大西 隆前学長,大貝 彰前理事の退任に伴うメッセージを掲載しました。
トピックス | 2020年9月30日
大西 隆前学長、大貝 彰前理事におかれましては、本年3月末をもって6年間の任期を満了し、ご退任されました。
退任にあたって、本学として3月25日に退任記念講演等、退任記念事業を開催することで、学内外に案内をしていたところですが、全国的な新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴い、開催を延期することとしておりました。
本学として延期後の開催について鋭意検討してまいりましたが、依然として同ウイルス感染症の収束が見えない状況であることから、お二人も含め参加される方々の安全等を考慮し、お二人ともご相談の結果、この度退任にかかるメッセージを頂戴し広くご覧いただくことで、退任記念講演等、退任記念事業に代えさせていただくことといたしました。
つきましては、本学として退任記念講演等の開催に至らなかったことは誠に残念ではございますが、大西前学長、大貝前理事の在任中の多大なご功績に対して深く感謝申し上げ、ここにお二人のメッセージを掲載させていただきます。
大西 隆前学長からのメッセージ
お礼の言葉
ご無沙汰しています。在任中の3月に退任の弁を申し上げる機会を予定しながら、新型コロナウイルス感染症の流行が勢いを増したことで果たせずに今日に至りました。その間、4月には学内会議の審議を経て名誉教授に推挙いただきました。種々の活動制限や、オンラインでの講義など、役員、教職員、学生の皆さんは、今年度になってから特に、初めての、そしてとても気を遣う、ご苦労の多い毎日を過ごしてこられたことと思います。感謝の言葉とともに、お疲れ様ですと申し上げます。
学長としての6年間にどれだけのことができたのかと振り返ると心もとない気もします。しかし、豊橋技術科学大学の活動レベルをそう下げることなく、寺嶋一彦学長を中心とした今期の体制に引き継ぐことができたのではないかと、多少ほっとしています。力を入れきてきたことは、国際化の推進と企業をはじめとした外部組織との特に研究上での連携強化でした。いずれも日本の有力国立大学がこれから注力するべき分野と考えるので、これらの領域で少しでも前進できていたとしたら私としては満足感を覚えます。
渦中にいるとなかなか見えにくいのですが、日本の国立大学が置かれている環境は容易なものではないようです。18歳人口の減少の中で大学淘汰の時代が来るのは避けられません。大学の教育研究成果が国際社会の中でどのような有用性を持つのかを具体的に示すことを通じて評価を得ていくことはますます重要になると思います。また、大学間の適切な連携によって、大学の社会的価値を的確にアピールすることも必要です。培ってきた価値あるものを棄損させないよう頑張っていただきたいと思います。
さて、私は、俗にいえば勤め人としての生活を終えて、折からのコロナ禍もあって、自宅を本拠地とした生活に既にすっかり慣れてしまいました。考えてみれば、大学の教員だった10年ほど前までの生活とあまり違わない、つまり自宅の机に向かっている時間の長い生活に戻ったわけです。幸い、研究分野であった都市計画に加えて、大学運営や科学技術、さらに災害対策やコロナ対策など、その後の体験に即して関心分野も増えたので、学び、考えることに意義を見出しながら生活しています。神野吾郎理事のお誘いでサーラエナジー株式会社の社外取締役をさせていただいており、引き続き豊橋と関係を持ち、訪れる機会があるのも嬉しいことです。
幸い豊橋技術科学大学は新型コロナウイルス感染症の影響を最小限に留めることができていると伺っています。ただ、安全に利用できるワクチンと特効薬が開発されるまで、暫くの間、やはり緊張感をもって過ごさなければならない日々が続くようです。その中で、それぞれの皆さんが自分のやるべきことを見出して、成果を上げることを通じて大学の価値をさらに高めるように祈念します。
また、この機会に、寺嶋学長、神野理事はもちろん、役員として長く一緒に仕事をさせていただいた大貝彰特別顧問、井上光輝高専機構理事、鈴木章文様、佐藤元彦監事、牧葉子監事、水谷惟恭先生、石川百代先生、それから一緒に奮闘していただいた教員の皆様、児島昌樹群馬大学理事をはじめとする職員の皆さん、そして何よりも学生の皆さんに改めてお礼を申し上げます。
