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大西学長メッセージ『運営費交付金をめぐる議論』

トピックス | 2014年11月21日


国から国立大学に交付されている運営費交付金をめぐる厳しい議論が始まっています。国全体で、およそ1.1兆円規模(平成26年度)の国立大学法人運営費交付金から、基幹的人件費を除く分に効率化係数(第1期)・大学改革促進係数(第2期)を乗じて算出された額が毎年削減されていることは周知の通りです。このまま行けば多くの国立大学は人件費も事欠くようになることは自明です。しかし、国も、国立大学協会も、さらに国立大学法人自らも、大学の将来展望について積極的に示してきたとはいえません。

こうした中で、運営費交付金の在り方について、内閣においては日本経済再生本部・産業競争力会議、財務省においては財政制度審議会で、大学改革の柱の一つとして議論がなされ、文部科学省においては国立大学改革プラン等を踏まえ、国立大学法人運営費交付金の在り方に関する検討会を、また、国立大学協会においては、課題検討WGを設置し、検討が行われています。国立大学サイドの取組みがやや遅れていることもあって、議論は国立大学に対する外部からの問題提起という様相を呈していることは否めません。

現在の議論の枠組みは、世界最高水準の教育研究の展開拠点、全国的な教育研究の拠点、地域活性化の中核的拠点(文科省が2013年11月の国立大学改革プランで示した国立大学機能強化の方向性)といった大学の役割に即して、大学を評価し、運営費交付金のメリハリをつけた配分を行い、大学の合理化や再編強化を促そうというものです。

整理すれば、論点は、国立大学法人に対する運営費交付金をどれほどの規模とするのかという総額に関わる点と、評価を踏まえてどのように配分するのかという問題の二つに分かれます。評価の低いところへの配分を削減することによって、総額は減らしつつも、配分額を増加させたり、そう減らさない大学をつくることもあり得るので、この二つの論点は密接に絡みます。

いうまでもなく、総額が増えて、我が大学への配分も増えるというのが理想には違いありません。しかし、我が国では、現在約120万人の18歳人口が、2031年には100万人を切り、2060年には、60万人そこそこまで減少していく傾向を辿っているのですから、多数の国民に上記の理想を求め、大学への国費投入額の量的確保を支持してもらうのは容易ではありません。一方で、国立大学として重視するべき機能や、その評価のあり方をめぐっては、侃侃諤諤の議論が起こることは必至で、決着をつけることは簡単ではありません。技術立国、科学立国を標榜する日本にあって、技術科学の探求という本学のミッションは支持を得やすいものと思っていますが、それだけに、ますます競争が激しくなる分野といえます。いずれにしても、2016年度からの第3期中期目標期間を前にして、国立大学をめぐる議論は大きな節目を迎えています。本学としては、地域及び日本、あるいは国際社会への人材教育、世界に通ずる技術科学の研究、さらに国際的な人材育成に一層鋭く挑み、大きな成果を上げることを改めて決意する必要がありそうです。

(学長室だより 第71号より)

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