文字サイズ
検索

News & Topics

ホーム > News & Topics > 3月23日に平成29年度大学院修了式・学部卒業式をアイプラザ豊橋にて挙行しました。

3月23日に平成29年度大学院修了式・学部卒業式をアイプラザ豊橋にて挙行しました。

イベント報告 | 2018年3月29日


180329sikinoyousu.JPG式の様子

3月23日に平成29年度大学院修了式・学部卒業式をアイプラザ豊橋にて挙行しました。
大西学長並びに博士後期課程修了者及び論文博士はアカデミックガウンを着用し、式に臨みました。

式では、博士後期課程修了生9名、博士後期課程論文博士1名、博士前期課程修了生374名及び学部卒業生448名に対して学位記が授与されました。


大西学長からの式辞は次のとおりです。


卒業生の皆さん、おめでとうございます。
豊橋技術科学大学は、本日832名の卒業生を送り出します。大学や大学院を終えて、社会に出る卒業生の皆さんにとっては、新しい生活への一歩を踏み出す日です。また、大学院の博士前期課程や博士後期課程に進む皆さんにとっては、気持ちを新たに学業の次のステップへ進む節目となります。それぞれの課程、専攻で成果を上げた皆さんの努力に敬意を表し、心から祝福します。
ご子息・ご息女の晴れの日を待ち望んでいたご家族の皆様にはお祝い申し上げます。多くの家族の皆様にご来場いただいていることに感謝申し上げます。
また、卒業生を指導し、支援してこられた本学教職員の皆様のご尽力に改めて感謝申し上げます。
加えて、本学は、国立大学法人として、運営費交付金をはじめとして国からの多額の支給を受けています。これらは言うまでもなく国民の租税を原資としており、この機会に広く国民の皆さんの支援に感謝するとともに、本学の卒業生が、これから社会に出たり、大学院に進学して、本学で学んだ成果を生かすことによって、国民の期待に応えていくことを望みます。

先月の下旬に、本学にとって嬉しいニュースが伝えられました。本学も全国の37大学のひとつとして取り組んできた「スーパーグローバル大学創成支援事業」が4年目を迎えたことで、文部科学省が実施した中間評価の結果、Sという最高ランクの評価を受けたことです。S評価は全国で6校、国立大学では3校です。この間の国際化に向けた努力が認められたものであり、このコースの学生、ご関係の教職員の皆様にお礼を申し上げます。
これに関連して、今月、「TUTグローバルハウス」の第2期工事が完成し、シェアハウス型学生宿舎は2倍の120人が利用できるようになりました。この学生宿舎もスーパーグローバル大学創生支援事業の一環として建設したものです。
この事業は、諸国間の、そして人々の交流がますます活発になり、世界が小さく感じられるようになる中で、大学こそがその先陣を切って国際交流を進めるべきという考えの下で、本学も積極的に取組んできたものです。現在本学には、マレーシア、インドネシア、ベトナム等、世界29か国から、211名の留学生が在籍しています。そのうちの38人が今日卒業式を迎えます。そして、来月には、卒業者を上回る数の入学者を予定しています。このように、既に全学生のほぼ10%が留学生となりました。今日、卒業する皆さんも、入学した頃と比べてキャンパスに留学生が増えたと感じているのではないでしょうか。日本人の学生が高等専門学校や高校でしっかり基礎を学んだ優秀な素質を持って本学に入学してきたように、留学生もそれぞれの国で選ばれた優秀な学生ばかりであり、多くが本学でさらに工学者としての知識と技能を高め、今日の卒業式を迎えました。
皆さんもご承知のように、本学では、国際共通語となっている英語の教科書を使い、日本語と英語の専門用語を用いて講義を行っています。また、皆さんの中にも著者として名を連ねている方も多い研究論文も、多くが英文で書かれ、世界の誰もが読めるように電子ジャーナルとしてインターネットを通じて公表されています。こうした本学の教育を通じて、日本人の学生も留学生も、本学で、最先端の技術科学を学び、その知識や能力を国際的に表現する方法を学んできたのです。

