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3月22日に令和5(2023)年度 大学院修了式・学部卒業式を挙行しました

イベント報告 | 2024年3月26日

3月22日に令和5(2023)年度 大学院修了式・学部卒業式を挙行しました。寺嶋学長及び博士後期課程修了者はアカデミックガウンを着用し、式に臨みました。

寺嶋学長からの式辞は次のとおりです。


卒業生、修了生の皆さん、卒業、修了おめでとうございます。豊橋技術科学大学は今年度、学部450名の卒業生、大学院博士前期課程335名、博士後期課程5名の修了生を本日送り出しました。また、今まで温かくお子様を見守られてきたご家族の方々に心よりお祝いを申し上げます。さらに本日まで、学生へのご指導・ご支援をしていただいた教職員、地域、産業界等関係各位に深く御礼申し上げます。さて、この祝福すべき日に、学長として祝辞を述べさせていただきます。

まず最初に申し上げたいことは、新型コロナウイルスによるパンデミックが生じてから3年間、また戦争、エネルギー問題、物価高騰、地震などの災害と急激な環境の変化が生じましたが、これらに堪え抜き、皆さんは教育プログラム、研究論文を立派に仕上げ卒業、修了というゴールまで辿り着きました。皆さんの知力、体力、精神力に敬意を表します。一方、大学としてはオンライン講義、対面講義、両者の融合であるハイブリッド形式講義の構築、環境・施設の整備を行い全力で対応してまいりました。しかし不十分な点も多々あったと思います。その点を心よりお詫び申し上げます。

さて人は一度落ち込むと不幸が永遠に続き良くならないと思ってしまうことがありますが、そんな時には「人間万事塞翁が馬」という諺を思い出してください。この諺の元の話は、中国の古い書物「淮南子(えなんじ)」に書かれています。少し簡単に説明します。中国の北端、国境の「塞(とりで)」の近くに、占いが得意な「翁(老人)」が住んでいました。あるとき、彼の飼っていた馬が逃げてしまったので、みんなが同情しましたが、彼は「これは幸運が訪れる印だよ」と言います。そして、そのとおり、逃げた馬は立派な馬を連れて帰ってきました。そこでみんなが祝福すると、今度は「これは不運の兆しだ」と言います。実際、しばらくすると彼の息子がその馬から落ち、足の骨を折ってしまったのです。またみんなが同情すると、彼の答えは、「これは幸運の前触れだ」。息子はその怪我のおかげで、戦争に行かずにすんだのでした。

この話の教訓は、長い人生では嬉しい事もあれば悲しい事もあるけれども、何が幸福で何が不幸かは直ぐに決まるものではないということです。皆さんも嬉しい時には自己を律して、悲しい時には将来必ず幸せが訪れるものと信じて、自己の長期的ビジョンを持つと共に、足元である日常生活を明るく元気に、そして毎日、充実して過ごすことが大事であるといっていると思います。終わりよければすべて良しというシェイクスピアの戯曲にあるように目標に向かって突き進んでください。

次に、本学で、皆さんは科学・技術に関する学問、研究を中心に学ばれましたが、これらの発展には基礎力がなにより大事です。色々な専門学問を学び、それを深めて専門力を身につけたと思います。そして、その基礎力をもとに、本学では、海外留学、実務訓練、高専連携、産学連携で応用力、人間力を学び実力をつけたので、本学学生はモノづくりを中心に実用化、実装力に優れているといわれています。それが証拠に、日経キャリアマガジン特別編集 価値ある大学2023-2024 就職力ランキングでは、就職者数を今後増やしたい大学全国1位、授業改善をしている大学全国一位と、産業界や社会から極めて高い評価を受けています。また産業界からの個人一人当たりの共同研究費獲得額では、2020年度全国一位を筆頭にここ数年は、5位までに入るという産学連携が強く、産業界から共同研究で期待されている全国有数の大学です。そのもとになるのは学問の基礎力です。単に学んだことを応用するだけでなく、社会に出ても基礎力を常に磨いて下さい。特に興味を持ったことには、わかるまで徹底的にその理論、メカニズムなどを追及ください。さらに数学や物理は、多くの学問の基礎になっているので、社会に出ても、応用などで行き詰った時は、基礎の部分をしっかり勉強しなおしてください。そしてそれと共に、その学問を社会に役立つように応用、実装化していくことが今後はさらに重要となります。本学はこの点で社会や産業界で高い評価を受けている大学ですので、自分のしている学問、研究を応用実用化まで結び付け、どういう分野に貢献できるかを認識し、社会や世界に貢献ください。

「自己が勉強している多くの研究領域でやりやいことが見つかったら、失敗を恐れずに、情熱をもって、継続して挑戦してください」。学問・研究の発展には、自己の得意なものや興味を持ったことは何かを認識し、それが見つかったら情熱を持ち、わかるまで徹底的に追及することが大事です。それには指導者、仲間、人や書物との出会い、また普段の実験での失敗、成功体験など現場でのクリエイティブな試行錯誤が大いに役立ちます。人の真似ではだめです。独創性が何より大事です。皆さんは、その基盤を本学で学び修得しました。自信を持ち社会に出て、そして私が今申したことを忘れず、精進してください。

もう一度申します。「やりやいことが見つかったら失敗を恐れず、人類の輝く未来に向かって情熱をもって挑戦し、そして世界に貢献せよ」。これをみなさんへの、本学卒業・修了へのはなむけのことばに致します。

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