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大西学長メッセージ『国連防災世界会議と防災減災研究 』

トピックス | 2015年3月31日


3月14-18日に、仙台で開催された、「国連防災世界会議」に参加してきました。ニュースでも大きく取り上げられたので、改めての説明は不要と思いますが、10年に一度の国連会議で、会議場となった仙台国際センターは国連管理下に置かれ、特別の入構証で出入りしました。私は、直接の主催組織であったUNISDRの科学技術アドバイザーとして、セッションの一つに参加しました。それらのセッションの議論をまとめて、最終日に難産の末、「災害リスク軽減のための仙台枠組(2015-2030)」(仙台フレームワークと呼ばれるのだと思います)がまとめられ、防災減災を国際的により重要なテーマとして(防災の主流化)、その中で、科学技術の成果を様々に活用していくことが盛り込まれました。災害をもたらすnatural hazardは、これからも度々、世界の各地を襲撃するでしょう。備えが十分でなければ大きな被害が出ることは避けられません。したがって、この分野で、科学者を含めた多くの関係者による取組が待ったなしで進められるべきでしょう。

仙台フレームワークの考え方は、まず防災減災の観点を持続可能な社会や温暖化対策、あるいは貧困撲滅など他の世界的な課題に関連付けて、常に防災減災が意識されるようにすること、つまり防災の主流化を含みます。また、被害を軽減するための防災減災の先行投資、被災した際の発展的な復興(Build BackBetter)、各国で中央政府と自治体、民間企業、NGO等の連携した防災減災体制の構築等を求めています。

本学も安全安心地域共創リサーチセンターを設置して、本学が得意とする分野の研究成果を踏まえつつ地域連携によって、地域の防災減災力を強める活動を行っています。南海トラフ地震津波は、いつ起こってもおかしくないとされ、かつ被害想定は東日本大震災のそれを一けた上回るとされます。防災減災は、建築・土木、医療・保健、情報通信、さらには社会科学、心理学など相当広範な学問領域が貢献できる学際分野であり、本学がその全体をカバーできるというわけにはいきません。しかし、建築構造、交通、河川等,本学が専門性を有する分野があり、近隣の大学等とのネットワークを組むことによって、強力な専門家集団を形成することができるように思います。仙台会議を契機にして、本学の防災減災に関する取組みを一層強化したいと考えています。

(学長室だより 第78号より)

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