豊橋技術科学大学

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松岡 常吉(まつおか つねよし)

所属 機械工学系
職名 准教授
専門分野 燃焼工学
学位 博士(工学) (北海道大学)
所属学会 日本燃焼学会,日本機械学会,日本実験力学会,日本火災学会
E-mail matsuoka@me
※アドレスの末尾に「.tut.ac.jp」を補完してください
研究室web https://ece.me.tut.ac.jp/wp/
研究者情報(researchmap) 研究者情報

研究紹介

  • 固体の燃焼パターン形成
  • 新しい可視化・計測技術の開発(バックライトCT法, 熱流束センサ, 超音波浮揚法など)

テーマ1:固体の燃焼パターン形成

概要
ろ紙の燃焼で見られたスパイラルパターン

化石燃料資源の枯渇が懸念されるようになって久しいが,その解決策として下水汚泥などのバイオマス資源の活用が期待されている.ところがバイオマス資源は多様な成分を含む上に,おおむね発熱量が小さく,極めて燃やしにくい(つまり使いにくい燃料である).したがって,これらの資源を活用するには様々な燃料に柔軟に対応する燃やし分け可能な燃焼技術の確立が必要である.そのような燃焼技術として,我々は(純)酸素燃焼に注目している.
酸素燃焼技術を確立するには様々な課題があるが,その一つとして燃焼限界近傍で生じる不安定挙動の解明に向けた研究を行っている.これまでに燃焼領域の流れと反応を精密にコントロールすることで,世界で初めて有炎燃焼のフィンガリング不安定性の観察に成功した(指のように火炎が分裂する現象をフィンガリングと呼び,酸素の供給が不十分な環境で紙などを燃やした際に現れることが知られている).最近では,分裂パターンを制御することを目指しメカニズムの全容解明に向けた研究に取り組んでいる.

主な業績
  1. Matsuoka T., Yoshimasa A., Masuda M., Nakamura Y., "Study on Fingering Pattern of Spreading Flame Over Non-charring Solid in a Narrow Space", Fire Technology. [Epub ahead of print]
  2. Matsuoka T., Murakami S., Yamazaki T., Nakamura Y., "Symmetric and Nonsymmetric Flame Spread between Parallel Plates of Thick Combustible Solid", Combustion Science and Technology. [Epub ahead of print]
  3. Fifteenth International Conference on Flow Dynamics (ICFD2018)@Sendai, Japan (2018.11.7-9) "Near-limit instabilities of opposed flame spread over thick solid combustibles". [invited talks]
  4. 松岡常吉,村上智志,山崎拓也,中村祐二,"可燃性固体からなる狭流路内で発現する非対称な燃え拡がり",日本機械学会論文集,Vol.83 No.852 (2017), paper#: 17-00009.
  5. 明治大学先端数理科学インスティテュート(MIMS)現象数理学拠点 共同研究集会「火災における不安定性の数理」@明治大学中野キャンパス(東京) (2017.10.5) "狭流路内を燃え拡がる火炎の非対称性". [invited talks]
  6. Matsuoka T., Nakashima K., Nakamura Y., Noda S., "Appearance of Flamelets Spreading over Thermally Thick Fuel", Proc. Combust. Inst., Vol.36, issue 2 (2017), pp.3019-3026.

キーワード

火災; 可燃物; 燃料多様性; 不安定性; フィンガリング

テーマ2:燃焼計測・可視化技術の開発(バックライトCT法)

概要
開発中の可視化システムの外観

火災安全の観点から,可燃物の燃焼特性について理解しておくことは重要である.一般に燃焼特性は被燃焼物の形状の影響を受けるが,その形状は燃焼の進行に伴って溶融するなどして時々刻々と変化する.したがって,燃焼特性を正確に評価するには,被燃焼物がどのように変形していくかを知っておく必要がある.ところが,従来は燃焼の進行に伴って変形する試料形状の影響について加味されておらず正確な評価がなされていなかった.その理由は測定対象の周りに高温かつ高輝度の火炎が存在し,燃焼中の形状計測が難しいからである.本研究ではこの課題に対し,火炎存在下での3次元可視化法としてバックライト写真逆再構成法を提案し,それに基づく可視化計測装置の開発・実用化を目指している.

主な業績
  1. 松岡常吉, 京極友宏, 小池悠太, 寺田啓人, 中村祐二, "変形しながら燃焼する熱可塑性樹脂形状の時系列三次元計測", 第56回燃焼シンポジウム, 2018.11 (堺), E333.
  2. 松岡常吉, 小池悠太. 寺田啓人, 中村祐二, "バックライト再構成法による燃焼中樹脂形状の可視化", 平成30年度 日本火災学会研究発表会, 2018.5 (北九州), C-40, pp.310-311.
  3. 松岡常吉, 小池悠太, 中村祐二,"燃焼により変形する固体の外面形状のその場抽出方法", 実験力学, Vol.17 No.3 (2017), 191-197.
  4. 松岡常吉, 小池悠太, 中村祐二, "バックライト画像の再構成による熱可塑性固体の燃焼時変形過程の可視化方法", 可視化情報全国講演会 (室蘭2017), 2017.11 (室蘭), OS6-3.

