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4月4日に平成30年度豊橋技術科学大学入学式をアイプラザ豊橋にて挙行しました。

イベント報告 | 2018年4月 6日


4月4日に平成30年度豊橋技術科学大学入学式をアイプラザ豊橋にて挙行しました。


入学生全員の名前が読み上げられた後、大西隆学長から学部入学457名(第1年次88名、第3年次369名)、大学院博士前期課程368名、大学院博士後期課程18名が入学許可されました。


大西学長からの式辞は次のとおりです。


皆さん、入学おめでとうございます。豊橋技術科学大学は今年度843名の入学者を迎えました。1年生は88名、3年生は369名、博士前期課程は368名、博士後期課程は18名です。

入学式では、私は、できるだけ早く大学に慣れて、一人ひとりにとって、大学が居心地のいい場所になるようにしてください、とアドバイスしてきました。皆さんにも、同じように申し上げます。具体的には、教室や実験室はもとより、学生課や教務課といった事務室、図書館、食堂、売店、書店、あるいは体育館、グラウンド、ジムや健康支援センター、さらに駐車場などの、皆さんの学習や大学での生活を支える諸施設がどこにあるのか、どうすれば利用できるのかなどを、できるだけ早く把握して、使いこなすようにすることが大事です。大学としても、オリエンテーションや、ホームページ等を通じて、皆さんに積極的に情報提供します。もちろん、分からないことがあれば、教員や職員に直接訊いてください。
大学を居心地のいい場所にする秘訣の一つは、確かに、このように、施設や制度を使いこなすことですが、それ以上に大事なことは、教職員と早く親しくなったり、特に友人を早く作ることです。皆さんは、既に高等専門学校や高等学校、あるいは本学で、多数の友人を作ってきたと思います。でも、この入学式を契機に、新たな出会いが生まれるので、是非この機会を最大限に活用して、多くの友人を作り、学習のことはもちろん、将来の進路や人生の様々な問題について語り合えるようにして下さい。そのために、互いに紹介し合う機会を作る役割を、我々や、皆さんの先輩も果たすことと思います。しかし、一人ひとりの積極的な気持ちがなければ、友人の輪は広がりません。是非、オープンな気持ちを持って、新しい仲間と接するようにしてください。また、本学の約1割の学生は留学生です。留学生との交流は、互いの見聞を一層広げることになります。是非積極的に交流してください。

皆さんは、SDGsという言葉を聴いたことがありますか?
2015年に国連サミット(国連持続可能な開発サミット)で採択されたSustainable Development Goals という17の目標です。国連の文書によれば、「2016年から2030年までに国際社会が達成するべき目標」を17のゴールと169のターゲットで表したとしています。17の目標とは、
1.貧困の撲滅、
2.飢餓の撲滅、食料安全保障、
3.健康と福祉、
4.万人への質の高い教育、
5.ジェンダーの平等、
6.安全な水と衛生的なトイレ、
7.エネルギーを皆に、そしてクリーンに、
8.働き甲斐も、経済成長も、
9.強靭なインフラ、工業化、イノベーション、
10.国内・国家間の不平等の是正、
11.住み続けられるまちづくり、
12.持続可能な消費と生産、
13.気候変動への対処、
14.海洋と海洋資源の保全・持続可能な利用、
15.陸域生態系、森林管理、砂漠化への対処、生物多様性、
16.平和と公正、
17.グローバルパートナーシップで目標達成、です。
聞いただけではピンときにくいかもしれません。SDGsというと、地球環境の保全という環境問題を中心とした話と理解していた皆さんは、ずいぶん幅広いテーマが含まれていると感じたのではないでしょうか?
SDGsは、我々を取り巻く環境が悪化せずに持続的であることを目指すだけではなく、そこに暮らす人々が、貧困や飢餓から脱出して、安全で健康的な、さらには豊かな生活を等しく送ることができるようにしようという、人権主義や平等主義の考え、あるいは人道主義と呼ばれる考え方が盛り込まれています。
地球温暖化防止など、地球規模の環境問題は既に世界の多くの人々の関心事です。温室効果ガスの大量排出による地球温暖化が、化石燃料を使った大量のエネルギーやその他の天然資源を消費してきた先進工業国のこれまでの営みに起因しており、環境対策が、これから工業発展や経済成長を遂げようとする開発途上国の活動を抑制して、経済格差を固定することにつながるという、途上国側の強い危機意識があることは皆さんもご存知と思います。
持続可能な発展には、環境保全、経済成長とその果実の公平平等な分配が必要といわれます。国際社会は、その中でも経済や社会の発展を公平平等に行き渡らせることを重視しているのです。
そこで、国連のSDGsは、貧困や格差、不平等そのものに目を向けて、その是正や縮小を進めることが必要であることを大きく掲げたのです。こうした観点で、17の目標を改めて見てみると、特にはじめの10項目ほどは貧困撲滅、健康、平等、衛生、産業基盤等、人々が一定レベル以上の生活を営む条件を世界のあらゆる地域や階層にもたらそうという人道主義の考えが強く表れていることが分かります。もちろん、気候変動や海や陸の環境保全も取り上げていますが、それは後半の方で挙げるという形になっています。

