2019.08No.148(オンラインNo.30)

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輝くギカダイ卒業生

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もくじ

Chapter1ユニバーサルデザインを考慮した高断熱な窓の研究開発

2004年3月 建設工学専攻 博士前期修了
積水ハウス株式会社 総合住宅研究所 開口・防犯研究開発グループ 主任
吉田 知未(よしだ ともみ)さん

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現在の仕事の内容は何ですか?
 住宅の開口部周辺の研究開発を行っています。これまでに、ユニバーサルデザインを考慮した窓や、高断熱な窓の研究開発をしてきました。誰もが使いやすいようにと考えた窓は、足元のレールによる段差を内外でなくすことで、出入りがしやすいだけでなく、屋内外がゆるくつながった過ごしやすい空間を作り出します。また「てこの原理」を利用した引手を開発し、力の弱いお子さまやお年寄りの方でも重い窓を軽々と開けやすくする工夫をしました。そのほか、高断熱な窓の研究では、ガラスメーカーと共同で断熱性も防犯性も高く、さらに軽い、という3つの良さを兼ね備えたガラスを開発しました。

大学で学んだことで、仕事に役立っていることはありますか?
 住宅メーカーの技術職には建築士の資格が必須です。大学で学ぶ専門の授業は、建築士の資格を取る上でどれも基本となり大切なので、在学中にしっかりと学んでおくことをお勧めします。特に構造力学で苦労している人が多いので、学生のうちに理解しておいたほうが良いです。
 また、私は学生時代にロボコン同好会に所属していました。子供の頃から見ていたNHK学生ロボコンで、優勝の常連校となっていた技科大でロボットを作りたかったのです。これは私がこの大学を選んだ理由の一つでもあります。ロボコン同好会では、先輩や仲間から回路やプログラム、そして機械的な知識を学ぶことができ、形状を具現化する物づくりの面白さを体感しました。今の仕事では多くのアイディアや知識が必要となりますが、これは建設工学科だけでは学ぶことができなかったと思います。

仕事でのやりがい、今後の夢は何ですか?
 住宅は生活の基本と考えており、お客様に幸せに暮らしていただけるように、日々研究に励んでいます。時々出会う当社の住宅に住まわれているお客様から、暖かくて住み心地が良いとか、大きな窓が気持ちいい、などの感想を伺うと、作って良かったな、とやりがいを感じます。また、家の中で最も熱が逃げやすい窓を高断熱にすることで、大開口でも省エネな暮らしが実現でき、地球環境にも貢献しています。今後も、お客様の視点を持ち、当社がリリースした「住めば住むほど幸せ住まい」を提供できるよう、研究開発をしていきたいと思っています。

豊橋技術科学大学ならではの良さはありますか?
 学部3年から高専卒業生が編入してくることは、他の大学では味わえない良さだと思います。私は1年生から基礎知識を学びながら進級しましたが、高専編入生から、たくさんの良い刺激を受けました。編入生たちは、建築に関する幅広い知識を持ち、感性豊かでアンテナが広い人が多いのが印象的でした。学年の人数も学部3年から3倍に増え、井の中が池の中になったという感じです。このように編入生たちと一緒に過ごす中で、体裁のよい設計図面の構図や表現の仕方、建物を見る視点、デザインの感性など、授業だけでは知り得なかったことを吸収できました。

技科大生へ向けたメッセージをお願いします。
 勉強だけでなく、色々なことに興味を持ち経験を積んでください。失敗も大切な経験です。そして、失敗の後に振り返ることで、確認すべきことに気づいたり、別の突破口を見つけたりすることができると思います。 大学の研究室で教授から言われた印象的な一言があります。「医師は失敗しても一人の患者の命に関わるだけだが、建築物の構造計算を間違うと、一度に多くの人の命を奪ってしまう」と。怖い言葉ではありますが、本当にそうだと思います。学生の皆さんも社会に出る時には責任感を持ち、良いものを作って欲しいと思います。

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