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大西学長メッセージ『科学者の行動規範』

トピックス | 2015年3月 2日


今回は日本学術会議について触れます。昨年10月に再選されて、引き続き日本学術会議会長を務めています。前期の日本学術会議の仕事で力を入れたことの一つに、科学者の行動規範を更新し、普及させることがありました。2013年1月に「科学者の行動規範」を改定したのです。改定した時には、科学的研究内容が平和目的にも軍事目的にも利用できることを自覚することの必要性を述べた"デュアルユース問題"や、原発事故のように科学の成果が社会に大きな被害をもたらすことを科学者が認識することの重要性を問うた科学者の社会的責任論などを新たな項目として追加することが重要と考え、そうした点を改正に盛り込みました。もちろんこの点は妥当であったと思うのですが、その後、研究行為の不正や研究費の不正使用問題が次々と社会問題化し、科学者の行動規範として従来から指摘されてきたこうした不正への対処が、決して過去の問題ではなく、残念ながら現代でも頻繁に生じる問題であることが明らかとなりました。そこで、急遽、文部科学省とも連携しながら、研究不正と研究費の不正使用という二つの不正問題への対処を強める方策を進めることにしました。その結果、本学をはじめとする国立大学でもさらに取り組みを強めることになったのです。その中では、特に、何が不正に当たるのか、不正を避けるには何をなすべきか、等に関する学習を、すべての研究者や研究費の執行等に関わる職員が行うことによって、行動規範への理解を深めて実践的に活用することが重視されています。

もちろん、大部分の研究者や関係者は不正に無縁です。しかし、学習を通じて改めて何が不正かを認識することは、適切な研究や研究発表を継続する上で無意味ではありません。引用の仕方、オーサーシップなどは、ルールを決めることによって、何が適切な方法かが明確になるところもあり、研究者が自律的にルールを決めていくことが求められるからです。本学では、他に先駆けて、行動規範や、研究を進める上でのルールに関する学習に取り組み、適切な研究実施や経費使用を継続したいと考えています。

(学長室だより 第76号より)

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