こうした議論を経て、今、紹介したようにまとめられたSDGsに、私は、現代の国際社会が持っている課題と、技術科学が果たすべき役割が凝縮されていると考えています。既に先進工業国と呼ばれるようになって久しい日本で生活していると、現在の生活水準や環境を維持していくことが持続的発展と思いがちですが、世界の多くの国や人々はそうは考えていません。生活に必要な、あるいは産業に必要な製品や設備・施設を作って、健康的で、満足の高い生活を実現することを皆が求めています。世界のあらゆる地域でこうした要求に如何に応えるのか、この点がいま問われているのです。
私は、ここに、現代における技術科学の大きな役割があると考えています。私たちの生活には、衣食住はもちろん、移動、情報通信・意思疎通が欠かせません。本学で皆さんが学ぶことは直接・間接にこれらに関係しています。しかし、衣食住、移動、情報通信といった要求を、今まで通りのやり方で満たそうというのでは不十分です。SDGsに込められている世界の人々の願いを十分に認識して、70億人を超える世界の人々に役立つ要求の満たし方は何かを考えて学習・研究を進めてもらいたいのです。同じようなモノを作るうえでも、資源やエネルギーをより消費しない方法、リサイクルしやすい方法、あるいは世界の隅々により普及しやすい方法で作るためにどうしたらいいのか、これが現代における技術科学の課題です。したがって、たとえ出来上がるものの機能は似ていても、私たちは未知の課題に直面していると考えなければなりません。あるいは、より省資源に、省エネに、低コストにと考えれば、絶えず新たな挑戦が待っているといえます。
皆さんがこれから本学で学ぶ技術科学は、このようなSDGs時代の新たな課題に直面し、皆さんの新しい発想と実行力で答えを見出していく挑戦的で意欲的な学問分野です。是非情熱をもって技術科学の学習と研究に取り組んでください。

皆さんは、これから大学生としての学生生活をスタートさせたり、新たに大学院に進むのですが、生活全般の上で、是非心に留めておいてもらいたいことがあります。それは、バランスの取れた生活スタイルを実践することです。本学には、運動系、文科系、あるいは技術系など様々な学生のクラブ活動があります。是非自分の好きなテーマを見つけて、参加するようにして下さい。学生時代のように好きなことができる時期、しかも後で振り返ってみて有意義と思えることができる時期は人生において他にはありません。是非貴重な機会と思って、何かに取り組むようにして下さい。私見では、本学ではあまりクラブ活動が盛んではないように感じているのですが、体を動かしたり、普段の学習とは異なることを考えたりすることは、それ自体、心身の鍛錬はもとより、人格形成や社会性の陶冶においても重要です。是非、皆さんの力で、本学における諸クラブの活動を盛り上げてください。
ご承知のように、本学では4年生の終わりに長期の実務訓練・インターンシップを課しています。その他の学年でも、種々の機会をとらえて、実社会での体験ができるようにしています。これらは、部活動とは意味合いが異なるものの、社会人のための訓練というばかりではなく、皆さんの本務である学業の意義を客観的に捉えて、より目的意識的に取組むうえで、教科の学習では十分に得られないことを学ぶ大事な機会となります。実務訓練も社会との触れ合いを強くする機会として重視してください。
もう一つ、入学した皆さんへのお願いを加えます。本学のデータでは、学生の10%が喫煙の習慣があるようです。喫煙が健康への悪影響をもたらすことはすでに証明されています。是非、入学を機会に禁煙を決行してください。20年後、あるいは30年後に、この入学式を感謝しながら思い出す時が来るはずです。

締めくくりに、感謝の言葉を述べます。本学にお子さん方を入学させたご家族の皆様には、お礼を申し上げます。本学は、大学そして大学院という仕上げの教育をしっかり行っていきます。もし、ご家族の皆様から大学へのご要望があれば、何なりと仰ってください。できるだけお応えするよう努力します。
また、本学は、40年前に、豊橋の有志の皆様の熱い思いによって、誘致されて生まれました。それ以来、地元の皆様は常に温かい気持ちで本学の学生を支援してくれています。この場を借りて改めて感謝申し上げます。入学生の皆さんも様々な機会に地元の方々との交流を楽しむようにして下さい。
本学は、全国で86ある国立大学の一つです。国立大学は、国民からの租税を原資とする国からの資金によって運営されています。入学式を機会に、こうした国民各位に感謝の意を表し、本学での教育・研究・社会貢献活動を通じて、国民の期待に応えていくことを表明したいと思います。

今日から、皆さんの本学での新たな学修が始まります。改めて、入学おめでとうございます、と申し上げて、式辞とします。ご清聴ありがとうございます。

180406nyugaku-siki.JPG式の様子

180406nyugaku-sennsei.JPG入学生宣誓の様子

180406nyugaku-gakuchousikiji.JPG学長式辞

180406nyugaku-suisougaku.JPG吹奏楽団による歓迎演奏

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