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土井 謙太郎(どい けんたろう)

所属 機械工学系
職名 教授
専門分野 マイクロ・ナノ熱流体工学 / 量子・分子動力学
学位 博士(工学)(京都大学)
所属学会 日本機械学会 / 日本物理学会 / 日本化学会 / 日本応用物理学会
E-mail doi@me
※アドレスの末尾に「.tut.ac.jp」を補完してください
研究者情報(researchmap) 研究者情報

研究紹介

微視的スケール(μm, nm)の熱流体現象と微細加工および計測技術に興味を持って研究しています.特に,マイクロ・ナノスケールの空間における電子やイオンの輸送現象が発現する機能に関して,応用展開を視野に入れた基礎研究を行っています.最近は,以下の研究課題に取り組んでいます.

(1) マイクロガラス電極を用いた局所電場,導電率およびpHの計測

(2) マイクロ・ナノギャップに生じる非定常イオン輸送現象

(3) 化学反応を伴う分子動力学シミュレーション

テーマ1:マイクロガラス電極を用いた局所電場,導電率およびpHの計測

概要
2連管のマイクロガラス電極を用いたpH計測[1]

電解質溶液で満たされたマイクロ流路に,外部より電場を印加すると微弱なイオン電流が生じます.流路の構造によって電場の強弱が変化し,帯電した微粒子や生体高分子は電場による静電気力を受けて輸送されます.粒子を効率よく輸送し,また検知するためには,流路内部の電場分布を理解することが重要になります.本研究では,ガラス管を伸長してその先端径を1μm以下とし,そこに電解質液と銀塩化銀線を挿入したマイクロガラス電極を用いることにより,流路内部の局所的な電場を計測し,さらに導電率の計測から塩濃度の特定に成功しました.また,ガラス管を2連管(2本のガラス管を束ねたもの)としたガラス電極を作製し,一方に緩衝液を他方に電解質溶液を充填することで,試料液のpHを計測することに成功しました.

主な業績

[1] K. Doi, N. Asano, and S. Kawano, Development of Glass Micro-Electrodes for Local Electric Field, Electrical Conductivity, and pH Measurements, Sci. Rep. 10, 4110 (2020).

キーワード

マイクロガラス電極,イオン電流,局所電場,導電率,pH

テーマ2:マイクロ・ナノギャップに生じる非定常イオン輸送現象

概要
(a)マイクロ・ナノギャップを作るための電極対,(b)電極間に形成されるイオンの濃度分布

液体中のイオン輸送現象は,イオンの電気泳動(伝導),拡散および移流の和からなると考えられます.各現象は,時間と空間のスケールが異なることから,液中に電圧が印加された直後から定常状態に至るまでの非定常現象を調べると,液中におけるイオンの振る舞いの詳細を知ることができます.本研究では,ナノメートルからミリメートルまでの広範囲で電極間距離を変え,電圧の印加に対するイオン電流応答を理論的に予測し,また実験的に計測しました.その結果,電圧を印加した直後に電極表面がイオンによって覆われるために電場が遮蔽され,その後,電極から離れた沖合の濃度場が緩やかに形成されることが確かめられました.本研究によって,微視的スケールにおけるイオン輸送現象のダイナミクスの詳細が明らかにされました.

主な業績

[1] K. Doi, M. Ueda, and S. Kawano, Theoretical Model of Nanoparticle Detection Mechanism in Microchannel with Gating Probe Electrodes, J. Comput. Sci. Technol. 5 (2011), 78-88.
[2] K. Doi. M. Tsutsui, T. Ohshiro, C.-C. Chien, M. Zwolak, M. Taniguchi, T. Kawano, S. Kawano, and M. Di Ventra, Nonequilibrium Ionic Response of Biased Mechanically Controllable Break Junction (MCBJ) Electrodes, J. Phys. Chem. C 118 (2014), 3758-3765.
[3] K. Doi, A. Yano, and S. Kawano, Electrohydrodynamic Flow through a 1 mm2 Cross-Section Pore Placed in an Ion-Exchange Membrane, J. Phys. Chem. B 119 (2015), 228-237.
[4] S. Tanaka, M. Tsutsui, H. Theodore, H. Yuhui, A. Arima, T. Tsuji, K. Doi, S. Kawano, M. Taniguchi, and T. Kawai, Tailoring Particle Translocation via Dielectrophoresis in Pore Channels, Sci. Rep. 6, 31670 (2016).

キーワード

マイクロ・ナノギャップ電極,非定常イオン電流,電気二重層

テーマ3:化学反応を伴う分子動力学シミュレーション

概要
部分的に立体的な構造を持つグラフェンモデルに対する水素分子の解離吸着シミュレーション:(a)解離吸着が起こらない場合,(b)解離吸着が起こる場合.[3]

たとえば,グラフェンのような炭素原子からなる二次元構造の表面は,電子の雲に覆われていると考えられています.このような,安定な表面に原子や分子が衝突してもそれらは反発します.一方で,グラフェン表面が少しひずんでいたり,他の元素が添加されたりすると,電子の雲に偏りが生じ,衝突する原子や分子との間に電子の移動が生じて吸着が起こることがあります.一般的な分子動力学シミュレーションでは,電子の移動が考慮されないため,電子の移動を伴うような化学反応系のシミュレーションをすることは難しいですが,私たちは,第一原理計算を用いて電子の移動を伴う分子動力学シミュレーションを可能にしました.これにより,部分的に立体的な構造を持つグラフェン表面において,衝突する水素分子が解離してさらに吸着する一連の過程を示すことに成功しました(右図).これにより,物質表面における水素分子の解離吸着や吸着脱離現象をシミュレーションすることが可能となり,水素吸蔵合金などの材料設計に関する応用も期待されます.

主な業績

[1] H. Nakano, H. Ohta, A. Yokoe, K. Doi, and A. Tachibana, First-principle molecular-dynamics study of hydrogen adsorption on an aluminum-doped carbon nanotube, J. Power Sources 163 (2006), 125-134.
[2] A. Fukushima, A. Sawairi, K. Doi, M. Senami, L. Chen, H. Cheng, and A. Tachibana, Role of an aluminum atom on graphene for hydrogen adsorption, J. Phys. Soc. Jpn. 80 (2011) 074705.
[3] K. Doi, I. Onishi, and S. Kawano, Dissociative adsorption of H2 molecules on steric graphene surface: Ab initio MD study based on DFT, Comput. Theor. Chem. 994 (2012), 54-64.

キーワード

第一原理分子動力学シミュレーション,電荷移動,解離吸着過程

担当授業科目名(科目コード)

機械工学入門 (B11510090) / 応用数学 I (B1161011, B1163019) / 熱流体輸送学 (B11630100) / 輸送現象学 I (M21624110) / エネルギー工学特論 (D31030070)


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