2021.07No.152(オンラインNo.34)

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輝くギカダイ卒業生

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Chapter1NASAジェット推進研究所エレクトロニクスエンジニア 丸山 結城(まるやま ゆうき) 氏

戦して岐路に立たされた時は、「どぎゃんかなる」と考える

丸山 結城(2008年3月 電子・情報工学専攻 博士後期課程修了)

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大学入学前は、どのような子ども・学生でしたか?

子どもの頃は物を作るのが好きでした。小学生の頃に病気で、暫く外で遊べない期間があったためかもしれませんが、ブラモデルや工作など色々作ったり、改造したりして遊んでいました。またその時にいろんな本や図鑑を読んで、宇宙関係の仕事に興味をもちました。高専に進学したのも、中学生の頃にJAXAに電話した時、広報の方から高専の卒業生で衛星の管制室で働いている方がいると聞いた事がきっかけです。

豊橋技術科学大学への入学を志望した理由は何ですか?
高専の卒業が近づいて就職先を考えていた頃、自分の通っていた高専からJAXAに入るのはかなり難しいことがわかり、自分のやりたい仕事をするには豊橋技科大で更に専門的な知識を学ぶ必要があると思い入学を希望しました。

豊橋技術科学大学で印象に残っていることは何ですか?
研究室での活動が一番印象に残っています。学年が上がるほど研究室での活動時間が増え、それまでは教室の授業で学んでいた事を、実際に様々な機器に触れながら自分で作れるのは大変楽しかったですし、貴重な体験でした。また、先生方はもとより、先輩、後輩とフランクに話が出来る環境も有難かったです。色んな失敗談や成功の話、他のグループの研究の話などワクワクしました。

Long_Wave_IR_Image.PNG今まで、どのような仕事を経験されてきましたか?
主に衛星や惑星探査機に搭載する科学機器の電子・電気回路の設計とテストです。現在稼働中のものでは、ECOSTRESS (Ecosystem Spaceborne Thermal Radiometer Experiment on Space Station) や、OCO-3 (Orbiting Carbon Observatory-3) などの地球観測用の機器があります。どちらも国際宇宙ステーションの日本実験棟「きぼう」に取り付けられています。また将来の衛星や探査機のための様々な科学機器の開発なども行っています。最近はひずみ層超格子を用いた長波赤外線カメラの開発、評価も始めました。(天伯の寄稿依頼をいただいた時に、ちょうど撮像素子の評価中だったので、自撮りしました。)

大学で学んだことで、仕事に役立っていることはありますか?
研究室で実際に手を動かしながら体得したことはかなり役に立っています。私の研究室ではセンサーや回路の設計から、製作、評価まで全て自分でやるのが基本でした。時には装置の修理さえやることも。一方、海外では日本より分業が多いように感じます。例えばセンサーや回路を作るにしても、設計、PCBレイアウト、機器の組み立て、評価は別々の人が行うことがよくあります。上手く進んでいる時は良いのですが、一度問題が発生すると原因究明や改善に時間がかかるケースを多く目にします。全ての工程をやった経験があると全体を見て、スムーズにプロジェクトを進めることが出来ますし、多少の変更や修理であれば自分で素早く対処出来るので、開発時間の短縮や経費削減になっています。

仕事をする上で大切にしていることを教えてください。
仕事をする上で大切にしていることは、まず疑問をもつことです。例えば実際に衛星に搭載されたものを見た時、なぜこの回路構成なのか?なぜこの部品なのか?なぜこんな部品配置や構造になっているのか?など。理由はケースバイケースで様々ですが、よく見て考えることでその開発過程や先人から学べることが沢山あり、次のデザインに活かすことが出来ると思っています。

tempaku152maru_3.PNG学生へ向けたメッセージをお願いします。
いつも岐路に立たされた時は、「どぎゃんかなる」と考えるようにしています。私の出身の熊本弁で、「どうにかなるよ」という意味です。やらないで後悔するより、挑戦してみる。もし駄目だったとしても、得るものがたくさんあります。勇気を持ってやってみると、結構どうにかなります。進学や就職などこれからたくさん分岐点が訪れると思いますが、自分を信じてやりたい事にぜひ挑戦してみて下さい。きっと、どぎゃんかなりますよ!

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