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4月3日に平成26年度豊橋技術科学大学入学式を挙行しました。

イベント報告 | 2014年4月 4日


平成26年度入学式
入学生宣誓
 
平成26年度入学式
学長式辞
 
平成26年度入学式
入学生歓迎演奏
 

4月2日に平成26年度大学院および学部入学式をアイプラザ豊橋にて挙行しました。

入学生全員の名前が読み上げられた後、大西隆学長から学部入学503名(第1年次93名、第3年次410名)、大学院博士前期課程438名、大学院博士後期課程19名が入学許可されました。


学長からの式辞は次のとおりです。
 
皆さん、入学、進学おめでとうございます。今年も学部1年生93名、3年生410名、博士前期課程1年生438名、博士後期課程1年生19名の合計960名の新入生・進学生を迎えることができました。
実は、皆さんと同じように、私も4月1日に学長に就任し、新しい生活のスタートを切ったところです。皆さんとは、だいぶ歳は離れていますが、いわば豊橋技術科学大学の同期の間柄ということになりますので、特別親しみを感じます。月並みですが、どうぞよろしくお願いします。

皆さんの中には、本学はもちろん、豊橋にも初めて来たという人もいるかと思います。初めてではなくとも、この地で学生として長く生活するのは新しい体験という方が多いのではないでしょうか。そのような皆さんには、できるだけ早く新天地での生活に慣れることを勧めます。それには、友人、知人、もちろん先生を含めて、楽な気持ちで話せる相手を作ることが早道です。この入学式が終わったら、早速、何人かに声をかけてみてはどうですか?案外、話したかったけど気後れしたというようなことが多いのです。声がけをきっかけに、10年の知己が生まれるというケースも少なくありません。
もちろん、今日だけには限りません。これから本格的に講義や研究活動、あるいは課外活動が始まるので、いろいろな機会を捉えて、話し合える相手を沢山作るようにして下さい。大学には、諸外国からの留学生も沢山います。これらの方々との積極的にコミュニケーションをとることも忘れないようにして下さい。留学生は、まさに見知らぬ地で、皆さん以上に心細い思いをしているに違いありませんから。

皆さんは、とてもいい時期に豊橋技術科学大学に入・進学されたと思います。私たちは、これから紹介する新しい活動が始まって、今とても張り切っています。そうした時期に若い皆さんが加わってくれたのはとても力強い限りです。

まず、一昨年から、国立大学改革の先導的な事業として、グローバル人材を育成する試みが始まりました。国立高等専門学校機構と長岡技術科学大学と協力しながら行っている事業で、私たちは、マレーシアのペナン州に拠点を設けて、本学の学生を留学生として送り出し、実務訓練をマレーシアで行うというプログラムを始めました。もちろん英語でのコミュニケーションに慣れてもらうこともテーマに含まれます。学部の4年生を対象に、数ヶ月間の海外実務訓練を行うので、1年生、3年生に入学した皆さんにはチャンスがあります。この事業を皮切りに、学部生、大学院生の国際交流を一層活発にしていきたいと考えています。

また、昨年は、全国の大学を対象とした博士課程教育リーディングプログラムに採択されました。「ブレイン情報アーキテクト」の育成というのがプログラム名です。脳科学を深化させる情報技術、つまり、人間の情報記憶、分析や判断を司る脳の働きを情報工学の観点から解明し、情報工学と脳科学双方の発展に寄与しようというプログラムで、浜松医科大学、生理学研究所、国立情報学研究所等と連携していきます。工学の新たな応用分野として注目される医工連携分野で、博士課程の学生を積極的に育成していこうと考えています。工学部に来て脳の勉強ができるとは思わなかったかもしれませんが、皆さんの中から、こうした分野を志す人が沢山出てくることを期待します。

