会との共創を通じて、高い創造性、批判的思考力、そして豊かな人間性を養ってください。

さて、皆さんは、技術・科学の分野に取り組むための、明確な目標をもっていますか? まだ、明確な目標を見つけられていない方は、焦らずに基礎を固めながら情熱を傾けられる目標を見つけてください。私自身もかつて、皆さん等同様に高専から本学へ編入学した一人でありました。高専3年生の頃は何を目指すべきか迷いの中にいましたが、半導体工学との出会いが私の人生を決定づけました。半導体工学を学ぶために進学を選択し、大学での学びと研究の模索を通じて光と電子による機能を融合した「光電子集積」の具現化というテーマにたどり着いたのです。専門外の知識が必要になった際には、サークルや宿舎で出会った他専攻の友人が私を助けてくれました。研究の道は失敗の連続でしたが、恩師は私を責めることなく、「上手くいかない時にどうするかを考えるのが工学だ」と励ましてくださいました。 この「失敗を乗り越えた成功体験」こそが、私の財産であり、当時の友人とは今も切磋琢磨し合える関係が続いています。失敗は学生に許された最大の特権であり、挑戦の証です。失敗を恐れて立ち止まってはなりません。日々の出会いを大切にし、常に「なぜ」を問い続け、興味のあることを「わかる」まで徹底的に突き詰めてください。その深い洞察の先に、皆さんが真に情熱を傾けられる道が開かれるはずです。

最後に、皆さんにこの言葉を贈り、式辞といたします。『失敗を恐れず、未来に向かって挑戦し、世界へ羽ばたけ』。
皆さんの本学での歩みが、実り多く輝かしいものとなることを心より願い、私の歓迎の挨拶とさせていただきます。

令和8年4月3日 
豊橋技術科学大学 学長 若原昭浩

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学長式辞

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学部生入学者代表 吉成さん

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博士前期課程入学者代表 福井さん

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博士後期課程入学者代表 森さん

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