2018.02No.145(オンラインNo.27)

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大学探訪

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もくじ

Chapter1建築・都市システム学課程・専攻の紹介

建築・都市システム学系系長
宮田 譲(みやた ゆずる)

2011年3月11日に発生した東日本大震災は私たちに大きな衝撃と悲しみを与え、被災地では未だに傷跡が生々しく残っています。この未曾有の大震災からの一日も早い復興・復旧や災害に強い建物やまちづくりが今後の日本の発展の重要課題になっています。

一方で、これからの社会は、地球温暖化に伴うグローバルな環境変化の中で、エネルギー消費の削減、水や食料の不足など、資源の制約や枯渇を経験することが予想されます。さらに日本社会は、少子高齢化の進行とともに、社会システムの再構築や建築・社会基盤施設の整備・維持管理を達成しなければなりません。このような社会的要請に応えるためには、人々が安全・安心に暮らせる災害に強いしなやかで強靭な建物やまちづくり、物質的な豊かさから生活の質の向上を求める生き方への転換、および建築・社会基盤施設やそれをとりまく国土の環境の適切な管理が必要で、それを実現するための新たな技術が求められています。また、そのような技術を身に付け、将来を担っていける優秀な技術者を養成しなければなりません。

豊橋技術科学大学建築・都市システム学課程・専攻では、これからの社会に安全・安心で質の高い生活環境を提供するために、都市・地域の建築・社会基盤施設および国土環境をデザインするとともに、それをシステムとしてマネジメントするための技術の研究を行っています。また、このような技術を習得した技術者を育てるための教育プログラムを提供しています。すなわち、従来の学問分野である建築学と社会基盤工学を融合させるとともに、社会科学および人文科学の要素を積極的に取り入れた新しい学問分野にチャレンジしています。研究面では、都市や地域の持続的発展のために必要な基盤的研究や未来社会に新しい価値を生み出すための創造的研究を実践しています。これらを教育課程に反映させることにより、建築・社会基盤分野の専門知識とそれらを活かすデザイン力・マネジメント力を備え、国際的に活躍できる実践的・創造的技術者・研究者を育てることを目標としています。

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図1:室内環境の実験
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図2:緑が作業環境に与える影響の実験
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図3:建築設計の実習
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図4:学生と協働した施設整備

Chapter2〈弱いロボット〉たちとともにある、ちょっとだけホッコリとした暮らし

人間・ロボット共生リサーチセンター長/情報・知能工学系教授
岡田 美智男(おかだ みちお)

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昨年の11月中旬から、豊橋駅東西自由連絡通路の新幹線改札口前に、「〈弱いロボット〉たちとともにある、ちょっとだけホッコリとした暮らし」というテーマで、人間・ロボット共生リサーチセンターで研究を進めている〈む~〉、〈ゴミ箱ロボット〉そして〈アイ・ボーンズ〉という3つのタイプのロボットを展示しています。出張や帰省等の行き帰りに、ぜひご覧いただければと思います。この場をお借りして、これらのロボットの開発経緯や狙いについて紹介します。

本展示の中心にある〈む~〉は、「何も役にたたないけれど、そこに居ないと何だか寂しい......」という共在感覚や生き物らしさを残しつつも、どこまで姿や機能をそぎ落とせるものなのか、という問いから構想されました。

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その特徴の一つは、「目玉のような」「幼児らしさ」を備えたシンプルなデザインにあります。余分な要素をそぎ落とすという「引き算のデザイン」を進めるなかで、「個体としての機能や意味を抑えていくと、むしろ周りとの豊かな関係性が顕在化されてくる」ことに気づいたのです。例えば、コミュニケーション障がいのある子どもたちに、このロボットが働きかけるのではなく、むしろロボットの受動性が子どもたちの能動性を積極的に引き出すということがあります。またProtégé Effectとして知られているように、自ら学ぼうとするよりも、自分より年少な子どもを世話することに熱心になり、その結果自らも学んでしまうこともあります。その意味で、ロボットの〈弱さ〉はより積極的な意味を持つといえます。〈む~〉は、こうした〈弱いロボット〉研究のきっかけを与えてくれたロボットなのです。

もう一つの〈ゴミ箱ロボット〉は、「利便性を追求するのもいいけれど、ちょっと手間の掛かるロボットはどうだろう......」という観点から、自らはゴミを拾うことはできないものの、周りの子どもたちの手助けを引き出しながら、結果としてゴミを拾い集めてしまう、他力本願なロボットとして構想されました。

「自分でゴミを拾えなければ、周りの子どもたちに拾ってもらえばいい」、「せっかくだから、ゴミの分別も子どもたちに手伝ってもらおう!」という、自己不完結で、半ば他者に委ねてしまおうという姿勢は、周囲の積極的な手助けを引き出し、そのことで目的を果たすことができます。と同時に、そこで手伝った子どもたちも、ロボットを手助けできる者として、その関わりのなかで価値づけられるという側面があり、ロボットと子どもたちでWin-Winの関係や相互に持ちつ持たれつの関係を生みだすのです。

最後の〈アイ・ボーンズ〉は、街角で目の前を通り過ぎようとする人たちに、ちょっとモジモジしながらティッシュを手渡そうとするロボットです。ティッシュを配ろうとするも、そのタイミングがなかなか合わない。手を差し出したり、また引っ込めたり......。そんなモジモジした姿をかわいそうに思ってか、立ち止まってくれる人も現れます。半ば他者に委ねるという姿勢がまわりの人たちの手助けを上手に引き出し、そこで「ティッシュを手渡す」という相互行為を組織するのです。

