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大村智氏(北里大学特別栄誉教授)を講師に迎え、第30回榊プロデュースプレステージレクチャーズを開催しました。

イベント報告 | 2013年12月20日


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講演の様子
 
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会場の様子
 

12月10日に、昨年度文化功労者に選ばれた、学士院会員 北里大学特別栄誉教授で元北里研究所理事長の大村智氏を講師に迎え、平成25年度テーラーメイド・バトンゾーン講義『異分野融合特論』第4回講義を榊プロデュース第30回プレステージレクチャーズとの共催で開催しました。

大村氏は、アフリカを中心に「世界の2億人の命を病魔から守った化学者」として知られています。今回の講義は、「微生物の働きを人類と福祉と健康の為に」と題して、大村氏が北里研究所で実施してきた長年の研究と、その過程で発見された多数の微生物や微生物由来の有用な化学物質、抗生物質等とその応用により20世紀最大と言われる医学、医療上の成果や最新のゲノム化学を応用した研究等について事例を示しながらお話いただきました。

大村氏は、大学卒業後、大学院で化学を専攻されましたが、その後、北里研究所に入り研究者として有用な物質を造る微生物の探索を手がけられ、極めて少ない可能性下、想像を超えた努力で、数々の有用な微生物の発見と微生物が創りだす有用な新規天然化合物を発見されました。こうした過程では、様々な苦労や海外の研究者とのエピソード等があり、ユーモアを交え、また、沢山の例を示しながら、「微生物は、将に、有用物質の宝庫」であると講義で語られました。

更に、大村氏が発見したエバーメクチンとその誘導体イベルメクチンの医薬応用が中南米やアフリカで沢山の人々を悲惨な病魔から救った例を述べられました。イベルメクチンは、当初寄生虫を撲滅する動物用抗寄生虫薬としてメルク社から発売され当該産業への多大なる貢献をしました。更に、WHO及び国連傘下の熱帯病に関するプロジェクトで開発されたヒト用製剤:メクチザンは、アフリカや中南米で最重篤と言われ、失明を伴う悲惨な症状の熱帯病のオンコセルカ症の特効薬となり、多数の人々をオンコセルカ症による失明や重度の視力障害、新たな感染から救ったことを述べられました。また、蚊によって媒介され、世界で1.2億人の患者がいると推定される熱帯病リンパ系フィラリア症にも有効で、アルベンダゾールとの併用で撲滅作戦が展開されています。大村氏は、メクチザンの投与でこうした熱帯病の地上からの撲滅も見えてきており、2012年には3億人に投与される医薬品となったことを述べられました。ユネスコが「公衆衛生上過去最大の成果」と称え大村氏の功績を記念したモニュメントも紹介されました。

大村氏の研究意欲は今も盛んで、講義の最後に、最新のゲノムの成果を取り入れた新たな研究の取り組みと最新の研究成果も紹介されました。歴史的視点の大切さを強調し、「人類を病魔から救う」という大きな目標を見据え、それに果敢に応える大村氏の研究哲学と講義は、まさに、聴衆の心に残り、将来のリーダー教育の場となりました。

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