2022.08No.154(オンラインNo.36)

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ラジオ番組『天伯之城ギカダイ』

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もくじ

Chapter1次世代燃料電池の研究 ~カーボンニュートラル社会の実現を目指して~

電気・電子情報工学系 教授 松田 厚範

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Q 燃料電池車って最近街でもよく見かけます。水素と酸素を反応させて発電、水しか出さないんですよね。
A あれ、いろいろ面白い工夫があって。出た水を加湿に使ったりしてるんですよ。



Q 燃料電池って加湿が必要なんですね!先生はその燃料電池の研究を行っているとか。
A はい。ポイントは電解質の部分で、そこに水素の陽イオン"プロトン"が流れてきて酸素と反応するんですが、その効率を上げるために電解質の材料など工夫しています。



Q 具体的にはどんな工夫ですか。
A 燃料電池って90℃の環境で発電させるんですが、もっと高い温度、たとえば150℃ぐらいで、しかも加湿なしで発電できることを探究しています。そうするとコストも下がるんです。



Q どういうことですか。
A 燃料電池も触媒を使って反応を促進させています。ガソリン車は排ガスをクリーンにするために白金を触媒に使っていますが、燃料電池車の場合、水素がプロトン化するのを促進させるため白金を触媒にしています。もし今よりも高温の環境で発電ができれば、触媒が少なくても反応が進むので白金の使用量が少なくて済むんです。白金は高価ですのでこれで随分コストが下げられるわけです。



Q 燃料電池にとって高温下で発電できることって大事なんですね。先生はどんな方法で解決しようとしているんですか。
A 燃料電池車の電解質は液体だとチャプチャプしちゃうので固体高分子を使います。高分子は柔軟性に優れ、これに耐熱性に優れたセラミックスを添加させることで、高温下での速い反応を追求しています。



Q 実はここにその電解質があるんですが、円形のお皿のようなタイプで、黄色い半透明のフィルム状になっています。意外に薄いですね。
A そのフィルムの中にナノ粒子のセラミックスが入っていて、プロトンの移動を助ける仕組みになっています。研究室ではすでに150℃の温度下で発電できる性能が確認されています。この技術で、燃料電池はより高性能かつ低コストになると期待されます。燃料電池は電気自動車より充填時間や航続距離にアドバンテージがあり、今後は乗用車だけでなく長距離バスやトラック、船舶、航空機にも使われるようになるでしょう。



Q なんだかワクワクしてきました。未来が楽しみです。
A ありがとうございます。



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Chapter2まちなか図書館へGO!!

エレクトロニクス先端融合研究所 講師 大島 直樹

tempaku154_oshima1.jpgQ いま話題の「まちなか図書館」のオープニングイベントに技科大も参加したんだそうですね。
A 2つのコンテンツを登場させました。1つは"iBones(アイボーンズ)"というロボットです。
"弱いロボット"でおなじみのロボットですが、今回はオドオドしながら、来場者の手指消毒をお手伝いしました。



Q まちなか図書館入口に、白い骨を何段か重ねたようなデザインのiBonesクンがいます。あ、5歳ぐらいの女の子がiBonesクンの手に手を重ねています。お、今"シュッ"と消毒液が出て「どーもどーも」みたいな感じで二人の間にコミュニケーションが生まれていますね。
A こちらオープニング2日間で2,000人のお客様に体験していただきました。



Q 2,000人! iBones クンすごい!オドオドしながら、さぞ心の中では"ドヤ顔"だったことでしょう。
A かもしれないですね(笑)。
もう1つは"MoCoMo(モコモ)"という、ロボットというよりモニターに表示されるアニメーションで、図書館の推し本を紹介するというものです。



Q 図書館設置の巨大なモニターの青い画面に、白い雲型の吹き出しが7つフワフワ表示されています。大きさとかバラバラなんですが、各々目があってまばたきするので生き物感満載です。それぞれ1冊"推し本"のタイトルや内容紹介を表示しています。画面に触れるとそこにMoCoMoが「オレ?」と言わんばかりに飛び込んできて、それを見た別のMoCoMoも「いやいやオレだろ」って感じで各々担当する推し本を見せてきます。押し合いへし合い、激しくグルグル回ったり跳ね返ったり、書いてある文章も逆さになったり斜めになったり、読みにくいですけど・・・・・・見ちゃいますね。
A オープニングイベントの後、アンケートを行いましたがiBonesもMoCoMoも「かわいい」とか「反応の良さにインタラクションが感じられる」と好評でした。
インタラクションとは、会話など情報のやり取りのことで、ロボットの研究分野では、今とても重要なキーワードになっています。これを無視してロボットの研究はできないと思います。



Q こういうのってどれぐらいでできるものなんですか。
A 1年ぐらいでできました。技科大にはプログラミングやモノ作りが好きな高専生や高校生がたくさん入ってくるので、みんなでどんどんアイデアを出し合って、あまたのボツが出たあと生き残ったのがこれだったというところです。



Q アイデアの押し合いへし合いがあって生まれたんですね(笑)。
A そうですね。MoCoMoのように・・・(笑)。
MoCoMoは今もまちなか図書館で活躍中です。気になる方は、ぜひ会いに行って自由にタッチし、楽しんでください。


ありがとうございました。



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天伯之城 ギカダイ

 豊橋技術科学大学はエフエム豊橋(84.3MHz)とのコラボレーションにより、tempaku_watanabe.png
本学のアクティビティを広く皆様にご紹介するラジオ広報を放送しています。その名も「天伯之城 ギカダイ」。
 https://www.tut.ac.jp/castle.html ←こちらより視聴可能
 エフエム豊橋の人気パーソナリティ渡辺欣生さんが、毎週、本学のいろいろな研究室、サークルなどを訪問し、普段、素朴に思う技科大の「なに?なぜ?どうして?」を分かりやすく紹介しています。

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