キーワード

可視化; バックライト法; コンピュータ断層撮影; 3次元形状; 変形; 酸素指数試験;

テーマ3:燃焼計測・可視化技術の開発(熱流束センサ)

概要
左:温度制御型熱流束センサ, 右:精度検証実験の結果

火災試験における熱流束計測では,センサに高温環境に耐えうることと様々な方向からの熱流束を感知可能なことが求められる.そのため金属製のハウジング内にサーモパイルと冷却部を有するSchmidt-Boelter型またはGardon型のセンサが用いられることが多い.ところが,これらのセンサの感度と応答速度は感知面サイズに依存し,さらに両者にはトレードオフの関係があるため小型化が困難で,熱流束値の時間変動が重要となる場での計測には適さない.また,これらのセンサは冷却部を有することから,それによって生じるセンサの取付誤差も,特に小規模な火災試験においては無視することはできない.精度の高い火災予測モデルを構築するには,正しく火災現象を把握しておく必要があり,そのために小型で高い応答速度を有する熱流束センサが求められている.
Schmidt-Boelter型やGardon型などの熱流束センサの欠点は,サーモパイルによる受熱部の空間温度差を計測して熱流束を求めることに起因する.本研究では,計測対象である流入熱流束と釣り合うよう受熱部からの抜熱量を制御して計測する「温度制御型熱流束センサ」を提案し,開発を行っている.

主な業績
  1. 松木大輝, 松岡常吉, 松山賢, 中村祐二, "抜熱量のフィードバック制御を用いた定温度型熱流束センサの提案", 熱工学コンファレンス2018, 2018.10 (富山), B215

キーワード

熱流束; 熱電素子; 温度制御; 熱バランス; 火災試験; センサ

担当授業科目名(科目コード)

応用数学Ⅲ (B3)
機械工学実験 (B3)
プロジェクト研究 (B2)

その他(受賞、学会役員等)

[受賞]

  1. 日本機械学会東海支部奨励賞「狭い空隙内における固体燃焼の不安定性の解明」 日本機械学会東海支部, 2019.3.7
  2. 日本燃焼学会奨励賞「厚い可燃性固体の燃焼時に見られる燃焼不安定性に関する研究」 日本燃焼学会, 2018.11.15
  3. Outstanding reviewer, Proceedings of Combustion Institute, 2018.1
  4. 日本実験力学会2013年度年次講演会優秀講演表彰「可燃性固体内部の微小空隙内部を燃え拡がる火炎におよぼすスケールの影響」 (松岡常吉, 中村祐二, 永田晴紀, 山崎拓也), 2013.8.28

[学会役員等]

  1. 日本機械学会熱工学部門広報委員会 委員 (2018-)
  2. 日本燃焼学会夏季研究会 幹事 (2015-)
  3. 第57回燃焼シンポジウム (2019.11.20-22)@札幌コンベンションセンター (札幌市), 実行委員
  4. 日本機械学会第97期流体工学部門講演会 (2019.11.7-8)@ホテルアソシア豊橋 (豊橋市), 実行委員
  5. 日本マイクログラビティ応用学会第30回学術講演会 (JASMAC-30) (2018.10.29-31)@じゅうろくプラザ (岐阜市) 実行委員
  6. 第22回動力・エネルギー技術シンポジウム (2017.6.14-15)@豊橋商工会議所 (豊橋市) 実行委員
  7. International Conference on Advanced Technology in Experimental Mechanics 2015 (ATEM'15) (2015.10.4-8)@LOISIR HOTEL TOYOHASHI (Toyohashi, Japan), Scientific Committee

[外部資金(代表分)]

  1. 科研費 若手研究, 狭流路内を燃え拡がる火炎の不安定性:臨界条件と動的挙動の解明 (18K13967), 2018 - 2019.
  2. 立松財団 平成30年度研究助成, 溶融領域を含めた燃焼中の固体形状の時系列3次元可視化法の開発, 2018.
  3. 日比科学技術振興財団 平成30年度研究助成 (一般研究課題), 放熱速度のアクティブ制御を用いた小型熱流束センサの開発, 2018.
  4. 永井科学技術財団 平成30年度上期 国際交流助成金, 2018.

  5. 大幸財団 第32回海外学術交流研究助成金, 2017.
  6. 東京理科大学 平成29年度火災安全科学研究拠点共同利用・共同研究, 小型熱流束センサの開発, 2017.
  7. 科研費 若手研究(B), 狭空間内燃え拡がりで観察される燃焼モードの遷移臨界条件の導出 (16K16365), 2016-2017.

  8. スズキ財団 平成28年度研究者海外研修助成金, 2016.
  9. 小笠原科学技術振興財団, 平成26年度国際研究集会出張助成 (国際交流に対する助成), 2014.
  10. 立松財団 一般研究助成金, 純酸素衝突噴流を用いたRDFの高負荷燃焼技術の開発, 2013.
  11. 内藤科学技術振興財団 平成25年度研究助成金, 酸素燃焼を用いた高効率ゴミ発電システムの開発を目的とした基礎研究, 2013.
  12. 科研費 研究活動スタート支援, 流れ場および反応構造を考慮した衝突噴流熱伝達機構の解明 (24860002), 2012-2013.
  13. 吉田科学技術財団 平成24年度国際研究集会派遣研究者, 2012.
  14. 日本学術振興会 特別研究員奨励費, 固体および液体燃料表面上でのマイクロフレームの燃え広がり (10J04074), 2010-2011.
  15. 北大パイオニア人材協働育成システムの構築「パイオニア実践プログラム」, 2009.12-2010.3
  16. 北海道大学クラーク記念財団 平成21年度博士後期課程海外派遣助成, 2009.
  17. 北海道大学クラーク記念財団 平成20年度博士後期課程在学生研究助成, 管内を燃え広がる火炎の伝播機構の解明, 2008.


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