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有本建男氏を講師に迎え、豊橋技術科学大学第3回プレステージレクチャーズを開催しました。

イベント報告 | 2015年7月 7日


6月4日に、国立大学法人政策研究大学院大学 教授・国立研究開発法人科学技術振興機構 研究開発戦略センター 上席フェローの有本建男氏を講師に迎え、「境界を越える‐グローバル・ディジタル・転換期・リーダー」と題して、豊橋技術科学大学第3回プレステージレクチャーズ 兼、テーラーメイド・バトンゾーン教育プログラム 平成27年度 異分野融合特論 第2講義を開催しました。

有本氏は、大学院を修了後、科学技術庁に入庁し、国の科学技術政策に関わり、海外勤務も含め、宇宙開発、原子力行政、そして内閣府官房審議官、文部科学省技術・学術政策局長、内閣府経済社会総合研究所総括政策研究官等の要職を経験し、我が国の産業の発展に深く関わる科学技術政策、その振興、政策に関わる要職を務められました。その意味で、有本氏は、様々な分野の領域にわたり、境界を越えて活躍した方です。

講義では、最初に、グローバル化、インターネット、デジタル技術のイノベーションは、今や歴史上に類を見ない社会経済構造の激変、大変革の時代を招来したことを歴史的経緯も含めて述べられました。今や地球上のあらゆる地域は、インターネットにより情報の境界は消滅しました。このようなグローバル社会では、これまでとは全く異なった、企業活動、国策、市民生活、教育などに於ける価値観や考え方等の大きな転換、変化が必要と語られました。20世紀は、科学技術の進歩に裏付けられた産業の発展の結果、大量生産、大量消費、大量の廃棄物の出現で特徴付けられる世紀でしたが、21世紀は、地球の有限性を重く感じる時代であることを印象的に述べられました。有本氏は、温暖化とCO2の相関を発見したキーリング博士の50年研究の例から、環境や地上の有限性に伴うグローバルな課題、世界的な気候変動、災害の多発、低炭素社会の実現等エネルギーに関わる課題、交通網の発達に伴う世界規模での感染症流行の問題、更に、先進国、日本では高齢化の問題等、様々な課題が一度に押し寄せてきていると述べられ、「これら様々な問題解決がこれからの若い技術者の双肩にかかっている。こうした課題の解決と並行して国を豊かにする産業の発展が重要であり、そこに於いて、科学技術の果たす役割は大きい。これを如何に発展させ、使いこなすか」という科学技術政策と責任、イノベーションの重要性を述べられました。しかし、3.11の原子力発電所の事故は、多くの人々の科学技術への信頼を揺るがしました。そして、我が国の税収の10%を使用する大学、国の研究は、我が国の将来と発展と歴史的な課題解決に繋がる成果を求められると述べられました。

有本氏は、メッセージとして、技術の未来動向を俯瞰的にとらえ、歴史的なポシショニングを明確にし、若い人が境界を越えて、異分野の技術や先の見えない課題、グローバルな問題に、柔軟な思考力・対応力、かつ、粘り強く取り組むことの大切さを熱く語られました。

有本氏と学生との懇談であるスーパーリーダー塾では、学生がそれぞれ自分の研究に関わる分野を歴史的な視点から見て、研究テーマの位置付けや課題をまとめ、有本氏の前で発表しました。有本氏は、学生一人一人に、熱く語りかけ、丁寧なコメントを述べられました。素晴らしいスーパーリーダー塾であり、リーダー教育の場となりました。

第3回プレステージレクチャーズ講義の様子

第3回プレステージレクチャーズ講義の様子

第3回プレステージレクチャーズスーパーリーダー塾の様子

第3回プレステージレクチャーズスーパーリーダー塾の様子

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