特集
もくじ
- 「ギカダイで学ぶ」という選択
若原理事・副学長を招き、現役ギカダイ生が先生の本音を伺った「リアルトーク座談会」の様子をお送りします!
Chapter1「ギカダイで学ぶ」という選択
世間一般から見ると未だ謎も多い「ギカダイ」。 ギカダイを母校に選んだギカダイ出身の理事・副学長と現役の学生を迎えて座談会を行い、「ギカダイで学ぶ」ことの真の価値やギカダイ生も気付いていないギカダイの可能性に迫ります。

座談会参加メンバー
■若原理事・副学長とギカダイの出会い
(嶌田)若原先生は僕らがまだ生まれていない1983年に豊橋に来られたということですが・・・なぜギカダイを選んだんですか?
(若原)半導体の結晶成長に興味があったんですよね。大学でも結晶成長を勉強したいと思って高専の卒研の先生に相談したら、当時国際学会でも発表している西永教授が豊橋にいると教えてもらって。
(嶌田)じゃあ研究がしたくてギカダイを選んだんですね。
(若原)だけどギカダイに来て、先生の部屋を訪ねるもずっと居ない。おかしいと思ったら、先生は4月から他大学に異動したよ、と。超衝撃的だよね(笑)
(嶌田・壷田)えーっ?!(笑)
(若原)ショックはあったけど、その後は研究に集中しましたよ。基本的には半導体の研究ですね。結晶を作るための装置を設計していました。修士課程からはテーマを変更し、結晶の製作や評価をして。教授に誘ってもらい、博士課程に進学した、という感じです。
(嶌田)教授から声をかけてもらえるなんてすごいですね!
(壷田)ギカダイって今は「技術者になるために良い学校」って印象なのですが、先生が入学した当時はどんなイメージだったんですか?
(若原)当時も高専生の大学というイメージはありました。でも今程どの大学も大学説明会とかがなかったし情報も少なかったので、どこを選んでもある程度はギャンブルって感じだったかな。
(嶌田)それを聞くと情報を得られる僕らは恵まれてるなと思いました。入学してみて驚いたこととか、「ギカダイあるある」みたいなことはありましたか?
(若原)言葉と文化だよね。ギカダイって明らかに訛ってるのに必ず「俺が標準語」って言う人いない?
(壷田)たしかにいます(笑)
(嶌田)全国色々な所から集まってるからですかね(笑)自分が喋っていたのが方言だったとギカダイに来て初めて気付いたことは僕もよくありました。
(若原)色々な方言がミックスされて、半年後帰省する頃には変な「ギカダイ言葉」になったりして(笑)ギカダイって高専の延長かと思いきや、そういう面ではカルチャーショックや発見もあるよね。

■ギカダイでの先生のお仕事について
(嶌田)若原先生はギカダイで博士課程を修了して、その後他大学でのご経験を経てギカダイの先生になられたそうですが、本学は「ギカダイ卒」の先生が多いのでしょうか?
(若原)1/3くらいですね。あとの1/3が会社経験のある先生、残りが他大学ご出身の先生という感じなので、ギカダイは他に比べても非常にバランスが良いと思います。
(嶌田)なるほど。現在の先生の役職について質問なのですが「理事・副学長」というのは理事?それとも副学長?
(若原)理事で副学長職を兼任、という形です。主に大学の経営、将来構想、中期目標、それから高専連携と研究に関する仕事をしています。例えば6年間で中期計画を決定するのですが、中期目標に対して道しるべを作るのが将来構想という仕事になります。これは経営者のような仕事で研究とは全く違う考え方を持って行わないといけません。心配りも必要です。でも母校の発展のために貢献できるので、嬉しい気持ちもありますよ。
(嶌田)比較的長いスパンのお仕事ですよね。どのようにモチベーションを維持していますか?
(若原)やっぱり「大学を良くしたい」気持ちだけじゃないですか。 卒業生が力をつけて社会で活躍して社会貢献できる。それが良い大学だと思います。だから、学生が学生生活をエンジョイして、望む力を限りなく身に付けて、社会に出て活躍するための自己研鑽が出来るギカダイでありたいと常に思っています。
(嶌田・壷田)僕たちも頑張ります。