末筆になりましたが、在任中には、本学の40周年を迎えたこともあり、豊橋市内外の企業、行政の皆様、卒業生や保護者の皆様、OB教職員の皆様から多額の寄付をはじめとするご支援を頂戴しました。本学の発展のために寄付金を活用させていただき、ご支援を励みとさせていただいたことに改めて感謝申し上げます。ありがとうございました。
2020年9月
前学長
豊橋技術科学大学名誉教授・東京大学名誉教授
大西 隆
大貝 彰前理事からのメッセージ
退任のご挨拶
今年3月に退任して以降、新型コロナウイルス感染症の拡大で退任のご挨拶を申し上げる機会を失していました。この間、寺嶋新学長からの要請を受け、4月からは特別顧問として、7月からは特別顧問兼特命教授として、中期計画や主要事業の数値目標管理、地域連携や同窓会・卒業生連携等への助言を任務として勤務しています。4月以降、これまで全く経験のない大学生活、授業、大学運営を強いられている学生、教職員の皆様には、先の見通せない気苦労の多い毎日の連続で大変だと思います。
総務担当理事・副学長としての6年間、その任を果たせたかどうかは甚だ疑問の残るところですが、大西先生のご理解とご協力の下で何とかやってきました。2年目の終わりから身体に異変が起き、入院・手術も経験しました。色んな面で執行部を始めとする皆様にご迷惑をおかけしました。とりわけ大西先生には感謝の気持ちでいっぱいです。
着任当初のFM豊橋のインタビューで、私は、総務担当の仕事は私の専門の都市計画が社会において果たす役割と同じで、大学において学生が勉学に励み、先生方が研究に集中できる環境をハード、ソフト両面で整備していくことと理解して進めてきました。その意味において、自分なりに最もうまくいったのが、図書館の改修とグローバルハウスの建設でした。図書館改修では、文科省の施設整備補助金を獲得するために理想的な内容から少しずつ後退させながらも中身をブラッシュアップさせ、何とか補助金を獲得して実現できたものです。特に1階の天井を張らずにむき出しにする案と屋外大屋根空間の床の色、さらには屋内の仕上げの色やサインにはかなり拘りました。施設課職員の方々も、熱心に、何度も私のところに相談にきていただき、本当に良い空間ができたと思っています。お蔭で図書館利用者は改修前の約3倍に増え、現在年間利用者数は20万人を超えています。一方、グローバルハウスは、スーパーグローバル大学創成事業の一環として取り組まれたものですが、その建設にあたっては学生アイデアコンペを行い、当時の建築・都市システム学系の学部3年生の案が最優秀案に選ばれ、その思想がほぼそのまま現実となりました。私も相当の拘りをもって取り組み、業者からの提案を手術入院中のベッドの上でチェックしたりして、何とか学生が提案した案に近づけることができました。竣工当初はやや殺風景な印象でしたが、最近では中庭に緑やベンチ等が設置されるなどして、提案当初のイメージに近づいています。
施設整備以外で思い出に残るのは、着任早々に私と当時の学長特別補佐であった井上隆信先生の提案で実現した特別貢献手当と大西プランです。これはヒット商品だと自負しています。大西プランは現在寺嶋新学長の下でTUTプランとしてその方法が引き継がれています。
私は4年半前まではヘビースモーカーでしたが、入院手術を契機に禁煙しました。喫煙者が簡単には禁煙できない気持ちも理解できるので、安全衛生管理推進本部長として全面禁煙の実施には正直に言って躊躇していました。しかし、時代の流れ、社会の変化は誰にも抗えないもので、その変化の中で物事は進んでいくのだと痛感しています。コロナ対策でまだキャンパスの全面禁煙は実施されていないようですが、それは避けられない方向だと思います。
時代の流れ、社会の変化に抗えないのは国立大学も同じです。常に国内外の社会経済情勢、価値観の変化などを踏まえて高等教育、国立大学、さらには技術科学大学に真に求められるものを敏感に感じ取りながら、本学自身が自ら変化し、発展していくことが必要と感じています。寺嶋新学長をトップとする新たな執行部体制の下でさらなら発展に向けて、世界と肩を並べる技術科学大学へと飛躍するため、本学構成員が一丸となって変化しつづけることを切に願っています。最後に、皆様の益々のご健勝とご活躍を祈念して、退任のご挨拶とさせていただきます。6年間、本当にありがとうございました。
2020年9月
前理事・副学長(総務担当)
豊橋技術科学大学名誉教授 特別顧問・特命教授
大貝 彰