4月5日に平成22年度豊橋技術科学大学入学式を挙行しました。
イベント報告 | 2010年4月 5日
平成22年度大学院および学部入学式をアイプラザ豊橋にて挙行しました。
榊佳之学長から学部入学472名(第1年次88名,第3年次384名),大学院修士課程414名,大学院博士後期課程34名が入学許可されました。
学長からの式辞は次のとおりです。
皆さん、ご入学、誠におめでとうございます。先ず本学の全教職員、在校生一同を代表致しましてお祝いと歓迎の意を表します。また新入生のご家族やご関係者の方々にもお祝いを申し上げます。更に海外からの留学生の方々には遠く母国を離れここ日本で学ぼうというその高い志に敬意を表しますとともに、ここ豊橋での生活が楽しく、有意義であることを祈っております。
さて、本学は1976年に高度な技術科学教育を行い、創造的で指導力を持った技術者・研究者を育成する新構想大学として設立されました。本学はその基本精神として「技術を究め、技術を創る」を掲げ、学生受け入れ方針として「自ら積極的に学び、考え、行動し、技術科学の新しい地平を切り拓く志をもつ人」を掲げています。皆さんは本学の目指すところを受け入れ、技術や科学を通して社会に貢献したいという志をもって本学に入学されたことと思います。今、世の中では環境・エネルギー問題、食糧問題など人類の将来を脅かす問題が深刻となりつつあり、それを克服するための科学や技術に大きな期待がかかっています。本学で技術科学を学ばれる皆さんにも社会からの大きな期待がかかっています。本学も皆さんを世界に通用する人材に育てることを使命として教育を行う所存です。

さて、皆さんはこれから本学で最先端の技術科学を学びたいと、希望を膨らませておられることと思います。これに関連して、先ず、本学の学生受け入れ方針にある「自ら積極的に学び、考え、行動し」と「技術科学の新しい地平を切り拓く志をもつ」についてお話したいと思います。皆さんは高等学校や高等専門学校では、これまで人類が蓄積してきた知識や技術を習う、ある意味での「受け身型の教育」を受けてきたと思います。しかし大学での教育は大きく違います。そこではこれから必要な最先端の技術・科学の基礎・基盤となる高度な知識、理論、技術もしっかりと教えますが、同時にまだ正解もない問題について考える講義・ゼミ、試験も行われます。社会に出れば、今までに出会ったこともない問題の解決を求められることが次々と起こってきます。大学ではこれらの正解があるかどうかわからない問題を解決していく能力を養う教育をする点がこれまでと違うのです。そこで大切なのは「自ら積極的に学び、考え、行動する」という姿勢です。それを通してこれまで知らなかった新たな世界が広がり、そして、「技術科学の新しい地平を切り拓く志を」に繋がっていくでしょう。例えとして、私の学生時代の経験をお話しましょう。私ははじめ化学か原子力を専攻しようと大学に入りましたが、しかし入学後は実はバレーボールに熱中していました。しかしある時に講義で遺伝子の話を聞き、その不思議さ、面白さに惹かれました。そして関連の本を1冊、2冊と読むうちに私の頭の中に遺伝子の世界が少しずつ広がっていきました。そして決定的であったのは4年生の時に手にしたF,ジャコブと言う著名な遺伝子研究者の本でした。それは彼がノーベル賞を受賞することになった仕事を丁寧に描いたものでしたが、私には推理小説を読むようなわくわくする感覚を持ったことを覚えています。人間の脳は不思議なものです。勉強に限らず好きなものをやりだすと妙に興奮状態になり、そのエネルギーは結局私の一生を決めるぐらい大きなものになっていきました。皆さんもこれから最先端の科学や高度な技術に触れる機会が多いと思いますが、その時に湧いてくる「不思議だ」「なぜ?」と言った未知への好奇心、或いは「すごい」と言った感動、を大切にしてください。そこから積極的に未知の世界の探索を楽しんでみてください。きっと未知の問題に突き進むエネルギーが湧いてくると思います。それは社会に出たときに皆さんにとって大きな自信になるはずです。

最後にもう一度繰り返しますが、これからの大学生活では「自ら積極的に学び、考える」という姿勢を身につけてください。そしてまた、本学に在籍する多様な仲間たちと積極的に交流し、友好関係を築き、幅広いものの見方を養ってください。皆さんが本学で有意義な学生生活を送り、卒業の時には大きく成長された姿を見せてくれることを楽しみに、期待を込めて私の入学の式辞といたします。