現在、本リサーチセンターの研究活動の一環として、「あっ、こんなところにも〈弱いロボット〉のアイディアが使われている!」と気づいていただけるような、〈弱いロボット〉概念の社会実装研究を進めています。思わずドライバーの手助けを引き出してしまう〈自動運転システム〉、ユーザの優しさや工夫を自然に引き出す〈セルフレジ〉、ときどき弱音を吐くような〈バスの運行システム〉、モジモジしながらブラックサンダーを配ろうとする〈もじもじくん〉など......。この不寛容な時代にあって、ちょっとだけホッコリとした暮らしを生み出すための一助になればと考えています。

Chapter3高専訪問の形態の多様化について

高専連携推進センター教員総合教育院教授
 武藤 浩行(むとう ひろゆき)

高専連携推進センターでは、本学と各高専の学生、教職員の皆様とのインターフェースとして様々な活動を行っています。特に重要な活動として本学教員が直接各高専にお邪魔して大学の紹介をする高専訪問にも力を入れています。Face to Faceで話すことで本学を身近に感じてもらえることからこれまでに年間平均で20〜30校の訪問を実施して相互理解を図ってきました。

しかしながら、近年では、全国の大学が同様な大学紹介の訪問を行うようになったことから、高専と技術科学大学との強い関わり合いが強調できなくなることが懸念されます。従って、本学では一方的な大学紹介に偏ること無く技術科学大学でこそ発信できる有用な情報を提供できる仕組み作りに着手しております。昨年から、センター内で議論を重ね、以下のように、高専訪問の形態をミッション毎に明確化して適切な時期に実施することとしました。

1.キャリア支援(7月〜8月):本学の合格者を対象として入学までに準備すべきこと、また、生活に関する不安などを相談できる機会を作ります。

2.出前授業(10月〜12月):本学教員が得意とする講義、研究内容に関する講演を提供致します。学生の研究に関するモチベーション向上、また、先生方との研究連携のきっかけになるような話題提供を行います。学校行事の一環としての講演会等でもお声を掛けて頂ければと思います。派遣可能な教員、テーマの一覧は、高専連携推進センターのHPに暫定的にリスト化してあり、H30年度から本格的に運用予定です。

3.大学説明(12月〜2月):従来の大学説明に加え、キャリア支援、出前授業などと組み合わせて頂いても結構かと思います。

これらの新しい試みに関して試用を開始しており、既にキャリア支援に関して、グループ面談形式で合格者との相談会を複数件、実施致しました。フランクに話せる雰囲気での面談となり、入学までにどんな基礎学力が必要か、どの辺にアパートを借りれば良いか、等々、大学説明会では聞きにくい具体的な相談があり有効に機能するのではと思います。また、何より、入学前の学生さんの顔が見られて、早期に「繋がり」を持てることも嬉しいことの一つです。次年度からは、本格的に運用する計画で、入学までの円滑な準備の支援になれば幸いです。

高専連携推進センターでは、今後も高専の学生さん、教職員の皆様との橋渡しができるよう、より良い仕組みを取り入れていきたく思います。ご要望等ありましたら是非ともお聞かせ下さい。

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Chapter4国際課の業務について

国際課長
清水 由紀子(しみず ゆきこ)

大学の「国際課」から想像するキーワードはなんでしょう?
「留学」「留学生」「海外」・・・でしょうか。
本学の目指す国際化は大西プランにある「グローバルキャンパス」の実現です。国際課では3つのグループで業務を担当しています。

1つめのグループは「国際企画係」です。
本学は28か国・地域の84*大学と大学間交流協定を締結しており、先方大学と連絡調整や締結時のセレモニーなどの業務を担当しています。また、国際に関するプロジェクトについても、公募から申請、採択後の経費管理を行っており、海外からの訪問者や研究者の受入も担当しています。

2つめのグループは「国際教育支援室」です。
国の補助で実施する三機関連携事業(高専機構・長岡技科大・本学)により、マレーシア教育拠点ペナン校の管理運営とともに国際教育連携の企画・実施やスーパーグローバル大学創成支援事業を推進するための学内事業のプロジェクト管理を担当しています。

3つめのグループは「留学生係」です。
本学には29か国、215名*の留学生が学んでいます。皆さんが想像された、留学を希望する海外からの問合せや本学への留学支援、そして入学後の留学生活支援の業務を担当しています。また、本学学生が海外へ留学するための支援や、海外向けの広報活動も留学生係のスタッフが担っています。本学の国際化への取組は、3つのセンター「国際協力センター:ICCEED」「国際交流センター:CIR」「国際教育センター:CIE」と「スーパーグローバル大学推進室」が担当し、この組織の事務は国際課が担当しています。センター事務は黒子のような存在ですが役割は大きいです。

国際課は皆さんと共にグローバルキャンパスを目指し、笑顔を忘れずに国際交流の促進のため日々努力し業務に当たっています。
※協定校及び留学生数は2017年12月1日現在

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「国際企画係」
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「国際教育支援室」
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「留学生係」

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天伯の発行をメールにてお知らせします。

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