2017.07No.144(オンラインNo.26)

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大学探訪

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もくじ

Chapter1機械工学課程・専攻の紹介

機械工学系 系長
河村 庄造(かわむら しょうぞう)

国家政策重点分野である環境、エネルギー、材料、ロボット、情報通信、生体医療分野等は機械工学に密接に関係し、これらを取り込んだ新しい機械工学の教育・研究を行うことが強く求められています。機械工学課程・専攻では、機械・システムデザイン、材料・生産加工、システム制御・ロボット、環境・エネルギーの四つのコースを設け、機械工学の基礎分野と応用分野を、より広く、深く教育・研究することを目指しています。そのため、従来の力学やエネルギー、生産技術、システム技術に加えて、ロボット、バイオメカニクスナノテクノロジー、生体医療福祉、環境、マネジメントなどの、モノづくりに関する新分野に関する教育・研究を行います。機械工学のイノベーションを創造し、モノづくりを通して未来社会の発展に大いに貢献できる人材を育成します。これらの教育研究を通して、社会に役立ち、人類に夢と希望を与える新しい機械工学の拠点形成を目指しています。各コースの概要は以下の通りです。各コース,各研究室の詳細な説明は、ホームページをご覧下さい。

http://www.me.tut.ac.jp/index.html

【機械・システムデザインコース】

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本コースは、機能材料・構造システム、機械ダイナミクス、極限成形システム、マイクロ・ナノ機械システム等の研究グループから構成されており、材料力学、機械力学、機械設計、生産加工学等の機械工学を基礎として、固体力学、振動工学、塑性加工学、マイクロ・ナノ加工学等の応用分野の教育を行っています。また、これらの知識を最先端分野へ応用した、ナノ複合材料の設計、機能性構造の開発、高機能潤滑材料の開発、高精度非破壊評価技術の開発、構造物の高精度解析と健全性評価、超高性能軸受開発、ヒューマンダイナミクス、超高張力鋼板のプレス成形、ホットスタンピング、塑性接合、3Dプリンティング、新原理ナノ加工技術、オンチップ細胞ファクトリー、微生物融合マイクロシステム等に関する先進的な研究を行っています。これにより、機械工学全般と、機械やシステムの総合的なエンジニアリングデザインに関する分野で能力の高い人材を養成します。

【材料・生産加工コース】

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本コースは、材料機能制御、高強度マテリアル開発・評価、薄膜材料、界面・表面創製の4つの研究グループから構成されており、輸送機器・エネルギー・電子・半導体・バイオ・社会基盤などに用いられる各種材料の創製・改質・評価・加工に関わる先端学術・技術分野を研究しています。具体的には、基盤研究(A)等のJSPS科学研究費助成事業、NEDOプロジェクト、およびJST産学共創基礎基盤研究プログラム等を初めとする各種研究・開発事業を実施しています。また教育としては、新素材、材料設計、組織制御、材料評価、および加工プロセス等の基礎を学び、これを基にマルチスケールな材料組織の制御とその評価、および先端加工プロセスの開発等を探求します。これら一連の教育・研究活動を通じ、機械工学を基盤とする、ものづくりのための材料と生産加工の分野において高い能力を有する人材を養成します。

【システム制御・ロボットコース】

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本コースは、ロボティクス・メカトロニクス、計測システム、システム制御、システム工学等の研究グループで構成されており、ものづくりに必要な産業機械などメカトロニクス装置の設計・制御技術、ロボティクス、計測・信号画像処理および生産システムの最適化・知能化等の先端分野を研究しています。現在の具体的な研究テーマとしては、高速搬送と振動抑制を同時に達成するスマート制御、Wavelet変換の高速化と応用、微小部品や細胞を操作するためのマイクロマニピュレータ、産業機械の省エネルギー動作計画などがあげられます。また教育としては、制御工学、計測工学、ロボット工学、システム最適化、システム工学、生産システム、メカトロニクス、画像処理等などの分野を学習します。これにより、機械工学全般と、ロボットや計測制御等のメカトロニクス・システム工学分野で総合的なデザイン能力を発揮できる高度な人材を養成します。

