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3月21日に令和6(2024)年度 大学院修了式・学部卒業式を挙行しました

イベント報告 | 2025年3月25日

3月21日に令和6(2024)年度 大学院修了式・学部卒業式を挙行しました。若原学長及び博士後期課程修了者はアカデミックガウンを着用し、式に臨みました。

若原学長からの式辞は次のとおりです。


卒業生、修了生の皆さん、卒業、修了おめでとうございます。豊橋技術科学大学は今年度、学部433名の卒業生、大学院博士前期課程339名、博士後期課程7名の修了生を本日送り出しました。今まで温かくお子様を見守られてきたご家族の方々に心よりお祝いを申し上げます。また、本日まで、学生へのご指導・ご支援をいただいた教職員、地域、産業界等関係各位に深く御礼申し上げます。

さて、この祝福すべき日に、学長として祝辞を述べさせていただきます。

まず最初に、新型コロナウイルス感染症が社会生活そして学生生活に大きな影響を与える中で、皆さんは教育プログラム、研究に打ち込み、卒業、修了されたことに、深く敬意を表したいと思います。

本学での学生生活を開始した当初は、新型コロナ感染症対策により、教職員や友人との接触が制限され、孤独感を感じたり、友人関係の構築や学習面で苦労されたことと思います。大学としてはオンライン講義、対面講義、両者の融合であるハイブリッド形式講義の構築、環境・施設の整備を行ってまいりましたが、不十分な点も多々あったと思います。その点を心よりお詫び申し上げます。令和5年5月より、社会活動に於ける制限は無くなりましたが、パンデミックの期間に取り入れられた取組が大学の教育研究に対する新たな展開の原動力となりました。皆さんは、この新しい潮流にいち早く対応し成果を挙げられてきました。今日は、これまで学部課程卒業、あるいは大学院博士後期課程修了のために払ってきた多くの時間と多大な努力が報われる日であると同時に、次の挑戦への新たなスタートでもあります。

近年、気候変動の影響による災害が世界規模で発生し、本来なら人類が力を合わせて持続的社会構築に邁進すべき状況にもかかわらず、ウクライナとロシアの戦争に加えて、中東での戦乱、アメリカと中国の対立、欧州における極右政党の躍進など、価値観の相違を合議ではなく主張を通すことで解決する様相が続いています。日本国内に目を向けると、物価と人権費高騰、少子高齢化の進行による人手不足、少数与党政権となり、政策の転換が起きつつある他、SNSによるエコーチェンバー現象の懸念が拡大し、先が読めない状況にあります。社会に出る皆さんは、大きな期待と同時に不安も抱えていることと思います。

しかし、皆さんはこれまでの本学での活動を通じて多くの知識を学び、ゼミ、実験、実習や研究における試行錯誤を通じて、課題発掘力や研究の目標設定、研究遂行の方法論、共同研究者を含めた研究マネジメント力の体得などを通じて、社会で活躍するためのスキルと社会貢献の基礎力を高めてこられました。課題解決を進めるにあたっては、表面的な問題が解決しても、本質となる課題が残されている限り、新たな問題が発生してくることも研究を通じて経験されたと思います。相手の意見に耳を傾け、議論を尽くすことで、根本となる問題を掘り起こして取り組んで下さい。皆さんにはそのための準備ができています。

本学で得た友人、教職員、地域の方々とのネットワークをこれからも大切にしてください。本学の在籍期間は、長い人生から見ると非常に短い期間ですが、本学で得た人脈を新たな人脈へと拡張し、サイバー空間を活用して距離や時間の枠を超えて関係を維持して下さい。在学中に得た知恵や経験、人脈が、皆さんが本学で得た本当の財産です。これからの人生の中で、必ず大きな課題に直面する事態が訪れます。その時、本学で培った友人関係や同窓会でのつながり、経験が、さまざまな課題や局面で生かせるものと信じています

社会に出たら勉強が終わるわけではありません。むしろ、これからが本当の学びが始まると言えます。これからは、学生時代に学んだ技術や研究の基礎を人類のためにいかし、世界に貢献していくことになります。そのためには、身につけた基礎学力の実践の場面での応用に加えて、アイディアや構想を実現する強い情熱と行動力が大切です。自分のやりたいことをやり遂げる情熱を、どんなことがあっても持ち続けてほしいと思います。皆さんは、本学の厳しい教育研究課程を乗り越えた優れた若者です。自分の得意なこと、やりたいことに勇気を持って、失敗を恐れず、そして何よりも情熱を持ってチャレンジしてください。パンデミックの時代への対応の中で歩みを止めないという意志のもとでDXが加速され、AIに代表されるような新たな技術や科学が生まれたことは、まさにピンチをチャンスに変えたチャレンジであった事例と言えます。

困難な時期で有るからこそ、夢を膨らませて、仲間を募り、知恵と勇気を今後の生活や社会に生かしていってほしいと思います。

最後に、皆さんへの餞の言葉として、私が常に思い起こす先人の言葉を贈りたいと思います。

「Boys,beambitious:青年よ大志を抱け!」という言葉は、札幌農学校の初代教頭であったクラーク博士が帰国の際に教え子に贈った言葉であり、若者の挑戦精神を象徴する言葉として用いられています。しかし、この言葉の後に続く言葉も含めた本当の意味は、「青年よ大志を抱け!それは金銭や我欲のためにではなく、また人呼んで名声という空しいもののためであってはならない。人間として当然備えていなければならぬあらゆることを成しとげるために大志をもて!」というものであります。

また、デール・カーネギーは、「もし自分が間違っていたと素直に認める勇気があるなら、災いを転じて福となすことができる。過ちを認めれば、周囲のものがこちらを見直すだけでなく、自分自身を見直すようになるからだ。」と述べています。

これらの言葉は、混沌としている現代社会に於いて、世界の持続的発展と人類の幸福を導く上で大切な心がけを説くものであります。

皆さんが将来、技術者・研究者としてあるいは、人として大きな判断を迫られたときには、この言葉を思い出し、研究やプロジェクトの成否に加えて、「みんなのためになるのか」を常に意識して社会や世界に貢献ください。

世界の未来は、皆さんにかかっています。皆さんは世界の宝です。私たちは、ずっと応援しています。

「大志を持った優秀な高度専門人材となって世の期待にこたえよ」これを本学卒業・修了されるみなさんへの、餞のことばに致します。

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