
概要
橋梁や風力タービンなどの構造物健全性モニタリング(Structural Health Monitoring:SHM)は、早期の故障診断と予防保全を目的として、構造物の全寿命にわたって健全性を追跡する方法で、遠隔、無人化が進みつつあります。私たちは構造物のボルト自体に変更を加えることなく、接合部の緩み(荷重)を高精度にモニタリングするセンサノードと長距離無線通信部をもつ「TenSense」を開発しました。

従来技術
・人手によるモニタリングには、多くの費用と時間が必要です。
・無人モニタリングツールには構造物の改造が必要、特定用途に限定される、設置・運用費用が高い等の課題があります。
優位性
・各種ボルト径に対応でき、ボルト接合部に追加装着のみで、改造する必要がありません。
・低消費電力、多数のセンサデータを無線通信により遠隔地から同時モニタリングができます。
・受信データはブロックチェーンに安全に保存されます。
特徴
センサーノード「TenSense」は、ボルト接合部の外部要因や内部要因による締結力の低下を検出し、データを収集して送信することを目的として開発しました。
開発仕様を下記のように決定し、全て対応できました。
- フットプリントが小さい
- ボルトの改造を必要とせず、ボルト規格に準拠する
- 適用構造物を改造しない
- Industrial Internet of Things(IIoT)との連携による無人監視、遠隔監視が可能
- 1~2回/日の送信頻度で5年以上の動作寿命
- 通信には低消費電力・長距離伝送プロトコルを使用
- 多数のセンサノードが基地局にデータを送信する場合を想定し、衝突回避機構を搭載する
- Over The Air(OTA)アップデートによるノードの再構成機能がある



実用化イメージ、想定される用途
・社会的インフラや無人、遠隔、常時監視を必要とする構築物
・M20~M30のボルト接合部がある構築物
実用化に向けた課題
・アンテナをセンサノード内部に収納する
・M20以下の小径、M30以上の大径ボルトへの対応設計
研究者紹介
大村 廉 (おおむら れん)
豊橋技術科学大学 情報・知能工学系 准教授
researchmap
研究者からのメッセージ(企業等への提案)
構造物のモニタリングなどのインフラに限らず、IoT(小型デバイス・無線通信)技術を用いた交通や人の動きなどの研究をおこなっています。このような技術にご興味をお持ちの企業の技術相談をお受けします。また共同研究等のご検討の際にはご連絡ください。
知的財産等
掲載日:2021年01月31日
最終更新日:2021年01月31日