【環境・エネルギーコース】

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本コースは、環境エネルギー変換工学、環境熱流体工学、自然エネルギー変換科学、省エネルギー工学等の研究グループから構成されており、熱・流体工学の知識を基盤として環境負荷低減技術やエネルギーの有効利用などの先端分野の研究をしています。具体的には、熱・流体機器の高効率化・低騒音化、高速輸送機関の空力騒音低減、液滴微粒化技術、低環境負荷燃焼装置の開発、宇宙環境での燃焼限界、対流熱伝達、持続可能なエネルギー機器開発、魚類型推進機構の開発、潤滑油等再利用のための高性能浄化装置開発などの基礎〜応用研究をしています。また教育としては、熱力学、流体力学等の基礎科目を学習し、熱および流体エネルギーの変換、輸送や省エネルギー等に関する応用分野を学習します。これにより、機械工学全般とエネルギーや環境分野で能力の高い人材を養成します。

Chapter2IR本部設置について

IR本部 本部長/建築・都市システム学系教授
井上 隆信(いのうえ たかのぶ)

144-IR1.jpg今、国立大学では、IR(Institutional Research)を推進することが奨励されており、28年度にスタートした第3期中期目標期間に係る中期計画では、78の国立大学法人でIR機能を強化することを謳っています。本学においても、「学長のリーダーシップのもと、教学、研究、財務等の学内の様々な情報を把握・分析して数値化・標準化することにより、強みと問題点を把握し、その結果を教育・研究及び大学経営等に活用するIR機能を強化する。」こととしており、28年4月にはIR本部が設置されました。

IRはなじみのない言葉ですが、狭義には、単なる調査データの収集分析・報告といった活動を、広義には、全学レベルの財務計画や戦略的計画の策定までを含むきわめて幅広い活動を指すとされており、(1)機関の業績についてのデータ収集、(2)機関の環境についてのデータ収集、(3)収集したデータの分析と解釈、(4)機関計画策定、そして政策策定と意思決定支援情報への変換の4つからなるとの考えがあります。

IRに関しては、先進的な取組をしている大学も複数ありますが、総合大学では、入試、教育、研究等に関して学部ごとで異なる形態となっている情報を、大学として総合的に系統立てて収集することに苦労しているといった話も聞きます。幸い、単科大学の本学では、(1)と(2)に関しては、総合大学ほどの苦労はありません。ただし、それぞれのセクションにおいて、収集した目的のためのデータの解析は行われているものの、それらを統合して解釈することがなされていません。また、統合して解釈するには足りないデータもあることもわかってきました。IR本部が設置されてから1年が経ち、様々な課題が見えてきたところで、具体の解決に向け、(1)と(2)の既存および新規のデータを取り扱う仕組みの構築に加え、(3)や(4)の活動も立ち上げていこうとしています。

(4)の活動を考えると、IRの情報の提供先は主に執行部となるわけですが、学内への情報開示も重要です。既に、基本的事項については、学内・学外への情報公開は実施されていますが、学内には、もう少し詳しいデータの提供が必要であり、そのためには、データをすぐに入手できる環境の整備も必要です。そこで、学内・学外の『使えるデータ』を提供する手段として、29年4月にIR本部のホームページ(学内限定)を立ち上げました。まだ走り始めたばかりで課題もありますが、『使えるホームページ』に育てていきたいと思っています。

Chapter3進化する『高専連携教育研究プロジェクト』

高専連携推進センター教員/機械工学系教授
戸髙 義一(とだか よしかず)