研究大学強化促進事業も昨年度から始まったものです。国が、全国の研究機関から22を選んで、世界水準の優れた研究活動を行っていると認定したもので、本学も選ばれました。本学に存在し、世界的にもユニークな研究所として名が知られているエレクトロニクス先端融合研究所を中心に分野、組織、文化の垣根を超えた研究の場を創っていこうとする提案が認められたのです。皆さんのような若手の研究者をはじめとする女性や外国人研究者を積極的に登用し、国内外の企業や研究機関とも連携し、日本の得意分野である技術科学を生かして、世界が抱える課題解決に積極的に挑んでいきたいと思っています。

このように、これまでの教育と研究の分野での活動が実を結んで認められ、さらに積極的に展開していこうとする時期に皆さんをお迎えするのですから、教職員の期待も大きいのです。

さて、冒頭に申し上げたように、私も、今月から豊橋技術科学大学で学長としての仕事をはじめることになったので、これからどんなことをしようとしているのか、皆さんに関係することについてこの場を借りてお話しましょう。

まず申し上げたいのは、グローバル化という概念が、日本の大学にとってはさらに重要となることです。これには消極的な意味もあります。皆さんが生まれた1990年代の半ばには、日本では、大体年間に120万人ほどの出生者でした。しかし、私が生まれた1948年には、268万人が生まれていました。随分と少子化が進んだわけです。一方で、大学の入学定員は、私が入学した当時は全国で20万人程であったものが、現在は約3倍の60万人弱に増えています。大学の運営という観点に立てば、留学生を増やさなければ、学生が足りないという現象が起こります。その結果、確かに、留学生は私が学生の頃は全国、全学年で数千人規模であったものが、現在では14万人近くに増えています
しかし、こうした消極的な理由で国際化を話しているのではありません。大学や大学院で高度な教育を受けて、社会に有用な人間になりたいというのは、世界の人々の共通した願いのひとつです。もし優れた教育機関が日本にあれば、そこで学びたいと願う世界の人々、特に自国に未だ優れた教育機関が沢山ない国々の若者は多いはずです。そういう若者に門戸を開放しようというが大学の国際化の積極的な意義だと思います。そうすることで、国際的に人材を育成し、グローバル時代の世界の学問の発展や産業技術の発達に貢献してもらえます。
加えて、留学生ばかりではなく、研究や教育に携わる教員に関しても、門戸を開き、世界の優秀な方々に豊橋技術科学大学で教育・研究してもらう条件を整えることが、大学の質をさらに高める上でも重要です。学生にあっては、基礎学力と向学心、教員や研究者については科学的素養と研究の先進さを有する有意な方々を、育ってきた文化の違いを問わない包容力をもって、歓迎していきたいと考えます。
もちろん、コミュニケーションをとる上では、共通に理解する言語の問題を避けて通れません。日常生活をエンジョイしてもらうためには日本語をある程度習得してもらうことは不可欠です。しかし、教育や研究においては、既に国際共通語になっている英語によってコミュニケーションする環境を整えることが必要です。私は多文化共生の考え方の基に、グローバル時代をリードする大学に本学が育っていくことに注力したいと思っています。
このグローバル化を推し進める場として、昨年発足させたマレーシアのペナン校を十分に活用していきます。留学生を招くことも重要ですが、本学の学生が、グローバル時代の大学を支える人材にふさわしく成長することはそれ以上に重要なのです。このため、学生の英語教育に力を入れ、先程話しましたペナン校を拠点とした海外実務訓練のほか、博士前期課程の海外インターンシップ、博士後期課程学生への国際学会での発表補助など、国際的センスを身に付けた学生の育成も推進していきます。こうした試みをさらに継続させて、バイリンガル・キャンパスを実現します。

二つ目は、大学と社会との連携です。皆さんが過ごす大学での年月は、少し社会と離れて、学問に集中する時期であることが望ましいと思います。しかし、大学は、本来的には社会と一体不可分です。卒業生は社会で活躍するわけですし、研究は社会の諸問題を解決するために行われることが少なくありません。技術科学大学は、技術を科学することによって、社会に役に立とうとするのです。そのためには、様々な形での大学との連携が必要です。特に、豊橋では将来の大地震と津波が心配されています。防災や減災の面でも大学は社会に頼りにされる存在になることが必要です。

