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4月4日に2019(平成31)年度入学式をアイプラザ豊橋にて挙行しました。

イベント報告 | 2019年4月 5日


4月4日に2019(平成31)年度入学式をアイプラザ豊橋にて挙行しました。


入学生全員の名前が読み上げられた後、大西学長から学部入学482名(第1年次97名、第3年次385名)、大学院博士前期課程384名、大学院博士後期課程18名が入学許可されました。


大西学長からの式辞は次のとおりです。


入学式を迎えた884人の皆さん、おめでとうございます。この中には、本学に新たに入学した方も、大学院へ進学した方もいますが、それぞれ、大きな節目として、気持ちを新たに、今日からを過ごしてください。

私は、入学式では、なるべく早く大学に慣れて、大学の先生や職員にも、気軽にいろいろなことを尋ねたり、相談したりできるようになって欲しいと勧めています。教室や研究室はもちろん、学生寮、図書館、食堂、体育館、グラウンド、ジム等の施設についても、場所や利用方法を知って、活用するようにしてもらいたいのです。この大学を、今まで過ごしてきた学校や、あるいは自分の家のように、過ごしやすい場所にすることによって、大学での生活は格段に充実したものとなるはずです。
大学が立地している豊橋市は、新幹線が停まるのは知っているでしょうが、市内には、郊外電車や路面電車も通っている便利な街です。駅前などには学生も利用できるような様々な施設もあるので、是非、この町での生活にも早く慣れるようにして下さい。豊橋には、豊橋技術科学大学の学生に特別の親しみを持って接してくれる方が多いことも実感してください。
そして、大学に慣れるという点で何よりも重要なのは、多くの友人を作ることです。専門分野を共通にする友人は、やがて社会に出ても、共通点の多い友として、長い付き合いになります。何でも相談できる友人を、たくさん作って、生涯の財産として下さい。

皆さんは、新しく始まる令和という元号の年に入学したり、進学したりしたことになります。記憶に残る学年ですね。日本では、元号が使われることが多いのは皆さんも承知の通りです。例えば、昨年更新した私の免許証には、西暦は一切書かれていません。ただ、元号には日常生活における不便さもあります。時がどれくらい経ったのか、というのは生活の中でも常に出会うことの一つですが、そのたびに、やや面倒な計算をしないと、ある時から、ある時まで何年経ったのかが分からないという問題等です。そこで、本学では、今年度から、可能な場合には西暦を使用することにしました。実は、日本の運転免許証もこれからは西暦を主に、元号が併記されることになります。もちろん、日本の大学ですから、必要に応じて新元号を使う機会があるのは言うまでもありません。

西暦使用に踏み切ったのには、もう一つ理由があります。それは本学も次第に留学生が増加してきて、まさに国際色豊かな大学になってきたことです。留学生のそれぞれの国では、独自の年の数え方があるでしょうが、今日、世界的に普及した年号が西暦であることは否定できません。したがって、誰にとっても分かり易い年号として西暦を積極的に利用しようというわけです。
西暦活用は、本学が国際化、グローバル化を強く意識していることの表れでもあります。今日の入学者のおよそ1割は、海外からの留学生です。もちろん、留学生の皆さんにも、大学を自分の家のように使いこなして欲しいと申し上げます。大学は、国籍に関わりなく、入学した誰もが、同じ条件で教育を受け、研究指導を受けられる場所でなければなりません。もし、何か、日本人ではないことで、不自由を感じることがあるとすれば、それは大学として改善するべき点になります。留学生の皆さんもそうした点を積極的に指摘して下さい。可能な限り改善して、誰もが学びやすい多文化共生キャンパスの実現に努めます。

皆さんが、これからそれぞれのプログラムで学習していく上で、役に立つ言葉としてSMARTS という考え方を紹介しましょう。これは、学習、研究、あるいは課外活動などで、あるテーマに取組むときに有用な考え方です。
Sは、specific つまり明確な、という意味です。何に取組もうとしているのかを明確にすることが大事ということです。
Mはmeasurable,測定可能にすることです。どこまで達したのかを測定できるようにしておかなければ、うまく進んでいるのかどうかが分からないということです。
Aは、attainable,つまり、達成可能、つまり、達成可能な目標を設定しなければ、取り組む意欲も湧かないし、取組の方法も分からないということです。
Rは、realisticで、目標ばかりではなく、達成するための手段も現実的でなければならいことです。
Tは、time-bound.つまり、期限を決めて取り組むことです。だらだらやるのではなく、期限を決めて、努力するという意味です。
最後のSは、sacrifice 目標達成のためには、時間や、場合によってはお金が必要になるので、自分が持っている時間や資金をそのために使うことを惜しむなということです。