『高専連携教育研究プロジェクト』は、高等専門学校(高専)と豊橋技術科学大学(本学)の教員が、共同で新しい教育・研究の開拓を行なうとともに、高専と本学との連携を深めることを目的として、平成16年から始まりました。今年度(平成29年度)の募集に関しましては、6月1日に採択結果を公表したところです。124件の応募のうち59件を採択致しました。採択されました課題につきましては、連携をさらに深めて頂きます様、よろしくお願い致します。

今年度の募集では、新しいカテゴリを設けました。ここでは、次の3つについて紹介致します①スタートアップ支援、②研究推進プロジェクト(ステージ1)、③企業連携研究推進プロジェクト(ステージ2)

①は、高専教員に採用されて間もない若手教員を対象に、本学教員との連携を促進してもらうことを目的としています。そのような高専教員の課題に対して、高専連携推進センター教員が課題マッチングして本学教員を紹介し、共同研究の支援を行ないました。②は、従来の「研究推進プロジェクト」に相当します。③は、これまでの「研究推進プロジェクト」(② 研究推進プロジェクト)で得られた成果などを基に、次のステージとして企業と連携してさらに研究を発展してもらうことを目的としています。『高専連携教育研究プロジェクト』の予算は年々減少していることから、② ステージ1の成果に基づいて、早い段階で③ ステージ2へ展開して頂き、最終的には当該予算によらずに高専・企業・大学の連携が継続することを期待しています。

また、今年度は募集方法も変更致しました。昨年度までは本学教員が課題設定し、それに対して高専教員が応募して、最終的に本学教員が申請する形式でした。今年度は高専⇔大学間のやり取りを簡略化し、高専教員が課題設定し、それを本学教員が確認した後、高専教員が申請する形式としました。

今後も、高専と本学の教員の連携が活発化するように、当該プロジェクトをより良いものにして参りたいと思いますので、ご協力の程、よろしくお願い致します。

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 平成28年度進捗状況報告会(ポスターセッション)の様子
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 平成28年度進捗状況報告会表彰式(「優秀プレゼンテーション賞」6名受賞)の様子

便利情報: 高専連携に関する各種資料・情報の収納先 高専連携推進センター公式ホームページ

http://www.kousen.tut.ac.jp

高専連携教育研究プロジェクト

http://www.kousen.tut.ac.jp/research/project/

Chapter4教務課の業務について

教務課 企画調査係長
山田 敏也(やまだ としや)

教務課は、名前のとおり教務に関する業務を行う部署ですが、単に「教務」の課と言われても具体的なイメージを持てない方もいるのではないでしょうか。簡潔に言ってしまえば「教育に関する業務全般」を取り扱っているのですが、それでは説明にならないので、いくつか例を挙げながら紹介していきたいと思います。

まず、最も馴染み深いところでは、履修に関する業務が挙げられます。履修登録手続きから始まり、授業期間に入ってからは、補講・休講の案内や時間割の管理、レポート提出や試験の実施、成績評価、実務訓練等の実施、卒業・修了にあたっては学位授与に関する業務まで幅広く執り行っています。また、学籍に関することも取り扱っており、留学・休学等の申請や、在学証明書等の各種証明書発行も担当しています。

このように学生を直接的にサポートする一方で、制度や体制作りに関する支援業務も行っています。教員と協働して各種教育制度・プログラムの企画・検証・改善を繰り返し、学生が豊橋技術科学大学独自の質の高い教育を受けられるように努めています。ここ近年の主立ったところでは、スーパーグローバル大学創生支援事業におけるグローバル教育の展開や、教務情報システムへの学生ポータルサイトシステムの導入などが挙げられます。制度・体制作りと言うと大仰な感じもしますが、身近なところでは学習サポートルームや英語・日本語学習アドバイザーの設置等はイメージしやすいのではないでしょうか。

また、教育と言っても学生に限った話ではなく、教員のための研修(Faculty Development)の実施も業務の1つとして挙げられます。研修を通してスキルアップした教授力・研究力を、教育・学習の面で学生に還元して、良い循環を生み出していくことも教務課の大切な使命です。

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