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丹羽宇一郎氏(前駐中華人民共和国日本国大使館特命全権大使)を講師に迎え、第31回榊プロデュースプレステージレクチャーズを開催しました。

イベント報告 | 2014年2月 5日


講演の様子
 
 
会場の様子
 

1月30日に、前駐中華人民共和国日本国大使館特命全権大使の丹羽宇一郎氏を講師に迎え、平成25年度テーラーメイド・バトンゾーン教育プログラム特別講義を榊プロデュース第31回プレステージレクチャーズとの共催で開催しました。

今回の講義は、「混迷の世界とアジア、日本の進路」と題して、21世紀の世界が確実にアジア中心となり、その中核国が中国と日本となること、したがって日中関係の有様が世界の重要な課題となるという視点から、駐中華人民共和国特命全権大使として様々にご苦労された丹羽宇一郎氏の豊富なご経験と、アジア、特に中国と日本の現状およびこれからの日本の進路についてお話いただきました。講演の要点は次のとおりでした。

中国と日本は隣国同士でありながらお互いに今の両国を理解しあえていません。1950年代に起きた不幸な戦争と、その結果が今なお政治の世界で目的的に語られたり、さらに中国から日本に来る人が全人口の僅か0.3%、日本から中国に出向く人も全人口の2%であって、多くの人々が今の両国を自分の目で見ていないことなどが原因でしょう。しかし、今の若い世代の多くの人たちが等身大の付き合いをしさえすれば、必ず良い隣国関係が築けるはずです。
現代の中国は確実に経済力を付けてきており、世界第2位の経済大国になりました。特に今の中国指導者が実行しつつある綱紀粛正と改革路線は本物になってきています。また、一人っ子政策による弊害が出ていると指摘する日本の知識人がいますが、毎年20万人の人口減が起きている日本とは全く違い、中国では毎年1,630万人の出生があり、依然として人口は増え続け、経済力は増す一方です。確かにここ数年、経済成長の率は数字の上で低下しておりますが、経済規模は逆に4倍に膨張しました。今後、人口が都市部を中心に増加するに伴って圧倒的な経済成長が都市部を中心に起きるはずです。もはや、世界は中国を抜きに語れない時代となっていることに気づく必要があります。中国に対して好感を持つ国は世界中で確実に増えてきており、ポジティブイメージを持つ国民がわずか5%しかいない日本が、むしろ少数派となっているのではないでしょうか。世界が今、中国をどう見ているかを知って外交をしなければ、日本は孤立化してしまいます。四面を海に囲まれた狭い国土の日本は、エネルギー、食糧を自給することが基本的に大変困難です。貿易立国として生きる以外に道はありません。耐え難きを耐え、世界のどの国とも仲良くしなければいけない立場にあります。その為には何よりも世界から信用される国にならなければなりません。信用や信頼は金では買えません。教育こそ最重要課題です。公共教育費がGDP比で極めて低いのはゆゆしき問題だと思います。これからは人間そのもの、人格の勝負の時代になるといえます。

一層のグローバル化を目指す本学の教職員、これから国際社会で活躍が期待される学生諸君にとって、日本と中国の関係をどうとらえ、どう乗り越え、双方が未来へ向けて何を目指すべきかを学ぶ、またとない貴重な機会となりました。

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