■ギカダイの自慢とギカダイ生も気付かない強み
(嶌田)学生時代から現在まで、長く本学を見てきた若原先生が思うギカダイの自慢はなんだと思いますか?
(若原)学生の能力でしょう。ギカダイはマスターで国際学会発表をする学生も多いのですが、他の大学ではなかなかないです。また研究や理論だけじゃなくて、実践という意味でも日本で一番、世界でもトップクラスの学生がいるのではないかと思っています。以前も見学に来られた他大学の先生に「ギカダイは装置のメンテナンスを学生がやっている」という話をしたらビックリされました。
残念なのは学生がそれを自覚していないこと。自分が学生の時も言われていました。でもその時はさっぱりわからなかったんですよね。他の大学に行ったことがないから比較しようがない(笑)でも他の大学を知って「あれ?ギカダイもやれるんじゃないか?遠慮しないでもっとバンバンやればいいんじゃないか」と思いました。ポテンシャルが高いのに、やれるという自負が少ないのは勿体ない。
(壷田)じゃあどうにかして自己肯定感を上げて、チャレンジをする、と。
(若原)そうそう!チャレンジしていったら良いと思います。失敗を恐れず。
(嶌田)ギカダイ生のポテンシャルは高いのだから、意識を変えればという事ですよね。
(若原)あとはそれを引き出す仕掛けも必要だと思います。例えば現状キャンパス内を見れば、学生宿舎も学生がデザインした物をベースに設計をしていたり、中のカラーリングを学生がやっていたりする。でも皆はそれを知らないですよね。もしそれを知っていたら?先輩もやってたんだ、学生でもこんなことが出来るんだ、そう思ったらどう?自分もやってみたくならない?
(壷田)たしかにそう言われるとやってみたくなりますね!

■ギカダイで学ぶ学生に望むこと
(嶌田)先生がギカダイ生に期待していることってありますか?
(若原)自分の能力について壁を作らないでほしい。なんとなく、ギカダイ生って自分の限界がここっていう風に決めてる人が多いんじゃないかな。
(壷田)そうですね、僕も含めて。
(嶌田)自分もそうだと思います。
(若原)そこは天井を壊してください(笑)やってみてないから出来ないと思っているだけで、やってみたら「なんだ、簡単じゃない」と思えることがきっとたくさんあると思います。それが出来るようになるともっとすごい力を発揮出来るから。
(嶌田)今先生に言われてハッとしました。ギカダイって専門分野に長けている人が結構いるので、この人に聞けばいいやと自分ではやらずに甘えていた部分もあって...反省します(笑)
(若原)それはそれでいいんだよ?色々な専門性の高い学生がいるからこそ、今度はその人たちを集めて組み合わせてチームを作るって言うポテンシャルを持ってる学生がいても面白い。ギカダイ生発のプロジェクトで何かやってみる、とかね。

■座談会を終えて思う「ギカダイで学ぶ」という選択
(嶌田)最後に、この座談会を通して感じた「ギカダイで学ぶという選択」について振り返っていきましょう。まずは僕から。
僕自身改めて考えると、ここを選んですごく良かったと思っています。高専からギカダイに来て、いろいろな人と関わって視野も広がったし、ギカダイじゃなかったら今の自分は無かったと思えるくらい良い経験をさせてもらったので、ここへの進学を勧めてくれた高専の先生には感謝しています。
今回の座談会も気付かされることが多くて「もっと早くやっておきたかった」という気持ちでいっぱいです(笑)この話が1人でも多くの学生や、これからギカダイ入学を考えている学生さんに伝わってくれればいいと思います。
(壷田)僕もギカダイを選んだことに後悔はないですね。本当に良い大学だなと思って過ごしていましたが、改めてそれを実感しましたし、普段はこんな風に客観的に考える事はなかったので、今回の座談会で自分がどんな環境で大学生活を過ごしているか自覚する良いキッカケとなりました。
(若原)私自身は最初にお話ししたとおり、ギカダイに目的を持ってきましたが、残念ながら一時はその目的がなくなりました。それでも前を見て、何をアドオンするかを考えてギカダイでの時間を過ごし、今も目標に向かって進むことが出来ていると思います。
目的が無くなったら探せば良い。ギカダイに入ることが目的じゃない、ギカダイを出るまでの間に何を身に付けるか。これは社会でも同じ。
自分の判断に対して常に責任を持って、ギカダイで自分に何をプラスするかを考えながら学んでもらえると、悔いの無い生活が送れるんじゃないかな。
企画・制作:天伯編集部
ライター:松岡 翔平
カメラマン:柄澤 幸太郎