豊橋技術科学大学

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2023年度豊橋技術科学大学入学式を挙行しました

イベント報告 | 2023年4月 6日

4月5日に豊橋技術科学大学入学式をアイプラザ豊橋にて挙行しました。寺嶋学長はアカデミックガウンを着用し、式に臨みました。

寺嶋学長からの式辞は次のとおりです。


230405report-1.jpg寺嶋学長式辞

皆さん、入学おめでとうございます。
豊橋技術科学大学は今年度840名の入学者を迎えました。学部1年次入学生は84名、学部3年次編入生は385名、博士前期課程入学生は355名、博士後期課程入学生は16名です。
また保護者の皆様、今まで一生懸命に育ててこられたお子様のご入学、心よりお喜び申し上げます。この祝福すべき日に、学長として祝辞を述べさせていただきます。

本学に入学される前に、新型コロナウイルス感染症が続く3年間、毎日苦しい日が続いたと思いますが、急激な環境の変化に堪え抜いた皆さんの知力、体力、精神力に敬意を表します。この経験は全世界の人々が同時に経験しているもので、決して皆さんだけではないですが、皆さんは青春時代という思いきり活動したい時期にパンデミックに遭遇し、本当に苦しかったと思います。ほとんどの人がこの先どうしようかと途方にくれたことと思います。
しかし、今日ここにいる皆さんは、それらに耐え抜き、本学に入学してくれました。コロナも終息に近づいており、このコロナを耐え抜いた経験が、「ピンチをチャンスに変える力」になると思います。本学で気分を新たにして、のびのびと活躍してくれることを願っております。

さて私ごとですが学長に就任して4年目を迎えました。就任時に、「社会に貢献し、元気な大学を作るー技術科学で世界を変えるー」をスローガンに挙げました。
社会に貢献するとは、優秀な学生を社会に送り出し、優秀な研究成果を発信し、世界や地域に貢献するということです。元気な大学を作るというのは、その原動力である教職員や学生が元気に明るく活動ができるために、よい環境を作りあげるということです。これを成就していくために、「集めて、繋いで、光をあてる」という言葉を提唱しています。
優秀な学生、教職員を集め、また充実した環境整備のために外部資金を集める。学内はもとより、地元、企業、高専、海外学術機関など幅広く外部機関とネットワークを構成し組織や個人が発展していくような繋がりを作る。そして目的を定め、そこに光をあて支援することで目的を達成していく。という流れを表現しています。その流れの中で、今日、優秀な皆さんを本学に迎えることができたのは私の望外の喜びであり誇りです。
なお集めて、繋いで、光を当てるという概念は、組織論だけでなく、本学で学ぶ皆さんの個人の勉強・自己研鑽にも当てはまると思います。よい情報を集める。そしていろいろな人とネットワークを作り、それらの情報を最適に組み合わせると共に、人とうまく繋がる。そして自分の目標を定め、それに光を与え研鑽を積むということです。本学HPにも載っていますので是非ご覧ください。

ところで今、日本の国際的地位は学術界、産業界共に停滞気味です。1980年代、日本はジャパン アズ ナンバーワンといわれておりました。この言葉は社会学者エズラ・ヴォーゲルによる1979年の著書に由来しています。ヴォーゲルによれば、この当時の日本人の数学力は世界で2位、情報については7位、他の科学分野についても1位から3位に位置していました。1990年頃の世界時価総額ランキングでは日本企業が半数以上入っていました。また、ニューヨークの高層ビルを日本企業が買収し、もの凄い活力がありました。
ところが現在は、アメリカを中心としたIT関係企業が世界のトップテンを独走しており日本企業は一つもありません。一方学術界におきましても、ノーベル賞は、2000年に入り多くの受賞者を出しておりますが、最近では論文数が激減しており、また世界が注目するトップ1%論文などもアメリカ、中国などに押され、世界で順位を下げています。まさに苦しい時代になってきました。資源のない日本は、科学、技術力で世界をリードしていくことが不可欠です。
少子高齢化社会の日本では、若者の力がまさに必要です。若者がしっかりした科学技術力とリーダシップ力を身に着け活躍して行くことが大いに期待されています。

本学は、モノつくりが得意な高専生を主体として、それに、高校生、留学生を交え、ものづくり、ITなどに強い大学を目指しています。
本学は2,000名近くの学生、500名近くの教職員からなる小さな大学ですが、日本の大学800校近くの中で19大学だけが選ばれた研究大学に入っています。大変名誉なことです。

