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4月4日に平成23年度豊橋技術科学大学入学式を挙行しました。

イベント報告 | 2011年4月 4日


 

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入学生宣誓

 
     
 

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  学長式辞  
     
 

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  入学生歓迎演奏  

平成23年度大学院および学部入学式をアイプラザ豊橋にて挙行しました。

 

式に先立ち、このたびの東北地方太平洋沖地震で被災された方々に対し黙祷が捧げられました。

榊佳之学長から学部入学440名(第1年次91名、第3年次349名)、大学院博士前期課程432名、大学院博士後期課程17名が入学許可されました。

学長からの式辞は次のとおりです。

皆さん、ご入学おめでとうございます。本学の全教職員、在校生一同を代表してお祝いと歓迎の意を表します。また、ご家族や関係者の方々にもお祝いを申し上げます。尚、先月の東日本大地震・津波による被災などの影響で今日の入学式に出席のできない新入生が5名おられます。また皆さんの中にはご家族やご親類などが被災された方もおられるかと思います。それらの方々には心よりのお見舞いを申し上げます。


さて、皆さんは将来、技術や科学を通して社会に貢献したいとの志をもって本学に入学されたことと思います。社会も皆さんがこれから科学、技術の専門家、プロとして成長し、社会の発展に貢献してくれることを期待しています。本学も皆さんを社会の期待にこたえる人材に育てることを使命と考えております。その皆さんが将来活躍することが期待されている日本社会はこれまで科学や技術の力で高度な社会を作り上げ、繁栄してきました。しかし今回の大地震・大津波とそれに伴う原子力発電所のトラブルにより大きく傷ついてしまいました。今は日本社会のこれからのあり方をもう一度考え直す時期ではないかと思います。当面の最大の課題はその災害からの復旧でありますが、それとともに今回の災害を教訓として災害に強く、原子力エネルギーに頼らない新しい社会の構築を進めなければなりません。更に目を広げれば、日本社会だけでなく世界的に解決しなければならないエネルギー・環境問題や食糧・人口問題などもあります。いずれも難しい課題ばかりですが、その解決に科学や技術が大きな役割を果たすことは明白です。科学技術の力なくして解決はあり得ないと言ってもよいでしょう。そしてその解決は誰かがやってくれるわけではありません。皆さんを含む私達自身が取り組まなければならないのです。皆さんは科学や技術の専門家として成長し、将来これらの問題に様々なかたちで関わり、新しい社会の構築に貢献することが期待されているのです。このことをしっかりと心に留めてこれからの大学での勉学に励んでほしいと思います。


日本社会が未曽有の災害に遭い、これから国を挙げて新しい社会の構築に取り組もうと言うこの時期に、社会の期待を担い、自らも将来貢献するのだと言うモチベーションをもって大学或いは大学院での勉学を開始できることは皆さんにとっては(適切な表現であるか判りませんが)ある意味で幸いであるとも言えます。高いモチベーションは勉学にあたって大きな力となります。時代背景は全く異なりますが、私の個人的経験を振り返りましても、分子生物学が大きく育ち始めようとした1960年代、私は学部の後半に「遺伝子の世界」と出会い、将来への夢が膨らむとともに、日々の勉学に高いモチベーションが生まれ、学ぶことに楽しさが増し、大きく成長できたことを覚えています。


今回の災害を目の当たりにしますと、皆さんが専門とする技術科学の視点からは、災害に強い街作りのための防災技術、災害に強い社会システムの構築、原子力発電に代わる太陽光発電などクリーンエネルギーの生産技術、エネルギー消費を減らす省エネ技術などがこれから力を入れなければならない課題として浮かび上がり、また同時に、少子高齢化の進む日本では高齢者介護や医療に関する技術、また安心安全な食料を安定供給できる食料生産技術などもこれから取り組むべき課題となりましょう。そのほかにも沢山の課題があります。大学院に入学する皆さんの中には既に方向性を定め、自らの夢や志を抱いて日々の勉学に望んでおられる方もおられましょう。学部に入学される皆さんにはまだ模索中で、これから目指すところを決める方が多いと思います。いずれにしても社会が難しい時期にある今、日本や世界の抱える諸問題、社会の将来あるべき姿、進むべき方向などに思いを巡らせ、高いモチベーションを養って本学での勉学に臨まれることを期待しています。

今日の社会は高度な技術や科学に支えられた社会です。科学も技術も私達を豊かにする大きな力を持っていますが、今回の原子力発電所の事故などを見ますと、使い方を誤れば人類を滅ぼしかねない力も持っていることを再認識しなければなりません。このような強大な力を持った科学や技術に携わる人々は専門知識だけでなく物事に対してそれなりの見識やものの見方、判断力を持つことが求められています。皆さんも専門分野の勉学だけでなく、専門分野以外の学問にも目をやり、また社会、経済の仕組みを学び、過去の思想家や哲学者にも学び、一人の社会人、一人の大人として、幅広いものの見方、判断力を養うことが求められています。本学が3年次に生命科学、環境科学を必修科目にしているほか、多数の社会科学系科目、大学院に技術者倫理などを設定しているのもそのためです。


社会人、大人としての成長は教室での講義で学ぶ以外に、クラブ活動、学友会活動、ボランティア活動などを通して友人、先輩や市民の方々との交流の中で養われていく面も多いと思います。私は学長になって以来、学生諸君の活動に接する機会が度々ありますが、そこには皆で大学生活を良くしていこう、盛り上げよう良いう前向きの姿勢を見ることができ、うれしく、また頼もしく感じています。例えば、留学生のサポートをするCALLというグループは3年前には20人ほどと記憶していますが今では70人を越えて活発です。本学の学生が主体となって渥美半島の砂浜数十キロを清掃する表浜ブルーウォークというグループの活動も小さな活動が今では東海地方の大学生が延べ700人も集まる活動に成長しています。ボランティア部と協働で今回の震災に対してもいち早く募金活動を始めています。この他、一つ一つ名前は挙げませんが、様々なクラブ活動、総部会、学友会や大学祭実行委員会なども活発な活動をしています。この他にも物事に主体的に取り組む学生諸君が少なからずいるに違いありません。自分たちが暮らす大学、社会を自分たちでよくしていこうという意識、感性を持った学生たちが本学に沢山いることは誠に喜ばしく、頼もしいことです。本学から大学院へ進んだ諸君の中には上に紹介した活動の中心にいた方々もおられると思います。是非後輩たちにその心を伝えてください。本学の学部に入学された諸君は先輩たちのこのような素晴らしい姿勢、心意気を大いに学んで大人として成長してください。

終わりにあたりもう一度繰り返しますが、社会が難しい時期に入学式を迎えられた皆さんには、これから日本や世界の抱える諸問題、社会の将来あるべき姿、進むべき方向などに思いを巡らせ、高いモチベーションを持って勉学に臨まれること、また、人類を繁栄に導くことも、逆に不幸に導くこともありうる科学技術の専門家として、バランスのとれたものの見方、判断力を養うことを忘れないでいただきたい。皆さんのこれからの大学生活が実り多いものであることを祈念して私のお祝いの挨拶とします。
 

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