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世界初、脳の細胞「外」カルシウム動態を"非標識"で可視化することに成功 新型CMOSカルシウムイメージセンサ誕生

プレスリリース | 2025年8月28日

山梨大学医学部薬理学講座 小泉修一教授及びパラジュリ ビージェイ特任助教と、豊橋技術科学大学次世代半導体・センサ科学研究所 澤田和明教授と土井英生特任助教の研究チームは、「CMOSカルシウムイメージセンサ」という新しいイメージングデバイスを開発し、非標識で、神経細胞やグリア細胞の活動に伴って生じる細胞外カルシウム(Ca2o)のダイナミックな変化を可視化することに成功しました。

カルシウムイオン(Ca2+)は、神経伝達物質やホルモンの放出、筋肉の収縮、遺伝子発現等、細胞の機能制御で不可欠な役割を担っています。これらCa2+は、生理的刺激条件下、病態時等に、細胞内で劇的に上昇することで様々な細胞機能を惹起するため、これまでのほとんどすべての研究は、細胞「内」カルシウム(Ca2+i)の時空間動態に注目したものでした。従ってCa2+i測定のための、有機化学的な蛍光プローブ、遺伝的にコードしたCa2+蛍光蛋白質など、莫大な数、多様性に富んだ、高度な可視化技術が次々と開発され、バイオロジー分野の研究を大きく発展させてきました。一方、Ca2+は細胞外にも存在するものの、「細胞「外」カルシウム(Ca2+o)」にはこれまで殆ど注目が集まらず、その解析手法も限られた特殊な技術にとどまっていました。

こうした背景のもと、本研究チームは、最先端の半導体技術で広く用いられているCMOS(相補型金属酸化膜半導体)集積回路技術を基盤とし、Ca2+選択性イオノフォアを塗布した「Ca2+イメージセンサ」を世界で開発し、脳科学への応用に成功しました。その結果、神経細胞やグリア細胞の活動に伴って、脳細胞周囲のCa2+oが予想を大きく上回って低下すること、この低下が波のように空間的に広がる現象が起こること、が明らかとなりました。さらにこのCa2+o低下の分子メカニズムに、NMDA受容体が重要な役割を果たしていることも明らかにしました。Ca2+oの変動は、非常に大きくダイナミックで、その程度は脳部位により異なっており、さらにそれが周辺にシグナルのように伝わっていきました。従って、Ca2+oそのものが、全く新しい「シグナル」として、神経細胞やグリア細胞の機能を調節している可能性が示唆されました。このように、イメージセンサによる脳のCa2+oの解析により、新しい脳の調節機構や、脳疾患の新しい原因が明らかになることが期待されます。

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世界初、脳の細胞「外」カルシウム動態を"非標識"で可視化することに成功 新型CMOSカルシウムイメージセンサ誕生

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