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栗田 典之(くりた のりゆき)

所属 情報・知能工学系
兼務
職名 准教授
専門分野 量子生物学 / 計算科学 / 生命情報科学
学位 工学博士(筑波大学)
所属学会 物理学会 / 生物物理学会 / 炭素材料学会 / 分子科学会 / CBI学会
E-mail kurita@cs
※アドレスの末尾に「.tut.ac.jp」を補完してください
研究室web http://www.klab.cs.tut.ac.jp

研究紹介

生体内でのDNA、タンパク質等の生体高分子の機能を理解するためには、それらの構造を決定するのみでは不十分であり、量子化学計算により、生体高分子の電子状態、化学反応特性などを明らかにする必要がある。本研究室では、生体高分子の電子状態解析に有効な分子シミュレーション手法を開発し、DNA、タンパク質、及びリガンド間の特異的認識反応機構を、電子レベルで理論的に解明し、その結果に基づき、結核、ガン、HIV、アルツハイマー病を抑制可能な新薬を提案する目的で研究を進めている。また、DNAへの放射線の影響を予測する目的で、放射線により生じた様々なラジカルとDNA間の相互作用を解析し、それらのラジカルを効率的に捕獲可能な新規材料を提案している。

テーマ1:分子シミュレーションによるDNAへの様々なラジカルの反応機構の解明

概要

放射線の人体への影響に関しては、未解明な点が多く、特にDNAへの影響の解明は、重要な研究課題であるが、原子・電子レベルでは未解明である。我々は、高精度分子シミュレーション手法を用い、放射線により生じる様々なラジカルがDNAを攻撃した際の反応機構を解析し、どのようなラジカルが、DNAのどの部位を攻撃し、DNAに突然変異を誘発し易いかを、原子・電子レベルで明らかにしようとしている。

主な業績

(1)"Influence of solvating water molecules on the attacking mechanisms of OH-radical to DNA base pairs: DFT calculations in explicit waters",
Shimamura, K.; Okutsu, N.; Shimizu, E.; Shulga, S.; Blume, Y.B.; Danilov, V.I.; Kurita, N., Structural Chemistry, 2016, 27, 1793-1806.
(2)"Attacking mechanism of hydroxyl radical to DNA base-pair: density functional study in vacuum and in water",
Shimizu, E.; Tokuyama, Y.; Okutsu, N.; Nomura, K.; Danilov, V. I.; Kurita, N., J. of Biomolecular Structure and Dynamics, 2015, 33, 158-166.
(3)"DFT study on reaction mechanism of DNA base pair with hydroxyl radical", Shimizu, E.; Hoshino, R.; Nomura, K.; Danilov, V. I.; Kurita, N., J. Modern Physics, Special issue on DFT, 2013, 4, 442-451.


キーワード

放射性物質、ラジカル、DNA、突然変異、分子シミュレーション

テーマ2:転写制御タンパク質とDNA複合体の電子状態解析 ⇒ 遺伝情報の転写機構の解明

概要
転写制御タンパク質とDNAの複合体構造

生体内では、DNA遺伝情報がRNAへ転写され、RNAの情報が翻訳されタンパク質が生成される。この転写機構を制御するタンパク質として、ラクトースリプレッサー(右図)とカタボライト活性化タンパク質がある。我々は、これらのタンパク質とDNA間の特異的相互作用が、リガンドの結合により大きく変化する原因を電子レベルで解明し、転写機構の制御に重要なタンパク質の部位を明らかにし、転写機構を制御する人工タンパク質を提案する。

主な業績

(1)"Change in specific interactions between lactose repressor protein and DNA induced by ligand binding: molecular dynamics and molecular orbital calculations", Matsushita, Y.; Murakawa, T.; Shimamura, K.; Ohyama, T.; Oishi, M.; Kurita, N., Molecular Simulation, 2015, 42, 242-256.
(2)"Specific interactions between DNA and regulatory protein controlled by ligand-binding: ab initio molecular simulation", Matsushita, Y.; Murakawa, T.; Shimamura, K.; Ohyama, T.; Oishi, M.; Kurita, N.,
AIP Conference Proceedings 1649, 121 (2015); doi: 10.1063/1.4913556.
(3)"Specific interactions between lactose repressor protein and DNA affected by ligand binding: ab initio molecular orbital calculations",
Ohyama, T.; Hayakawa, M.; Nishikawa, S.; Kurita, N., Journal of Computational Chemistry, 2011, 32, 1661-1670.

キーワード

生体高分子、タンパク質、DNA、転写制御、電子状態計算、分子動力学計算

テーマ3:ガン転移抑制剤の電子状態、ガン転移機構の解析 ⇒ 新規ガン転移抑制剤の提案

概要
ガン転移抑制剤の安定構造

我々は、奈良県立医科大学の小林教授が開発したガン転移抑制剤(右図)の電子状態を解析し、ガン転移を効果的に抑制するペプチド新薬を提案した。また、ガン細胞が正常細胞に転移する機構を、細胞シミュレータを用いて解析し、どの反応を阻害すれば、ガン転移をより効果的に抑制可能であるかを明らかにした。さらに、ガン細胞表面に存在し、ガン転移のトリガーとして働くタンパク質の機能を阻害可能な新薬を、分子シミュレーションを用いて提案した。

主な業績

(1)"Ab initio molecular simulations for proposing novel peptide inhibitors blocking the ligand-binding pocket of urokinase receptor",
Mizushima, T.; Sugimoto, T.; Kasumi, T.; Araki, K.; Kobayashi, H.; Kurita, N., Journal of Molecular Modeling, 2014, 20: 2292 (11page).
(2)"The effects of vitronectin on specific interactions between urokinase-type plasminogen activator and its receptor: Ab initio molecular orbital calculations", Kasumi, T.; Araki, K.; Ohyama, T.; Tsuji, S.; Yoshikawa, E.; Kobayashi, H.; Kurita, N., Molecular simulation, 2013, 39, 769-779.
(3)"Effect of amino-acid mutation on specific interactions between urokinase-type plasminogen activator and its receptor: ab initio molecular orbital calculations", Tsuji, S.; Kasumi, T.; Nagase, K.; Yoshikawa, E.; Kobayashi, H.; Kurita, N., Journal of Molecular Graphics and Modeling, 2011, 29, 975-984.

キーワード

ガン転移抑制剤、電子状態計算、細胞シミュレーション、インシシコ創薬,ペプチド薬、

担当授業科目名(科目コード)

数理生命情報学序論 / 知能情報数学 / 応用線形代数論 / 量子生物学 / 量子・生命情報学特論

その他(受賞、学会役員等)

● アルツハイマー病の原因であるアミロイドβタンパク質の凝集機構の解析、凝集を抑える新規治療薬の提案 [Chem. Phys. Lett., 2017, 672, 13-20; Chem. Phys. Lett., 2015, 633, 139-145; Chem. Phys. Lett.,2013, 577, 131-137.]
●ビタミンD受容体とリガンド間の特異的相互作用の解明 [J. Steroid BioChem. & Molecular Biology, 2017, in press.]
● 高精度分子シミュレーションによるDNA塩基の突然変異機構の予測 [J. Phys. Chem. A, 2009, 113, 2233.]
● 分子シミュレーションによる芳香族炭化水素受容体AhRとダイオキシン間の特異的相互作用の解析 [J.Mol.Graphics & Modeling, 2010, 29, 197.]


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