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新年挨拶

トピックス | 2018年1月 5日


年頭あいさつ

2018年1月 学長 大西 隆

 新年明けましておめでとうございます。毎年のこととはいえ、こうして年の初めに顔を揃えて、これからの1年に臨む決意を新たにすることは重要な機会です。昨年、学長として再選され、この4月から2年間の任期を務めることになりました。その2年間で実施したいことに重点において、お話しさせていただきます。

 最近、国立大学への厳しい意見が目につきます。ある雑誌は、昨年、「国立大学の成れの果て、ノーベル賞が取れなくなる」というタイトルの特集を載せました。見かけるたびに気分を悪くしたものです。しかし、読んでみると、国立大学の現状や問題点の指摘としてそれなりの意味を感じました。特集は、「このまま放置すればノーベル賞はとれない」という梶田隆章先生へのインタビューから始まっていました。これは、国立大学にもっと基礎研究や若手雇用の資金を出せという応援メッセージです。さらに、「教育と研究の質を落とさず国立大学のダウンサイジングを進めよ」、「国立大学の特色を出すために財政基盤の「独立」を目指せ」といったタイトルの記事から構成されていました。"少子化・人口減少が進む中で、国立大学といえども規模縮小は必至だ。特に質を維持するためには、量の維持にこだわるべきではない。"、"質を高め、そのことによって、民間からの資金を得て、財政基盤を強めよ。特に、海外からの評価を高め、大学の国際競争力を増すべし。"という論調は、我々としても共有できるものであります。

 実は、国立大学の現状に対して厳しいのは、最近の政府の提言にも共通しています。例えば、「人生100年時代構想会議」では、高等教育の無償化のための支援措置の対象となる大学について、実務経験のある教員が一定割合の講義を担当していることや外部人材の理事就任者が一定の割合を超えていることが条件とされています。

 中央教育審議会大学分科会の将来構想部会では、国立大学の1法人複数大学制の創設や設置基準上の専任教員の在り方の見直しを含む「大学等の連携・統合の可能性」についても、論点整理が行われています。

 総合科学技術・イノベーション会議(CSTI)でも大学改革を正面から取り上げて、来年度の科学技術イノベーション総合戦略を作成するとしています。その中では、若手研究者の育成、研究者の国際交流、新たな課題への積極的な挑戦などが謳われています。

 また、まち・ひと・しごと創生会議では、地域振興における大学の役割が強調されています。

 種々の場面で行われる大学の役割や実績に対する評価が、時に相当厳しいものであることを謙虚に受け止めるとともに、一方で、期待感が大きいことを十分に認識して、その期待に応えていくことが重要です。

 本学においても、改革に向けての議論を不断に行い、長期的な視点を必要とする教育・研究・社会連携の中に、改革の視点を盛り込んで、そのパフォーマンスを進化させていくという姿勢を取り続けていきたいと思っています。

 その上で、新しい年に特に取り組んでいきたいと考えることについて、以下、述べていきます。

 まず、教育です。本学の教育は工学部の伝統的な分野をカバーするとともに、らせん型教育という独自の方式で、内容の高度化を図ってきました。その成果は、本学卒業生が企業現場で技術を知った工学者として高い評価を得ていることに示されています。しかし、JABEEに裏付けられた伝統的な工学分野に沿って体系化した結果、より自由に、新たな分野を開拓したり、分野を融合させて、新たな知の体系を創造するといった試みが十分に行われているのか、やや懸念があります。

 脳科学に挑戦する博士課程教育リーディングプログラムは、こうした課題に取り組むプログラムになっています。この経験を生かして、学部教育を含めた、全学に、テーラーメイド型のカリキュラムを提供することによって、分野横断型の関心や知識体系に基づいて課題に挑戦する学生を育てるカリキュラム・ポリシーを拡充・実践することに是非着手したいと思います。例えば、異なる系の教員が連携して、新しい知の体系に相応しいカリキュラムを創り、学生に示すことで、本学の5つの課程・専攻が無限の可能性を内包したユニットとなるようにしたいと思います。

