沼野 利佳(ぬまの りか)
所属 | 次世代半導体・センサ科学研究所 |
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兼務 | ダイバーシティ推進センター 応用化学・生命工学系 |
職名 | 教授 |
専門分野 | 時間生物学 |
学位 | 博士(医学)(東京大学) |
所属学会 | 日本分子生物学会、日本時間生物学会、日本神経化学学会、European Biological Rhythm Society |
numano@ ※アドレスの末尾に「tut.jp」を補完してください |
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研究室web | https://www.eiiris.tut.ac.jp/numano/ |
研究者情報(researchmap) | 研究者情報 |
テーマ1:哺乳類概日リズムの分子時計のモニター実験系の確立
概要
地球上の生物の行動や代謝などには約一日を周期とする体内時計が制御する概日リズムが存在し、その位相は外界の光環境などにより変化する。哺乳類の概日リズムの中枢は視交叉上核(SCN)に存在することが明らかになっているが、リズムのオシレーター機能においてPeriod1(Per1)遺伝子のSCNにおける発現振動が重要であること、また、リズムの光環境への同調はPer1の転写の光誘導に由来することをこれまでに示した。
このPer1の発現を指標にして、中枢SCN及び末梢組織の時計機能を同時に測定するため、Per1プロモーター発現制御領域で蛍の発光ルシフェラーゼ(luc)遺伝子を発現するPer1::luc トランスジェニックTg動物を作った。その各組織を培養すると、SCNスライス培養では、約1日周期の化学発光振動が1ヶ月以上観察され、一方、肝臓など末梢組織でも遅れた振動位相ではあるが発光振動が観察でき、2日から6日で減衰する。哺乳類ではSCNに自律したペースメーカーが存在し、末梢の概日リズムを組織固有の位相に維持することがわかった。
現在は、Per1::luc Tgマウスなどを用いて、SCNスライスを顕微鏡とCCDカメラを組み合わせたタイムラプス計測にて3次元の画像として観察している。また、Vapor-liquid-solid(VLS)法で作成された微小刺入型マルチ電極プローブをアレイ状に並べたセンサーチップを用いて、SCN脳スライスを培養しながら、できるだけ1神経細胞に近い単位で刺激をしながら、1細胞の神経活動スパイクの発火頻度を測定する。また、外来性DNA分子を、刺入する際にSCN脳スライスに導入することにより、その細胞から電気スパイクを測定したかをマーキングする。さらに、こうした、外部からの刺激により、SCN脳スライス内で24時間リズミックに観察される遺伝子発現の変化にどのような影響をきたすか観察する。
主な業績
1Resetting central and peripheral circadian oscillators in transgenic rats.
*Yamazaki S, * Numano R, *Abe M, Hida A, Takahashi R, Ueda M, Block GD, Sakaki Y, Menaker M, Tei H.
Science, 288, 2000, p682-685 *equally contributed
2Constitutive expression of the Period1 gene impairs behavioral and molecular circadian rhythms.
Numano R, Yamazaki S, Umeda N, Samura T, Sujino M, Takahashi R, Ueda M, Mori A, Yamada K, Sakaki Y, Inouye ST, Menaker M, Tei H.
Proc Natl Acad Sci U S A, 103, 2006, p3716-3721
3Nanoscale tipped microwire arrays enhance electrical trap and depth injection of nanoparticles.