少し日本の歴史を振り返ってみましょう。日本ではちょうど今から150年前の1868年に明治維新という国の大改革を経験しました。これは内戦を伴うものでしたが、幸いにも国を二分する激戦にはならなかったので、新たに生まれた明治政府は、それまでの蓄積を生かしつつ、国力の発展を目指すことが出来ました。その時にとった手法が、西欧に学んで近代化を図るというものでした。留学生の派遣、指導者の招聘、さらに国民のすべてが一定レベル以上の教育を受けることによる知識の普及を進めました。150年の歴史の中には、近隣諸国や世界を相手に戦争を仕掛けるという大きな過ちを犯した時期もありました。その反省から、明治維新後のほぼ半分に当たる期間を平和に過ごすことが出来たお陰で、今日の経済社会の発展を得ることが出来ました。
しかし、最近の日本人、特に日本の若い世代に対して、内向き志向ではないかという指摘がよくなされるようになっています。例えば、外国に留学する学生が減っていることや、そもそも生活への満足度や、気力が、世界の主要国の若者と比較して低いといったデータもあります。もちろん、こうしたサンプリングによる意識調査と、今日卒業する皆さんの意識とは直接の関係はありません。私は、日本の若者の内向き志向が指摘される中で、4年前に学長になってから、世界の大学の学長と会い、世界の大学の考えを種々の機会に知る中で、各国とも学生に海外体験させることを通じてそれぞれの経済や社会の成長を促していることを知り、日本の若者にも、改めて広く世界に目を向けて学び、体験することの重要さを忘れないで欲しいと強く考えるようになりました。ことに日本のように、技術科学とその成果である工業製品を世界の人々に利用してもらうことで発展してきた国にとってはこのことは重要です。
今日卒業する皆さんの中にも海外実務訓練を体験したり、様々な機会に短期、長期の留学を体験したり、また、学内でも積極的に留学生との交流を図り、本学が掲げる多文化共生、グローバル化を実践してきた方もいると思います。是非、その精神を忘れずに、今後も積極的に国際交流や異なる文化の理解に努めてください。
スーパーグローバルの評価から、話が発展しましたが、教職員、学生諸君の努力で、高い評価が得られたことを喜ぶとともに、国際的な環境の中で、学び、研究することを本学のスタイルとして定着させるよう、私も一層努めていきたいと思います。

さて、国際化とともに、最近本学が、工学の基礎的な研究はもとより、人とコミュニケーションをとるロボット、農業へのICTや先端技術の応用、防災・減災など技術科学と社会を結ぶ応用的な研究で注目されていることを感じた人も多いと思います。その中には、東京の文部科学省で展示されたり、豊橋駅の新幹線改札口の正面に展示された研究成果もあります。また、こうした研究に自ら参加して成果を上げた卒業生もいると思います。技術科学というと、人間を超えた事物の現象に関わる問題と捉えられがちですが、技術科学を現実社会に応用する観点も本学が重視してきたことです。
人間社会が生み出し、利用する技術は人の意識や感性と切り離すことはできません。つまり、人々の満足感を高めたり、安心できたり、安らぎを覚えたりするように、様々な技術科学が探求されることによって、新たな技術が生まれて、製品が開発され、環境が改善されていくのです。一見、人や社会とは無関係に存在する物体の性質に対する探求も、探求を通じて人や社会に有用な性質を見出そうとする動機で研究が進むことが多いのです。その意味で、自分が研究や仕事で対象とするテーマと人や社会がどのように関わっているのかを考察し、人や社会を豊かにしようという意識をもってテーマに取り組む姿勢が、技術科学を学んだ者として大切であることを忘れないでください。

もうひとつ、卒業に当たって、特に社会に出ることになる皆さんにお願いしたいことがあります。それは本学も卒業生のネットワークを強くすることを目指しているので、皆さんも、それぞれの就職先で、先輩を見つけたら、積極的に声をかけて、社会人としての経験に学ぶようにしてもらいたいと思います。もちろん豊橋技術科学大学卒業生という限られた範囲だけに目を向けるように勧めているわけではありません。多文化共生の言葉が示すように、国籍さえ超えた広い気持ちで、多くの人と協力し合っていくことが大事です。それでも、特に、同じ技術科学を学んだ者同士に、特別な連帯感が生まれることも事実です。既に、開学から40周年を過ぎ、本学の初期の卒業生にはそれぞれの分野で指導者として活躍している人も少なくありません。是非そうした先輩を積極的に訪ねて、体験に学んでください。きっとよりスムースに社会での新しい生活に馴染むことができるはずです。

本学では、毎年、年度の初めに、学長の名前を冠したプランを、その年の目標として掲げています。もちろん、毎年、内容が大きく変わってしまうわけではなく、基本的なところは継承しつつ、毎年特に重点を置くところを強調して、皆の力が合わさるようにしています。来年度の大西プランの決定は来月に行いますが、そのもっとも重要な達成するべきテーマを「世界をリードする技術科学を目指して」としています。皆さんの卒業に当たって、今日お話した、国際化と、人に役立つ技術科学の探求がまさにそれを実現する2つの柱になります。卒業生の皆さんが、このいわば豊橋技術科学大学の精神を、どこにあっても、いつも忘れずに活躍することを期待して、私からのお祝いの言葉といたします。

卒業おめでとうございます。

180329gakuijuyosiki.JPG学位記授与

180329gakucho-sikiji.JPG学長式辞

180329touji.JPG答辞

180329syukugaensou.JPG吹奏楽団による祝賀演奏

ページトップへ