三つ目は、研究活動における飛躍です。小学校から大学まで様々な教育機関がありますが、大学の特色は、教員が、一方でそれぞれの研究を行いながら、その成果を教育に生かすという研究と教育の一体不可分性が徹底していることです。そして、研究陣の層が厚く、日々進化していることが、優れた大学の条件です。既に本学は、研究大学強化促進事業の支援対象機関に選ばれるなど、高い評価を受けるまでになっていますが、これに甘んじることなく、さらに発展を目指すことが必要です。
その際に、研究者が互いに協力したり、刺激し合うことによって、新たな着想が生まれ研究が進化していくとことを忘れないことが大事と思います。本学で石田誠教授をリーダーとして発展してきたLSI=集積回路はその良い例です。集積回路は、高速演算を可能としてコンピューターを生んだのですが、同時に様々な刺激に反応し、それらを見分けたり、対応するセンサーとしても使え、あらゆる科学に応用されています。本学としても、LSIの基礎技術をさらに極めたり、伝達していくと同時に、応用研究の進化を、他の研究機関の方々と共同しながら進めていこうとしています。
このように、大学の役割は基礎をしっかり固めることと、その応用の可能性を指し示すことにあると思います。基礎技術の社会への応用は最終的には企業が製品の製造を通じて行うので、大学の手を離れることになるのですが、その道筋をつけることは大学の役割であるといっていいと思います。
私は、本学の研究の中から、こうした幅広く応用できる基礎研究成果をさらに数多く生み出して、産業界、社会に大いに貢献していきたいと考えています。目標は、すべての分野で、豊橋技術科学大学のユニークな研究成果が評価されるようになることです。皆さんが、特に大学院で行う研究は、まさにそうした基礎を踏まえた応用への発展の重要な一端を担うもので、そうした活動を通じて、みなさんも教育を受ける学生から、研究者の卵へと成長していくことになります。

学長に就任するに当たって、以上のようなことを考えています。その上で、学生諸君に、入学・進学に当たって2つお願いをしたいと思います。

ひとつは、研究者の倫理に関わることです。最近、研究上の倫理や不正問題が問われることが増えています。皆さんは、「自分は未だ学生だから関係がない」と考えるかもしれませんが、研究における倫理について、今からきちんと理解して習慣をつけておくことが大切です。
学習するということは、教科書に書いてあることや、先人が行ったことを、学んで、習うことですから、いわば手本を真似ることです。しかし、何を真似たのか、あるいは誰の主張を参考にしているのかを明記せずに使うと、聞きなれない言葉ですが、「剽窃(Plagiarism)」とされ、悪いことになります。例えば、皆さんがレポートを書くような場合でも、インターネットから、誰かが整理した言説をそのまま、誰の説かを明記することなしに使うことは同じように剽窃です。だから、これからは、他人の説や文を使ったら、必ず出典を明記するようにしましょう。そうすれば、他人の考えと自分の考えの区別がつくので、全部引用というようなレポートは書けず、他人の言説を参考しながらも、必ず自分の考えを述べる習慣がつくようになります。
加えて、ありもしないデータを勝手に造ってしまう捏造(Fabrication)、本物に似せた偽者を作ってしまう偽造(Falsification)が典型的な研究における不正行為とされ、Falsification 、Fabrication 、Plagiarismの三つを合わせてFFPといいます。研究だけでなく、社会生活においてもこれらは不適切な行為であることはもちろんです。是非、データや学説を大事にして、絶えず、どこから引用したのか、誰の説を参考に使っているのかを明記する習慣をつけてください。そして、普段の生活から、科学者としての倫理が何かを学び、信頼される人間、信頼される工学者になることを志してください。