 研究については、技術科学イノベーション研究機構のフル稼働、さらに企業との機関連携型共同研究を発展させて、新しい産業が豊橋から生まれるという環境を作りたいと思っています。もちろん、大学と企業の役割は異なります。科学に裏付けられた技術が、製品やシステムとして社会で使われる上で、大学は、やはり基礎的な研究分野を担当するのだと思います。しかし、その研究の発展可能性を自覚しながら研究することによって、研究の有効性が一段と高まることも事実です。企業との共同研究においては、それぞれの果たすべき役割の区別と連関を認識して、相補的な関係を作ることによって、川上から川下までをカバーできる研究態勢を構築したいと思います。そのために、様々なタイプの共同研究を行ってきた本学のイノベーション協働研究プロジェクトを、絶えず、見直しながら進化させていきます。

 社会連携においては、社会人のリカレント教育を意味する職業実践力育成プログラム(BP)が、昨年末に一つ増えて、既に3つ認定されたという成果を上げています。これらをしっかり実施してくことが重要となるのは言うまでもありません。その上で、社会連携プログラムとして本学が実施しているものの中には、本学だけで実施するよりも、他の大学を含む関連機関と連携して行った方が、充実するものもあるという視点も重要です。是非、本学がコーディネーター役を果たして、他の組織と積極的に連携して、プログラムを充実させるという方策も考えていきたいと思います。

 ここ何年か注力してきた事業に、高等専門学校との共同教育課程があります。来年度政府予算案において、国立高等専門学校機構にこのテーマでの予算が計上されました。本学をはじめとする大学との連携による高専専攻科の充実は、全体として高専の教育力や研究力を高めるとともに高専・大学接続をより強固なものとする手段なので、本学は積極的に取組みます。高専からの大学や専攻科への進学者は、国立大学の工学系への進学者の14%程度を占めるという事実を認識し、これを機に、高専教員との繋がりをさらに強めて、高専から技術科学大学へという工学系の高度教育体系を、より充実したものにしたいと思います。

 昨年は、海外からの留学生が200人を突破した飛躍の年になりました。多くの先生がそれぞれのネットワークで、新たな留学ルートを開拓してくれたおかげです。また、3機関連携事業(国立大学改革強化推進事業の通称)や、スーパーグローバル大学創成支援事業も大きな役割を果たしています。その上で、本学が定着させようとしているバイリンガル教育を全学で実施し、さらに、日本人も留学生も日本語と英語をエンジニア、研究者の共通言語として習得して使いこなせるようになる学習制度を本学に確立したいと考えています。同時に、この春には新たに2棟が加わるTUTグローバルハウスを主舞台とした多文化共生の実践もさらにレベルアップしていきます。

 今年4月からの2年間を、本学の一層の飛躍の年にするために、執行部を拡充して、それぞれの分野で活躍していただこうと考えています。来年度からは新たに寺嶋一彦先生に理事・副学長として研究と学務を担当していただきます。総務担当の大貝彰理事・副学長、経営戦略担当の神野吾郎理事、佐藤元彦監事、牧葉子監事とともに、役員の一翼を担っていただきます。

 副学長としては、教育・入試担当 河村庄造教授、国際担当 松田厚範教授、高専連携担当 若原昭浩教授、学生支援及び健康管理担当 三浦純教授、研究力強化担当 田中三郎教授、目標・評価担当 伊津野真一教授、IR及び社会連携担当 井上隆信教授、男女共同参画担当 中野裕美教授にご就任いただくことにしています。すべてが、本学の今後にとって重要な分野なので、ご活躍を期待します。

 ところで、冒頭述べたように、大学、特に国立大学の存在意義が改めて問われている中で、大学とは一体どういうところでしょうか?新年に当たって改めてこんなことを考えました。様々な経緯を経て、皆さんは現在、大学に勤務しています。共通した思いは、ここを巣立っていく学生が、将来の社会を支える一員であり、そのことを通じて社会へ関わっていることへの自負と責任意識ではないかと思います。その意味では、学生の育成、つまり教育が重要です。しかし、同時に、何を教えるかについて、最新の、あるいは長年の研究で、教えるべきことはこれだという確信をもって、教育に当たるのが、他の教育機関とは異なる大学の特長です。創造的な研究と教育、その絶えざる発展こそが、大学の存在価値であることを改めて自覚して、教員職員が一体となって、協力し合い、この1年を有意義なものにしたいと思います。

 

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