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3月24日に平成25年度大学院修了式・学部卒業式をアイプラザ豊橋にて挙行しました。

イベント報告 | 2014年3月24日


 140324-1.jpg式の様子  
   
    140324-4.jpg学長式辞 
   
    140324-2.jpg140324-3.jpg学位記授与 

3月24日に平成25年度大学院修了式・学部卒業式をアイプラザ豊橋にて挙行しました。

学長及び博士後期課程修了者はアカデミックガウンを着用し、式に臨みました。

式では、榊 佳之学長から、博士後期課程修了生11名、博士前期課程・修士課程修了生409名、学部卒業生474名に学位記が授与されました。
 

榊学長からの式辞は次のとおりです。

 

皆さん、ご卒業、誠におめでとうございます。本学の全教職員、在校生一同を代表致しましてお祝いを申し上げます。また卒業生の皆さんが今日の日を迎えられますのはご家族や恩師をはじめ沢山の方々支えがあってのことであります。卒業生の皆さんはご家族、恩師をはじめお世話になった方々に感謝の気持ちを込めてこの式に臨んでほしいと思います。また、卒業生のご家族、ご関係者の方々にも心よりのお祝いを申し上げます。


さて、本日は皆さんが全ての課程を修了し、本学を卒業する記念すべき日でありますが、実は私も今月末で学長を「卒業」します。尤も、同じ卒業といっても私は「終わり」ですが、皆さんの卒業は新しい人生への「門出」、即ち「始まり」です。今日、この新しい門出の日にあたり、皆さんが「次の日本を担うのだという気概を持って人生を歩まれること」を祈念して一言メッセージを送りたいと思います。
 

今日、日本社会、国際社会は政治的にも経済的にも大変に流動的な状況におかれています。国際社会では環境・エネルギー問題、食糧・人口問題などの人類的課題に加えて、金融の不安定さ、政治的にもクリミアでの紛争、更に我が国の中国、韓国との緊張関係など緊迫した状況となっています。また日本社会では、東日本大震災からの復旧・復興、特に福島原発事故の処理が順調に進んでいるとは言えません。2020年にオリンピックの東京開催が決まり、またアベノミクスと称して景気の回復が謳われていますが、まだ実体を伴わない不安定さを強く感じます。皆さんはこれから歩み出す社会に不安を覚えるかもしれません。しかし、「不安定」の中にこそ変化する要素、即ち新しいものを生み出す「チャンス」があることを忘れてはなりません。しかし、そのチャンスを生かすには自ら行動に出る、即ち「挑戦」することが必要です。


一つの例として皆さんよくご存知のソニーを紹介しましょう。今とは時代背景が違いますが、太平洋戦争後の不安定な日本社会の中で、井深大と盛田昭夫という二人の若い技術者の挑戦によってソニーは誕生しました。井深は36歳、盛田は皆さんと変わらない24歳で、従業員20人余りの会社でした。しかし確かな技術力で世界最小のテープレコーダーを開発して一躍世界に名を知られます。その後ウォークマンやプレイステーションなど斬新なアイデアと高い技術開発力で世界の一流企業に成長したことはご存知のことと思います。「優れた技術力で世界と勝負する、世界に挑戦する」、この姿勢はこれからの日本においても変わりません。
 

勿論、優れた技術力だけで物事が動くわけではありません。皆さんはこれからの人生において、それぞれにおかれた立場、状況の中で、様々な新しい課題、困難な問題に直面し、それを乗り越える挑戦をしなければならないでしょう。そこでは困難に立ち向かおうとする強い意志、情熱が求められます。第二次世界大戦でヒットラーと戦い、劣勢を跳ね返して英国を勝利に導いたイギリスの宰相ウィンストン・チャーチルはこんなことを言っています。「物事に前向きな人は困難の中にもチャンスを見出し、後向きの人はチャンスの中に困難を見つけようとする。」皆さんも是非とも強い意志で困難に立ち向かう、ポジティブ思考でこれからの人生を歩んでほしいと思います。


その「強い意志と情熱で困難に立ち向かう、ポジティブ思考」の例として、一昨年12月に本学のプレステージレクチャーズでお話し頂いたIBMのフェローである浅川智恵子博士のお話があります。記憶されている方もいると思いますが、浅川さんは中学生のころに水泳の訓練中の目のけがが原因で失明しましたが一念発起して勉強を続け、IBMに入社します。そして全盲という大きな障害を乗り越えて、コンピュータの画面を音声に変換するホームページリーダーや音声ブラウザーなど目の不自由な人や高齢者など弱者のためのITバリアフリー技術を次々と開発してこられました。そしてIBMの技術者として最高のフェローの称号が授けられています。失明という厳しい困難に立ち向かい、適切な表現かわかりませんが、それを「チャンス」と捉えて、全く新しい世界を拓いた浅川さんからの若い人々へのメッセージは「あきらめなければ途は拓ける」という味わい深いものでした。


