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平成25年度テーラーメイド・バトンゾーン教育プログラム「開発リーダー特論 第5講義」を開催しました。

イベント報告 | 2013年10月15日


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講演の様子
 
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講演の様子
 
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質疑応答の様子
 

10月10日に、熊本大学大学院自然科学研究科教授・先進マグネシウム国際研究センター センター長の河村能人氏を講師に迎え、平成25年度テーラーメイド・バトンゾーン教育プログラム「開発リーダー特論 第5講義」を開催しました。

 

今回の講義は、「軽金属材料における新たな展開 ―KUMADAIマグネシウム合金―」と題し、これまで軽量構造材としての期待がもたれていたにもかかわらず利用されてこなかったマグネシウム金属について、十分な機械的強度がない、燃えやすい、さびやすいと言った弱点を一気に解決した新しいマグネシウム合金 “KUMADAIマグネシウム”の中身についての解説であり、発明者である河村氏ご自身からその本質をわかりやすく講義をしていただきました。

 

河村氏は、マグネシウム母材と特定の金属元素および希土類元素とを合金化させることによって、合金元素の種類に依存して、凝固時または高温熱処理時に、新規な長周期構造と濃度の周期的な変調構造が母材中に形成されることを発見され、それをシンクロ型LPSO(Long Period Stacking Order )構造と命名されました。この異方的な微細構造が変形しにくい力学的な特性を持つことに起因して、超超ジュラルミンを上回る引っ張り降伏強度が実現されることを見出されました。また、カルシウムと希土類の添加によって難燃性・不燃性と耐腐食性が著しく向上することを発見され、希土類元素の種類などの条件の最適化によって超超ジュラルミンの約10倍の耐食性を実現し、さらに燃えないマグネシウム合金も実現されました。


これらの画期的な性能実現によって、これまで使用が認められていなかった航空機部材としての実用化の道が開かれ、METI次世代航空機用構造部材創製・加工技術開発プロジェクトが進められるとともに、既に米連邦航空局(FAA)による燃焼試験によっても燃焼しないことの認証が得られ、航空機への実用化もそれほど遠くではないとの見通しとのことでした。


また、講義の後半では、学生に向け、大学院で学ぶべきは、最先端の研究の実践を通して、(1)一流の研究の型を身につける、(2)自ら学ぶ力と知恵を身につける、(3)最先端の専門分野の知識を身につけることが重要で、そのためには、試行錯誤しながら必死にもがいてもがきぬき、泥沼から這い上がる努力をしなさいとの激励メッセージをいただきました。


構造材料の常識を破る画期的材料開発の苦労と醍醐味と、また血の滲む努力の大切さを学ぶ良い機会となりました。

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