Goryu A, Numano R, Ikedo A,Ishida M, Kawano T.,Nanotechnology Vol.23,41,2012
4In vivo bioluminescence and reflectance imaging of multiple organs in bioluminescence reporter mice by bundled-fiber-coupled microscopy
Ando Y, i Sakurai T, Koida K, Tei H, Hida A, Nakao K, Natsume M, and Numano R,
Biol.I Optics Eexp., 7(3), 963-978,2016
キーワード
テーマ2:照射する光の波長により神経活動を外部コントロールできる実験系の確立
概要
神経活動変化を、異なる波長の光でコンホーメションを変化させる光感受性の化学物質を用いてコントロールする系を開発した。
グルタミン受容体(iGluR6)は神経細胞のシナプス部位に強く発現し、神経発火の頻度を制御している。UV領域の光でシス体となり、可視領域の光でトランス体となるアゾベンゼン構造を骨格にもち、システイン(Cys)に水素結合するマレーマイド(のりしろ)構造体とiGluR6受容体のアゴニストであるグルタミン酸を両方結合させた新規化学物質(MAG)を合成した。iGluR6のリガンド結合部位のまわりに化合物の接着部となるCys変異を導入した変異体と3種類の長さのMAGの組み合わせにより、異なる波長の光照射で、細胞膜の電位・神経細胞の活動を可逆的に変化させることに成功した。具体的には、UV領域の光照射で受容体が開き、可視光で閉まるという光反応性をしめす組換LiGluR受容体や、反対にUV光で受容体が閉まり、可視光で開く反応を示すYin/Yang受容体を見出した。この実験系はゼブラフィッシュなどの生体内でも機能し、外部からの照射光により神経活動・行動を調節できることが示された。
このLiGluR受容体やYin/Yang受容体をもちいて、SCNペースメーカー神経の神経活動を光照射で直接操作することで、哺乳類概日リズムをコントロールする課題に取り組む。
主な業績
5Allosteric control of an ionotropic glutamate receptor with an optical switch.
Volgraf M, Gorostiza P, Numano R, Kramer RH, Isacoff EY, Trauner D.
Nat Chem Biol., 2, 2006, p47-52
6Remote control of neuronal activity with a light-gated glutamate receptor.
Szobota S, Gorostiza P, Del Bene F, Wyart C, Fortin DL, Kolstad KD, Tulyathan O, Volgraf M, Numano R, Aaron HL, Scott EK, Kramer RH, Flannery J, Baier H, Trauner D, Isacoff EY.
Neuron, 54, 2007, p535-545
7Mechanisms of photoswitch conjugation and light activation of an ionotropic glutamate receptor.
Gorostiza P, Volgraf M, Numano R, Szobota S, Trauner D, Isacoff EY.
Proc Natl Acad Sci U S A, 104, 2007,p10865-10870
8Nanosculpting reversed wavelength sensitivity into a photoswitchable iGluR.
Numano R, Szobota S, Lau AY, Gorostiza P, Volgraf M, Roux B, Trauner D, Isacoff EY.
Proc Natl Acad Sci U S A, 106, 2009,p6814-6819
キーワード
テーマ3:細胞への遺伝子導入の革新的新法「液滴エレクトロポレーション」の開発
概要
豊橋技術科学大学は、今回、液滴エレクトロポレーションという、革新的な細胞への遺伝子導入法を開発した。細胞と外来性DNAを封入した液滴に直流電界を印加すると、絶縁体の油中で電極間を液滴が往復運動し、短絡現象が生じる間にDNAが細胞に導入され、細胞の生理機能が変化する。この技術は、使用する細胞やDNA量を大幅に削減可能であり、細胞毒性が低く、その後長期培養するiPS細胞や受精卵のゲノム編集に高い成績で成功している。iPS細胞の量産化など再生医学に革新をもたらすことができる。
主な業績
Novel Parallelized Electroporation by Electrostatic Manipulation of a Water-in-Oil Droplet as a Microreactor.
Kurita H, Takahashi S, Asada A, Matsuo M, Kishikawa K, Mizuno A, Numano R.
PLoS One. 2015 Dec 9;10(12):e0144254. doi: 10.1371/journal.pone.0144254. eCollection 2015.
キーワード
担当授業科目名(科目コード)
基礎生命科学Ⅰ
生命工学特論Ⅱ
生体制御科学特論
Advanced Molecular Biological Chemistry 2
その他(受賞、学会役員等)
ソロプチミスト日本財団女性研究者賞2013年