内田 裕久(うちだ ひろなが)
所属 | 電気・電子情報工学系 |
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職名 | 教授 |
専門分野 | 光 / 磁性 / 計測 / 医療機器 |
学位 | 工学博士(豊橋技術科学大学) |
所属学会 | 電気学会 / 電子情報通信学会 / 日本磁気学会 / 日本医療機器学会 / 日本生体医工学会 |
uchida@ee ※アドレスの末尾に「.tut.ac.jp」を補完してください |
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研究室web | https://meas.ee.tut.ac.jp/ |
研究者情報(researchmap) | 研究者情報 |
研究紹介
表面、光、磁気、計測技術などの研究を行ってきました。現在は、主に光学や計測、電子情報工学の技術を応用して医療機器の開発を進めています。
テーマ1:自動点眼装置
概要
眼は、私たちが健康的な生活を送るうえで非常に重要な器官です。しかし、年齢とともに視覚に問題を抱える人は増えており、日本では緑内障が最も多い疾患の一つとされています。緑内障の治療では点眼薬が欠かせませんが、海外の調査では、正しく点眼できていた人はわずか8.6%であったという報告があります。高齢の方、または手や腕、首の動きが制限されている方には点眼が困難になります。こうした問題を解決するために、手の細かい動作や首を後ろに倒すことなく、正面を向いた姿勢のままで点眼できる装置を開発しています(図1)。この装置では、点眼薬の液滴に横から風を当てることで、目の位置まで液を運ぶという仕組みを採用しています。点眼液の軌道は、2階の微分方程式を解くことで求めることができます。自由落下方式に比べると構造はやや複雑ですが、座ったままで使えるため、首や手の運動に不安のある方でも楽に、確実に点眼ができるようになります(図2)。
主な業績
1) 道下史也, 中野康汰, 山路倍弘, 安永弘樹, 内田惠子, 橋本和軌, 中澤徹, 内田裕久,
“エアー搬送を用いた自動点眼装置の開発”, 医療機器学 95(1) 12-19 (2025)
2) 内田裕久, 道下史也, Amrita Bayarusaikhan, 内田惠子, 中澤徹、
“前向きの姿勢で使用するエアー搬送自動点眼装置:液滴の振舞い”,月刊バイオインダストリー (5), シーエムシー出版 2025年5月
キーワード
テーマ2:医薬品使用モニタ装置
概要
薬の飲み忘れや使い間違いを防ぐため、患者さん自身や家族などの介護者が医薬品の服用を管理しやすくし、さらに医療従事者が使用状況を確認できる装置を開発しています。医薬品の管理は重要でで、薬の飲み忘れや過剰摂取などの問題も起こります。こうした課題に対応するため、どの薬を・どれだけ使ったかを記録・確認できます。
この装置は、RFID(無線自動認識)技術と電子はかりを組み合わせたもので、医薬品の種類・量・使用者をリアルタイムにモニターできます(図1)。本研究では、識別番号を判別するRFIDに重さの測定機能を加えることで、錠剤や一包化された薬だけでなく、これまで管理ができなかった点眼薬や軟膏のような液体・半液体の医薬品にも対応できるようになりました(図2)。使用者を識別できるRFIDタグ付きのプレートも併用すると、個人ごとの使用状況を記録することもできます。記録されたデータはクラウド上に保存され、アプリケーションソフトでグラフ表示が可能で、記録簿としてダウンロードすることもできます。
主な業績
1) 加藤尚弥, 安永弘樹, 内田惠子, 中澤徹, 内田裕久,
“RFIDと電子はかりを用いた医薬品使用モニター装置の開発”, 医療機器学 94(6) 603-609 (2024).
キーワード
テーマ3:光干渉断層計(OCT)
概要
眼科診療において欠かせない検査の一つに、OCT(光干渉断層計 / Optical Coherence Tomography)があります。OCTは光の干渉を使って網膜などの断層構造を観察できる技術で、非侵襲的に把握するために広く利用されています。光源には波長830 nmのスーパールミネッセントダイオード(SLD)を使用し、ファイバカプラで分岐させた光を参照ミラーと試料に照射。その反射光を干渉させ、分光器でスペクトルを取得後、逆フーリエ変換を行うことで断層画像を生成しています。
OCT画像は、逆フーリエ変換によって得られますが、実数のデータを測定しているため、ゴースト像が対称的に現れてしまい、使用できる深さも半分になってしまいます。これを回避するため、ガルバノミラーの回転軸にオフセットを加える位相シフト法を導入し、光路長に差を持たせることで、OCT像とゴースト像を分離することができます。この位相シフト法により、ゴースト像を15 dB減衰させることができています。積層したセロハンテープを観察した結果では、ゴースト像の抑制ができ、かつ表示可能な深さ範囲を約2倍ほどに広げることができています。今後、従来なかった機能を付加する研究開発を進めていきます。
担当授業科目名(科目コード)
電気・電子情報工学基礎実習
解析電磁気学Ⅱ
量子力学Ⅱ
磁気工学
先端材料エレクトロニクス特論Ⅰ
材料エレクトロニクス論
Advanced Electronic Materials 1