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平成25年度テーラーメイド・バトンゾーン教育プログラム「異分野融合特論 第2講義」を開催しました。

イベント報告 | 2013年7月10日


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講演の様子
 
 
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講演の様子
 

6月27日に、元NTT取締役・基礎技術総合研究所所長 前東京工業大学理事・副学長 千歳科学技術大学客員教授の伊澤達夫氏を講師に迎え、平成25年度テーラーメイド・バトンゾーン教育プログラム「異分野融合特論 第2講義」を開催しました。

 

今回の講義は、「光ファイバー通信技術の黎明期」と題して、通信技術の歴史を判り易く、続いて研究に取り組んだ当時の通信技術の状況をお話しいただきました。


光ファイバー通信は、減衰の小さい良質のファイバーが無く、電電公社(現NTT)の武蔵野電気通信研究所に伊澤氏が入所した1970年代初めの頃は、近未来の実用化は全く非現実的なことと思われていました。
伊澤氏は始め、レーザーや光回路の研究、その後米国UC Berkeleyで1年間の在外研究をされ、帰国後、茨城電気通信研究所に移り、1975年、光ファイバーの研究に取り組まれました。それまでの電子工学の経験とはかけ離れた異分野のガラスの研究であり、仕事は最初から上手く行った訳ではなかったそうです。使う実験装置はすべて自作し、更に実験をしては装置を改良し、また実験、改良を繰り返す日が3年続きました。上司からもう止めろといわれ、最後にあまりにも高価なためそれまでは使わなかったヘリウムガスを使った実験で、気泡がきれいに消えたガラスが初めて得られました。こうして画期的な光ファイバーの製作技術VAD法が誕生したと淡々と語られました。その後、伊澤氏は別の部署に異動となりましたが、一緒に研究を担当した仲間が電電公社の研究所では異例のミニ製造プラントを造り、更に研究を続け実用的な工業技術として完成したとのことです。1,000回を超える実験の実施など、研究を担当した伊澤氏の尋常ならざる志と執念が感じられました。


こうして世界に先駆け開発された光ファイバー技術は、その後電電公社からメーカーにライセンスされて量産され、長距離、巨大容量の光通信線として使われています。


今や光ファイバーは広く普及し、大容量、高速、更に低コストの情報伝達技術として、大陸間の通信や携帯電話、インターネットを支えているだけでなく、社会構造をも変え、情報化社会を招来した技術となりました。講義の後半では、「研究開発とは、非常識だったものを常識に変えること」など、若い学生に多くのアドバイスを贈り、心に残る講義となりました。


講義後のスーパーリーダー塾「トップと語る会」は、履修生一同から多くの質疑が出て活発な議論となりました。今回の講義は、情報通信の根幹を支える光ファイバー技術の開発が担当した研究者から直接話しを聞く貴重な機会であり、まさに、将来のリーダー教育の場となりました。
 

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