2018.08No.146(オンラインNo.28)

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天伯之城「ギカダイ」

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もくじ

Chapter1市民の市民による 市民のための情報技術

情報・知能工学系講師 大村 廉

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「市民の市民による」なんて、まるで大統領の演説ですね。
 これまで市民サービスと言えば行政が行うものでした。それが今、市民が自分たちで自分たちのためのサービスを作って暮らしを良くして行こうという時代が来ています。


どうしてそんなことができるようになったのですか。
 今は多くの人がスマートフォンを持っていると思います。それを使ったサービスなら道路や建物を作ったりする必要もなく、誰でも低予算で提供できるんです。


でもプログラミングとか僕らには難しそうですね。
 そんなことないですよ。プログラミングは今だいぶ簡単にできるようになりました。さらに実は市民による市民サービスってプログラミング作業が占める割合って大したことないんです。活動に参加する人たちも、IT 系の人もいれば、デザイナーや文章が書ける人などいろいろです。大事なのは「地域を良くしよう」という思いです。そういう人たちの集まりが今「CODE FOR XX(XX は地域名)」という名称で全国にできています。名古屋には「CODE FOR NAGOYA」があって、豊橋には「CODE FOR MIKAWA」があって私も参加しています。


でも大村先生は「東京生まれ」の「東京育ち」でしたよね(笑)
確かにそうですが、豊橋に来てもう7年。初めは「田舎だな」ぐらいの印象だったのが、住むにつれ豊橋のいいところ、また課題も感じるようになりましたよ。例えば豊橋はポテンシャルが高いのに「外に見えてこない」のが課題かなとか。


CODE FOR MIKAWA のこれまでの市民サービスはどんなものがありますか。
活動を始めて2年ですが、昨年10月の豊橋まつりでは「おどってみりん」というアプリを提供。駅前のイベント総おどりで、現在どこでどの団体が踊っているのかスマホの画面で確認できるようにしました。また今年2月、豊橋鬼まつりで「おにどこ」というアプリを提供。氏子町内を練り歩く赤鬼と天狗が今どこにいるか確認できるようにしました。ほかにも牛川の渡しをもっと便利に活用するためのアプリなども考えています。


楽しいことしてますね。
全国あまたあるCODE FOR の中でも、CODE FOR MIKAWA は恵まれていると思います。他の地域でやってる仲間にうらやましがられますよ。東京でこういう活動はやりにくいと思います。都市の規模が大きいと関わる人も多くなって、いろんな制約も出てきます。豊橋は、行政のフットワークが軽いのもいいです。市が、だれでも利用できる情報(オープンデータ)を充実させているのも豊橋での活動の助けになっています。これから皆さんにご協力をお願いすることもあるかもしれません。その時は決して怪しい団体ではありませんのでよろしくお願いします。

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天伯之城 ギカダイ

 豊橋技術科学大学はエフエム豊橋(84.3MHz)とのコラボレーションにより、
本学のアクティビティを広く皆様にご紹介するラジオ広報を放送しています。その名も「天伯之城 ギカダイ」。
 https://www.tut.ac.jp/castle.html ←こちらより視聴可能
 エフエム豊橋の人気パーソナリティ渡辺欣生さんが、毎週、本学のいろいろな研究室、サークルなどを訪問し、
普段、素朴に思う技科大の「なに?なぜ?どうして?」を分かりやすく紹介しています。

Chapter2Blu-rayを超える超高密度 光データ記録ディスクへ

電気・電子情報工学系准教授 中村 雄一

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研究中の記録ディスクはDVD やブルーレイに比べてどれほど大きいのですか。
 ケタが違います。ちなみにDVD が4.7GB。ブルーレイは25GB。我々が取り組む「ホログラフィックメモリ」は1TB を超えるデータをDVD 等と同じ大きさのディスクに収めます。1 枚でブルーレイ40枚分です。


そんなに大容量のディスクが必要なのでしょうか。
 最近TV がハイビジョン(2K)から4K、8K、さらに3Dで放送される時代を迎えています。そうなるとブルーレイ1 枚には収まらなくなります。またWEB上のデータを保存するにも今は動画(しかも高画質のもの)が多く、DVD・ブルーレイでは間に合わなくなってきます。


DVD やブルーレイもすごい技術だと思うのですが、その何十倍のデータをどういった技術で同じ大きさのディスクに収めるのですか。
 DVD やブルーレイはデジタル情報(0101・・)をディ スクの表面に凸で記録、読み取っていますが、ホログラフィックメモリでは凸の代わりにQR コードのようなものをプリントしていきます。凸ひとつ分の情報が大きいわけです。


1 テラというとHDD なら今どき安く手に入るが、1 テラのHDD があっても1 テラのディスクが必要でしょうか。
 HDD はディスクに読み取り用ヘッドなどが一緒になっているおかげで小型大容量が実現されていますが、場所をとるし高価。ディスクはディスクだけでデータをやり取りできるのが、省エネルギーにもなっていいでしょう。


研究にはいつ頃から取り組んでいるのですか。
 西暦2000 年頃から始めて、5年ほどで書き換え不可のディスクの技術は確立。さらに10年ほど前から書き換え可能ディスクの技術に挑戦しています。


今はどんな問題に取り組んでいるのでしょうか。
 我々のホログラフィックメモリは磁気を使うことで再 書き込みを可能にしています。磁気ディスクは、樹脂を使った書き込み不可のディスクより変質しにくい特長もあります。今はそうした材料の開発や、書き込む方法の工夫で、記録密度向上に努めています。書き込むQR コード様のものも、1テラを実現するには何層にも重ねて記録し、読み取ることが求められます。以前の実験で10μm ほど記録位置をずらしながら書き込み・再生できることは示されており、昨年からこのような多重記録・読み出しの研究を本格的に始めました。市販されるまでにもう少し時間がかかりそうです。

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天伯之城 ギカダイ

 豊橋技術科学大学はエフエム豊橋(84.3MHz)とのコラボレーションにより、
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