産業界との共同研究も盛んで多くの成果を上げています。その一つに、2020年、研究者一人当たりの企業からの共同研究費獲得額1位となりました。またここ数年、常に、1位から4位を保持しています。これは産業界から信頼されている証です。
また、本学の就職率は100%であり、さらに日経キャリアマガジンで企業の就職者数を増やしたい大学では、2022年度全国2位となりました。

本学は、学部4年次の全員に必修科目として、6週間のインターンシップを実施しますが、そのうち80名近くは海外で行っています。また、目的にこだわらず視野を広げるために企画された"羽ばたけ!TUT国際研修プログラム"のプロジェクトで、100名近くの学生が2週間程度海外研修に出かけています。大学院では、多くの学生が海外で論文発表を行い、また一部の学生は、ドイツ、フィンランド、フランス、ベルギーなど欧州に1年間留学をしています。
さらに海外には、マレーシアのペナン、中国の東北大学、インドネシアのバンドン工科大学にサテライトオフィスもあります。このように本学はグローバル化に力を入れており、是非、皆さんも在学中に積極的に海外に出てください。

この他特筆すべきこととして、本学は先ほど申しましたように産業界との共同研究が盛んです。大学院に進学した学生の多くは共同研究にも参画しております。理論だけでなく、実際の応用、実用化まで経験することにより、産業界からは科学技術がわかる学生として高い評価をされています。

さらに、学生支援にも尽力しております。国の入学料免除、授業料免除、奨学金制度のほかに、本学独自の緊急学生経済支援プランをはじめ、優秀学生支援制度、留学支援、また博士後期課程では、ほとんどの学生に、生活費を貸与でなく給与しており、安心して勉学に励めるよう努力しています。

学生の課外活動も活発で、2022年NHKロボコン全国一位で、通算優勝回数も7回と東大を抜き全国一位です。学生フォーミュラ(自動車研究部)2022年、ベストコンポジット賞、バイク(二輪部)2020年及び2022年オフロード全国大会大学対校総合優勝、アントレプレナーコンテスト2020年優秀賞など活発に活躍しています。
また今日演奏してくれる吹奏楽団は、イベントや街中活動で大変活躍しています。そのほか、Jazz研究会、茶道部など、課外活動団体数は総計、体育系18、文科系23あります。
私は、大学時代、学内で柔道部、街中で、英会話クラブと課外活動をやりました。今も学生時代のいい思い出として心に残っています。課外活動は、知力、体力と共に、豊かな感性、人格を育みます。是非課外活動の室を覗いてみて参加ください。

なお、先ほど、現在の日本の懸念されることを述べましたが、日本は文化・伝統があり、安心して暮らせる、いまや成熟した先進国であり、この点は誇りを持つべきです。
最近、スポーツ界では、野球の大谷翔平、フィギュアスケートでの羽生結弦、芸術では、ショパン国際ピアノコンクールで第2位を受賞した反田恭平など世界のトップクラスの若者が多く出てきています。学問、科学技術の世界でも色々優秀な人が生まれています。大学を出てすぐに企業を起こすベンチャー精神を持った人も多数います。
いずれもその道でしっかり勉強した人たちです。「ローマは一日にして成らず」という諺があるように地道な努力が必要です。決してなまぬるいところからは、素晴らしいものは生まれません。皆さんは、科学技術立国の我が国において日本の将来を牽引していく若者として期待されています。

本学は、先ほど述べたように、海外や日本の学術機関と研究や教育を連携し、また、産業界と繋がり、学生の意思や個性を尊重し、安心してのびのび生活できるような学生支援を積極的に行っている大学です。
どうぞ、ここでじっくり腰を据え、大いに勉学に励み学力・技術力を伸ばすと共に、課外活動等も積極的におこない人間力を磨き、明日の社会を背負う若者になってくれることを願ってやみません。

さて、結びとして皆さんにメッセージを送ります。
「人生一度。若者よ、失敗を恐れずやりたいことに思い切り挑戦せよ!」を皆さんへのはなむけの言葉にします。私たちはそれに対して全力で応援します。
これで学長の祝辞を終わりとします。

令和5年4月5日 
豊橋技術科学大学 学長  寺嶋 一彦

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学部生入学者代表 田中さん

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博士前期課程入学者代表 安達さん

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博士後期課程入学者代表 伏見さん

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