皆さんはこれから本学で学んだことを土台として技術者、技術開発者として社会でそれぞれの人生を歩まれることでしょう。それは決して平坦な道ではなく、様々な課題、困難に出会い、時には挫折しそうになることもありましょう。しかし、大きな困難に出会った時も強い意志を持ってポジティブにものごとを考え、浅川さんの言う「あきらめなければ途は拓ける」という強い心、気概を持って、挑戦してほしいと思います。若い、気力に満ちた皆さんが次の時代の日本社会を担ってくれることを祈念して私の式辞といたします。皆さん、卒業おめでとう!
 

 

  140324-5.jpg答辞
   
  140324-6.jpg吹奏楽団による祝賀演奏 
大学院修了生、学部卒業生代表の答辞は次のとおりです。 

 

本日は、ご多忙の中、先生方、並びに来賓各位のご臨席を賜り、私たちのために、盛大な修了式・卒業式を挙行していただきましたことを、修了生、並びに卒業生を代表いたしまして、厚く御礼申し上げます。また、只今、学長先生からの温かい訓辞と激励のお言葉を賜りましたことを、重ねて御礼申し上げます。

 

日ごとに春の息吹が感じられるようになりました、今日の佳き日に、私たちは、修了、卒業を迎えることとなりました。私たちが、これまで学問に没頭し、充実した日々を過ごし、この日を迎えることができたのは、本学の手厚い教育体制、そして、多くの方々からのご指導、温かいご支援があったからこそだと、改めて実感しております。

 

学問の奥深さを示唆し、丁寧かつ熱心に、時に厳しくご指導下さった先生方、共に学び、時には競い合い、支え合い、夜を明かして語り合い、多くの時間を共有した学友、先輩後輩の皆様、私たちを今まで育て、温かく見守り支えて下さった両親、家族の皆様、そして、私たちに学びの場と機会を与えて下さった、すべての皆様に、心から感謝の意を表明したいと思います。今日まで本当にありがとうございました。

 

思い返せば、私が本学に編入学をしてからこの日を迎えるまで、本当にあっという間でした。そう感じるほど濃密な時間でした。そのうち、本当に多くの時間を研究に費やし、情熱を注いできました。社会・地域の課題を自ら見いだし、その課題を解決・改善する方法を模索する、アイデアがひらめき、かたちとなり、その有用性を見出だした時の喜び・楽しさ、醍醐味、社会貢献に繋がる意義、やりがいを学びました。また、試行錯誤を繰り返し、失敗しても何度も挑戦する姿勢を身につけました。私は、本学でこのような経験を得たからこそ、たとえ本学を離れ、新天地、次のステップでの生活が始まったとしても、将来のどんな不安や逆境にも臆することなく、突き進んでいけると信じております。

 

現在、私たちが暮らす社会は、長期的な人口減少社会、CO2の増加が原因と考えられる地球温暖化・気候変動、それによる市街地災害リスクの増加やエネルギー問題など、特に日本では、つい先日三年が過ぎた東日本大震災のような巨大地震への備え、考えなければならない問題は山積しています。これらの課題に応える、持続可能な社会の形成へのパラダイムシフトが求められています。先の見えない、道無き道が待ち構えています。

 

しかし、このような時代でも、私たち技術者は未来を案じてばかりいてはいけません。見方を変えれば、より良い社会とはどのようなものか考え、デザインする機会が与えられたと捉えることが出来ます。この機会を活かし、次世代の社会の姿を提案し、それを実現する技術を創造していくことで、グローバル社会でのリードオフマンとしての日本の存在感の向上に繋がると信じています。

 

そのためにも、修了生・卒業生の一人一人がそれぞれの立場、環境において、本学で得た知識や経験、技術を最大限に発揮し、一人一人が持つ信念や哲学にもとづいて、それぞれの分野において活躍し、キラリと光を放つ。一つ一つは小さな光かもしれませんが、それが社会全体にちりばめられることで、夜空に輝く満天の星空のように、未来を明るく照らし出す。美しい未来を創造する。このような活躍を果たしていくことを、心に刻み、邁進いたします。

 

最後になりましたが、もう一度、私たちに学びの場と機会を与えて下さった全ての皆様に、心からの感謝を申し上げ、そして、私たちの母校、豊橋技術科学大学の、より一層のご発展をお祈り申し上げ、本日の御礼とご挨拶に代えさせていただきます。
 

 

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