まとめれば、明確で、達成可能な目標を、期限を決める形で定め、到達のための手段を導いて、努力し、その達成度をきちんと把握すること。目標の重要度に応じて、自分の時間やお金を使うことが成功の秘訣だというわけです。
そこに流れているのは、まず、目標設定の重要さです。もちろん、目標には、人生をかけるように長期的な目標から、比較的短期で達成可能なものまであります。ポイントは、長期に達成するべき目標だけではなく、学生時代、あるいは今学期、あるいはこの1週間に何をどこまで行うかといった目標を定める習慣をつけることが、何かの成就にとっては不可欠ということです。これと反対が、行き当たりばったりの過ごし方です。もちろん、すべてを計画的に取組むことを勧めているわけではありません。人生には思わぬ展開や、出会いがつきものです。それらに対応していく柔軟さや、適応力も重要な資質です。ただ、それぞれの時点で、自分が大事にしたい目標を定めて、努力するという姿勢を是非持ってもらいたいと思います。
次に、それを達成するための手段を決めて、努力し、さらに到達度を図る術を用意することです。これがなければ、目標は絵に描いた餅です。実現したい目標を定めた以上、如何にして達成するのかを、自分がいま何をすべきなのかという形で、具体的に導いて欲しいと思います。しかも、いつまでに、どこまで達成するのか、という期限を決めて努力することも重要です。
sacrifice犠牲と言っているのは、あまりたくさんのことを一度に行うことはできないのだから、自分が一番大事と思う目標を決めたら、他のことに費やす時間を少し犠牲にしても、大事なことを行う、いわば選択と集中が大事という点です。
これらを英語の頭文字で表したのがSMARTSです。何かの時にこの言葉、つまり、目標、達成手段、期限、優先順位といったキーワードが目標達成に重要なのだということを思い出して、応用してください。こういうことに無頓着であるより、ずっと成果が上がると思います。

さて、昨年の入学式では、SDGs、Sustainable Development Goalsを紹介しました。国連が提唱した、世界の人々が共通に進む目標です。その中には、世界の人々が平等、公平に生きたり、活動すること、皆が経済や、社会の発展を追求していくこと、さらに、地球や地域の環境の悪化に敏感になり、知らずに環境の悪化に手を貸すことがないようにするという観点から17の目標が含まれます。これらは人類全体が2030年までに達成するとして定められた目標です。先ほど、個人個人の目標設定や達成のための秘訣として述べたことは、究極的には、こうした地球全体の目標といった、やりがいのある、あるいは社会に貢献するようなテーマに結びつけて欲しいのです。
皆さんが、これから本学で学ぶこと、あるいは研究テーマとして切り拓いていく分野は、個人の利得のために行うことではなく、人類全体の利益のために行っているんだという使命感を持つようになって欲しいと思います。
こうした認識を基に、本学では昨年国連のアカデミック・インパクトへの参加大学としての認定を受けて、同じ志を持つ世界の大学の一つとして取り組みを開始しました。
本学の学びや研究のテーマである、技術科学の探求を通じて、地域社会から地球社会まで、目的意識的に社会への貢献を果たしていきたいと思っています。

学長として、皆さんに直接お話しする機会はあまりないので、この機会に、是非これからの学生生活で身に着けて欲しいことをいくつか申し上げます。
まず、技術科学に関わるものとしての高い倫理観です。皆さんがこれから学ぶことは、その応用まで考えると影響範囲が広いテーマです。技術の原理を解明すれば、世界のいたるところで利用されるのです。その意味で、利用された場合に、人間やその社会、あるいは、自然環境を含む環境に悪影響がないかを常に考えながら、学び、研究する姿勢を忘れないで下さい。これまで、科学者や工学者の研究成果が、大量破壊兵器に使われたり、環境悪化に結びついた例は多いのです。善悪を判断できる高い倫理観を持った社会人であることが、科学者や工学者であることに優先することを自覚してください。

次は、皆さん自身の健康管理です。健全な精神は、健全な肉体に宿るという言葉があります。本学もスポーツに関わる学生が利用できる施設をいろいろ整えています。運動部に入るかどうかはともかく、皆さんのできるだけ多くがこれらを日常的に利用して、自分自身の健康増進や、体力向上に努めてください。そうした習慣を、学生時代に作れば、生涯のプラスになります。それから、本学の施設内はすべて禁煙です。ただ、止むを得ない事情で、未だごくわずかの喫煙場所を用意しています。しかし、もし喫煙の習慣がある人がいたら、今日を禁煙の初日として、喫煙の習慣を断ってください。百害あって一利なしという言葉ありますが、喫煙はまさにその典型です。

もう一つ大事なことですが、特に新たに本学に入学した皆さんは、生活の環境が大きく変化することになります。家族、友人を初めとして、皆さんが日常的に接してきた方達とも、遠く離れることになる人もいると思います。こうした環境の変化が、気持ちを落ち込ませる原因になることがあると指摘されています。精神状態の健全性を常に維持することは、勉学はもとより、日常生活の上でも重要です。心の安定にはいつも心がけてください。もし何か、悩みや、気になることがあって、気持ちの負担になることがあれば、気軽に、B棟2階にある学生相談室を訪ねてください。専門の先生がいて、相談相手になってくれます。毎年、多数の学生が相談に来て、それぞれ解決の方向を見出しています。相談に来るのに、何のためらいも必要ないと考えてください。

最後になりますが、皆さんが入学した豊橋技術科学大学は、規模は決して大きくはありませんが、高い実績を上げてきた大学です。工学系としては国内ではトップクラスの大学と言ってよいと思います。皆さんは入学したことに誇りに思ってください。そして、本学が国立大学として、国民の支援によって成り立っていることを忘れずに、広く社会に成果をお返しするつもりで学業に励んでください。今日から始まる新たな学生生活を十分に楽しんで、大きく成長してください、と申し上げて式辞とします。

190405nyuugaku-siki.jpg式の様子

190405nyuugaku-sennsei.jpg入学生宣誓の様子

190405nyuugaku-gakucho.jpg学長式辞

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