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川口文夫氏(中部経済連合会名誉会長・中部電力株式会社相談役)を講師に迎え、豊橋技術科学大学第1回プレステージレクチャーズを開催しました。

イベント報告 | 2014年8月 8日


川口文夫氏  
川口文夫氏  
   
講義の様子  
講義の様子  

7月24日に、中部経済連合会名誉会長・中部電力株式会社相談役の川口文夫氏を講師に迎え、「電気エネルギーと電気事業」と題して、豊橋技術科学大学第1回プレステージレクチャーズ兼、テーラーメイド・バトンゾーン教育プログラム平成26年度 開発リーダー特論 第3講義を開催しました。

川口氏は、最初に、愛知県出身で、豊橋は地元に近いと述べたあと、日本におけるアーク灯の点灯に始まる電気の歴史、電気事業の歴史から説き起こし、戦前、戦中の電力会社の状況、松永安左衛門による現在の地域独占の9電力会社による電力供給体制の確立、中部地方は、東京、関西という大電力消費地の中間に位置し、大河川が在りながら水力では厳しい電源開発を強いられた歴史を述べ、現在の、火力発電が主の中部地方の大変厳しい電力ビジネスの状況を語り、次いで、電力事業の特徴について語りました。

電力は社会の活動を支えている重要な基幹エネルギーです。国家の方針や産業の活動、発展への責任と関わりは極めて深く、安定供給が使命であり、その供給は一瞬たりとも停止はあり得ません。また、電気エネルギーは、生産と消費が常に一致していることが必須で、在庫を持つことは出来ません。こうした特徴の電力事業は、◎安全性という基盤の上に、○安定供給○経済性○環境保全が大前提のビジネスであり、その実現には多くの厳しい課題があるということを丁寧に述べられました。

2011年3月に起きた東北関東地方を襲った巨大地震と津波による東京電力の福島第一原子力発電所の事故以来、全国の原子力発電所が停止状態にあり、中部電力も浜岡原子力発電所が停止中です。これまでは、安定供給の為に、原子力、火力、水力という3電源の組み合わせ、原子力発電が常に電力の20%強を供給してきましたが、その前提が崩れ、古い休止していた発電所の再稼働や火力発電所のフル運転等で、北海道から九州まで、原子力発電なしで電力を安定供給するという大変厳しい現状になっています。周波数の異なる東京電力(50Hz)―中部電力(60Hz)間で電力融通を双方向で可能にする新清水周波数変換所の紹介、時々刻の電力の消費と生産のバランスを取る電力供給指令所の活動など、また、火力発電所で使う燃料の天然ガス等の価格アップで、電力コストのアップという厳しい経済性の問題、最大の環境課題、CO2削減への挑戦や昼夜の電力消費変動の問題など、電力事業に関わる数々の問題、課題、その克服のための活動や技術、更に、原子力発電所の安全対策の状況、太陽光発電等の最新の課題を詳細なデータや写真を示し、判り易く講じられました。

普段我々が何不自由なく利用している電気ですが、そうしたことを可能にしている電力会社の、私たちが知りえない重要な数々の活動や技術、更に将来のエネルギー問題や課題など、盛り沢山の内容は聴衆の心を打つ講義となりました。

川口氏を囲んだ「スーパーリーダー塾」では、和やかな雰囲気の中で、多くの質問と議論があり、電力事業という重責の渦中にあった川口氏が、学生に丁寧に答える姿は印象的でした。幾度か述べられた「若い学生諸君が電力分野で将来活躍して欲しい」という川口氏の言葉は、将来を担う若い人たちへの期待であり、将来社会のリーダーとして活躍するための指針ともなる大変有益なメッセージとなりました。

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