
概要
半導体材料素子の性能は、その組成、ナノ組織、そして欠陥の種類と分布に大きく影響されます。本マッピング法は、放射光を活用して、ナノ組織、ナノスケール組成分布、欠陥準位や不純物準位をナノスケール可視化する統合解析システムを構築することで、太陽電池などの素子高性能化に貢献するものです。

従来技術
フォトルミネッセンス法:広範囲の材料表面のみの平均情報のため、ミクロ組織と特性の関係究明が困難です。
優位性
材料内部の3次元的構造に加えて、その局所的特性を視覚化でき、それらの関係の究明と高性能化への材料設計情報の提供が可能となります。
特徴
半導体材料・素子の性能は欠陥の種類とその存在位置に大きく関係します。欠陥による発光エネルギーは欠陥の種類と関係し、発光強度は欠陥量に対応します。さらに、欠陥がバルク界面に存在するか、ヘテロ界面に存在するか、で大きく素子性能が異なってきます。
本研究の計測対象は、半導体材料・素子内部のミクロあるいはナノ構造による光材料特性の空間分布、ならびにその時間的変化です。放射光ナノCTに加え、シンクロトロン放射光からの強力なX線を照射することによって、半導体から放出される可視光・紫外光をエネルギーごとに検出し、その局所特性を明らかにしています。

実用化イメージ、想定される用途
・半導体素子内のナノ組織、組成、欠陥の学理構築
・材料特性の最適化、高度化
・開発の時間短縮
実用化に向けた課題
・放射光プローブの小型化
・高効率なフォトルミネッセンス検出手法および検出器の開発
・三次元再構成などのデータ処理法の確立など
研究者紹介
小林 正和 (こばやし まさかず)
豊橋技術科学大学 機械工学系 教授
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研究者からのメッセージ(企業等への提案)
各種材料の特性解析、新規開発には微細組織の評価が必要不可欠と考えております。このようなニーズをお持ちの企業の技術相談や共同研究等をご検討の際にはご連絡ください。
知的財産等
掲載日:2020年05月27日
最終更新日:2022年08月01日