もうひとつ申し上げたいのは、皆さんの危機管理です。皆さんの中には、先の東日本大震災を被災地で体験した方もいるかもしれません。我が国が災害多発国であることは否定できません。毎年のように、集中豪雨や台風で風水害に見舞われます。何年かに一度は、家が壊れるような地震が起こっています。またこの百数十年間に4回、多数の人が亡くなる津波も発生しました。この地域では、南海トラフ沖巨大地震に伴う揺れと津波が、何時来てもおかしくないとして心配されています。地震の揺れによる被害から身を守るには、普段から建物の安全性や、置いてある家具等の安定性に気を配ることが必要です。大学の建物は、耐震強度を高めました。自分で住まいを選ぶ場合には、耐震強度も気にするようにしてください。部屋の中では、重いものが自分に向かって倒れこまない配置が必要です。
大きな地震の後には津波の恐れがあります。警報やニュースに注意が必要です。しかし、本当に大きな地震の後は、通信が途絶えます。高台へ逃げることが必要です。どこに安全な高台があるか、普段から確認しておきましょう。災害時には、それぞれが自分の身を守ることに徹することも肝要です。人を助けるのは、災害が収まってからです。是非、災害、不慮の事故に遭わない、安全な生活を送る習慣をつけ、家族の方々に安心してもらえる学生生活を過ごしてください。

皆さんの前には、広く、深い学問の世界が広がり、さらに文字通り世界の人々が、皆さんの活躍に期待しています。決意を新たに充実した学生生活を送ってくれるよう期待を述べて式辞とします。


学部生入学者代表の宣誓は次のとおりです。

私達第1年次93名、第3年次 410名はただ今、豊橋技術科学大学に入学を許可されました。

私達はこれから工学の道に励み、社会の新しい要請にこたえ、世界にはばたいていくことのできる、実践的かつ創造的な能力を備えた技術者となるため日々努力することを誓います。


博士前期課程 入学者代表の宣誓は次のとおりです。

この度、私たち438名は、豊橋技術科学大学大学院工学研究科博士前期課程に入学することとなりました。

これからの2年間、私たちは、それぞれの専攻する分野において研究活動に励み、優れた技術者・研究者となるため日々努力を重ねていく所存です。

さて、昨年9月、2020年のオリンピックが東京で開催されることが決定しました。東京オリンピックでは、日本の最先端の科学技術が大会を支えることで世界中の人々に感動と勇気を与え、ますます、技術大国日本を世界にアピールする機会となることでしょう。

しかしその一方で、私たちは、進化し続ける科学技術が持つ危険性についても認識していかなければなりません。東日本大震災から3年が経ちますが、いまだに多くの問題が残されており、特に原発事故による汚染問題は我々の生活を脅かし続けています。また、世界では科学技術が戦争や犯罪に用いられ、多くの人々を苦しめることもあります。未熟な科学技術は時に社会に悪影響を及ぼすということを忘れず、私たちは、今後取り扱う科学技術に関してその両面性を正しく理解し、倫理的責任を自覚して向き合っていく必要があります。

また、他にも環境・エネルギー問題、人口増加、食糧問題など地球規模で解決していかなければならない問題は山積みとなっており、これからの社会を担う技術者・研究者には深い専門性と多元的な思考能力を持ち合わせ、グローバルな視野で物事を解決していく能力が求められます。
このような技術者・研究者となり将来の日本を支えていくため、私たちは、技術で科学を裏付け、新たな技術を開発するという、本学の基本理念を念頭に置き、研究活動に対する明確な目的意識と、積極的かつ不撓不屈の精神を持ち、日々邁進していくことをここに誓います。


博士後期課程 入学者代表の宣誓は次のとおりです。

本日、私達19名は、豊橋技術科学大学大学院工学研究科博士後期課程の学生としてこの式典に参加できることを嬉しく思います。

私達は、これまで真摯に研究に向き合い、研究活動を通じて社会に貢献できることの醍醐味を知り、本学で技術科学者としての一歩を踏み出す決意をしました。

これから私達を迎える世界は、挑戦的な課題で満ちています。私達は、正しい倫理観のもと研究活動に邁進し、胆識を養うべく日々研鑽して参ります。研究大学である本学の理念に恥じぬよう、世の中に新しい価値を創造できる研究に取り組むことを誓います。
 

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