文字サイズ
検索

News & Topics

ホーム > News & Topics > 平成25年度テーラーメイド・バトンゾーン教育プログラム「開発リーダー特論 第2講義」を開催しました。

平成25年度テーラーメイド・バトンゾーン教育プログラム「開発リーダー特論 第2講義」を開催しました。

イベント報告 | 2013年5月21日


s_130521ikuharashi_1.jpg

講演の様子
 

s_130521ikuharashi_2.jpg

講演の様子
 

5月16日に、東京大学大学院工学系研究科総合研究機構の幾原雄一教授を講師に迎え、平成25年度テーラーメイド・バトンゾーン教育プログラム「開発リーダー特論 第2講義」を開催しました。

 

今回の講義は、「先端材料設計の新展開-電子顕微鏡と理論計算の融合-」と題して、電子顕微鏡を用いた表面・界面のナノレベルでの原子位置特定などによって得られる知見から、材料の機能発現機構を明らかにし、その結果として、従来からの手法である「経験的材料設計学」がどのようにして「帰納的計算科学」に進化するかについて多くの実例を用いてわかりやすく講義をしていただきました。


理想界面を作り、収差補正を用いた走査透過顕微鏡の中で得られる高角度環状暗視野技術によって、セラミック粒界に偏析する重い原子一個一個の位置の観察や、環状明視野像からの水素やリチウムと言った軽い元素の位置特定技術を確立し、これらの結果から、セラミックスの高温クリープ抑制効果の解明、また水素吸蔵合金中の水素の吸蔵機構、また金クラスターの触媒発現機構、さらに充・放電課程でのリチウムイオン電池における電極活物質内でのリチウム原子の挙動解明などを次々に明らかにされた経緯をお話しいただきました。そして、これらの技術によって、これまでブラックボックスとなっていた材料学における諸問題が一つ一つ解明され、経験に基づく材料設計から理論にもとづく演繹的材料設計に進化しつつあることを紹介されました。


さらに今後、材料中での原子レベルでのエネルギー状態の走査像も得られるようになるとの展望も示され、電子顕微鏡を基本とする世界最先端の材料解析技術と併せて、実験的に得られた現象を理解するための後追い的な理論研究ではなく、新材料を計算で予見する新しい材料設計のフロントを知る絶好の機会となりました。

ページトップへ